IP ネットワーク・マルチキャスティング IP ネットワークのマルチキャスト・アドレス MDM ディスカバリー環境

多くのセットアップや構成を必要とせずにネットワーク上で利用可能なサービスを自動的に発見するという SLP の能力は、その多くの部分を、IP マルチキャスティングの使用に依存しています。 IP ネットワークを介してメッセージを送信するには、次の 3 つの方法があります。

ユニキャスト 方式は最も一般的な方法で、メッセージの送信側はそのメッセージの 宛先をただ 1 つだけ識別する必要があります。宛先の IP アドレスは、メッセージ・パケット内にエンコードされており、 各ルーターはネットワーク・パスと共にこのアドレスを使用して、そのパケットを適正な宛先に送信します。 送信側が同じメッセージを複数の受信者に送信したい場合は、 複数のメッセージ (各受信者に 1 つずつ) を生成してネットワーク上へ送信しなければなりません。 特定のメッセージに対して多数の受信者が存在する可能性があるときには、同じデータが何回も 複写されるため、不要な負荷がネットワーク・リソースにかかります。唯一の違いは、宛先の IP アドレスが メッセージ内にエンコードされているという点です。

多くの宛先に同じメッセージを送信することが必要な場合は、ユニキャストよりブロードキャスト の方が 適しています。これは、ネットワークに対する負荷がはるかに軽減されるためです。ブロードキャストは特別な IP アドレス 255.255.255.255 を使用します。 これは、そのメッセージ・パケットをネットワーク内のすべてのノードに送信することを指示するものです。 この結果、メッセージの送信側は、メッセージの単一のコピーを生成し、複数の受信者すなわちネットワークの すべてのメンバーにそのメッセージを送信するだけで済みます。メッセージ・パケットは、可能性のあるすべての宛先に 到達するために、ネットワーク内のすべての可能な経路に送信されるので、ルーターは基本的にメッセージ・パケットを 多重化します。この方法では、受信者ごとに 1 つのメッセージ・ストリームが送信されるのではなく、ただ 1 つの メッセージ・ストリームがネットワークに送信されるので、ネットワーク帯域幅への負荷は大幅に少なくなります。ただし、 すべてのノードがメッセージを必要としているのではない場合でも、すべてのノードがメッセージを受け取るため、 ネットワーク内の個々のノード (およびルーター) に対しては、はるかに大きな負荷がかかります。つまり、メッセージの 受信を意図としないネットワークのメンバーであっても、とりあえずメッセージを受信し、不要なメッセージを 廃棄しなければなりません。このような非効率性のため、ほとんどのネットワーク構成では、ルーターはブロードキャスト・ トラフィックを転送しないように構成されており、したがってブロードキャスト・メッセージは、送信側と同じサブネット上の ノードにしか到達できません。

マルチキャストは、ブロードキャスト機構に固有の能率の悪さのいくつかを改善することを目的とした、 より高度なブロードキャスト方式と考えることができます。マルチキャストでは、ブロードキャストと同様に、 メッセージの送信側はメッセージの単一コピーを生成するだけでよく、ネットワーク帯域幅を節約できます。ただし、 ブロードキャストとは異なり、マルチキャストの場合、ネットワークのあらゆるメンバーがメッセージを受け取るのではなく、 特定のマルチキャスト・ストリームで明示的に対象者として指定されたメンバーだけが、メッセージを受け取ります。

マルチキャストには、マルチキャスト・グループ という概念が導入されており、 各マルチキャスト・グループは特定の IP アドレスに関連付けられています。特定のネットワーク・ノード (ホスト) には 1 つ以上の マルチキャスト・グループを結合でき、マルチキャスト・グループは、そのグループ向けのマルチキャスト・ストリームの受信を希望することを、 関連するルーターに通知します。送信側 (必ずしも同一グループのメンバーである必要はない) が特定の マルチキャスト・グループにメッセージを送信すると、メッセージは、そのマルチキャスト・グループのメンバーを 含むサブネットだけに適切にルーティングされます。このような処理により、ブロードキャスト・トラフィックの場合の ようにネットワーク全体がメッセージであふれることがなくなります。

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