仮想ディスク (VDisk)

VDisk は、クラスターがストレージ・エリア・ネットワーク (SAN) に対して提示する論理ディスクです。アプリケーション・サーバーは SAN アクセス VDisk 上にあり、 管理対象ディスク (MDisk) 上にはありません。VDisk は、MDisk グループ内のエクステントのセットから 作成されます。VDisk には、ストライプ、順次、およびイメージという 3 つのタイプがあります。

タイプ

以下のタイプの VDisk を作成できます。

ストライプ
ストライピングは、エクステント・レベルにあります。エクステントは、グループ内のそれぞれの管理対象ディスクから順番に割り振られます。例えば、10 個の MDisk を持つ管理対象ディスク・グループ は、それぞれの管理対象ディスクからエクステントを 1 つずつ取り出します。11 番目のエクステントは最初の管理対象ディスクから取り出される、というようになります。ラウンドロビンと呼ばれるこのプロシージャーは、RAID-0 ストライピングと類似しています。
重要: 重要: MDisk グループにサイズが同等でない MDisk が含まれる場合にストライプ ・セットを指定するときは、注意が必要です。デフォルトで、ストライプ VDisk は グループ内のすべての MDisk に渡ってストライプされます。いくつかの MDisk が他よりも小さい場合、小さい方の MDisk 上のエクステントは、大きい MDisk がエクステントを使い尽くす前に使い果たされてしまいます。この場合、ストライプ・セットを手動で指定すると、VDisk が作成されない可能性があります。

ストライプ・セットとして使用するために MDisk のリストを提供することもできます。このリストには、管理対象ディスク・グループから複数の MDisk を含めることができます。ラウンドロビン・ プロシージャーが、指定のストライプ・セット全域で使用されます。

以下の図は、3 つの MDisk を含む管理対象ディスク・グループの例を示しています。この図には、グループ内で使用可能なエクステントから作成されたストライプ仮想ディスクも示されています。

図 5. 管理対象ディスク・グループおよび VDisk
管理対象ディスク・グループおよび VDisk
順次
これを選択すると、選択した管理対象ディスク上で十分な連続フリー・エクステントが使用可能な場合に、仮想ディスクを作成するために、複数のエクステントが連続して 1 つの管理対象ディスク上に割り振られます。
イメージ
イメージ・モード VDisk は、1 つの管理対象ディスクとの直接的な関連を持つ特別な VDisk です。管理対象ディスクに含まれるデータをクラスターにマージしたい場合は、イメージ・モード仮想ディスクを作成できます。 イメージ・モード仮想ディスクを作成すると、管理対象ディスク上のエクステントと仮想ディスク上のエクステントとの間で直接マッピングが行われます。 管理対象ディスクは仮想化されません。つまり、管理対象ディスク上の論理ブロック・アドレス (LBA) x は、仮想ディスク上の LBA x と同じです。

イメージ・モード VDisk を作成するときは、それを管理対象ディスク・グループに割り当てる必要があります。イメージ・モード VDisk は、少なくとも 1 エクステントのサイズである必要があります。言い換えれば、イメージ・モード VDisk の最小サイズは、割り当て先の MDisk グループのエクステント・サイズです。

エクステントは、他の VDisk と同じように管理されます。エクステントが作成されると、データを、グループ内にある他の MDisk 上へそのデータへのアクセスを失うことなく移動することができます。1 つ以上のエクステントを移動すると、仮想ディスクは実仮想化ディスクになり、管理対象ディスクのモードは「イメージ」から「管理対象」に変わります。

重要: 重要: MDisk を管理対象ディスクとして MDisk グループに追加する場合、 MDisk 上のすべてのデータが失われます。グループへの MDisk の追加を開始する前に、データを含む MDisk からイメージ・モード VDisk を作成してください。

既存のデータを含む MDisk の初期モードは非管理であり、クラスターはそれらにパーティション・またはデータが含まれるかどうかを判別できません。

仮想ディスクの状況は、3 つの設定値で構成されています。次のテーブルは、仮想ディスクの各状況を説明したものです。

表 4. 仮想ディスクの状況
状況 説明
オンライン 仮想ディスクはオンラインで、I/O グループ内の両方のノードが仮想ディスクにアクセスできる場合に使用可能です。単一ノードでは、VDisk に関連付けられた MDisk グループ内のすべての MDisk にアクセスできる場合にのみ、その VDisk にアクセスできます。
オフライン I/O グループ内の両方のノードが欠落していたり 、I/O グループ内に存在するどのノードも VDisk にアクセスできない場合、 その VDisk はオフラインになっており使用できません。
劣化 I/O グループ内の一方のノードがオンラインで、他方のノードが欠落しているか仮想ディスクにアクセスできない場合、仮想ディスクの状況は劣化となります。

より高度なエクステント割り振りポリシーを使用して、 VDisk を作成することもできます。ストライプ 仮想ディスクを作成するとき、ストライプ・セットとして使用される MDisk のリスト内で、同じ管理対象ディスクを複数回指定できます。 これは、管理対象ディスク・グループ内の MDisk の容量が異なる場合に役立ちます。例えば、18 GB MDisk を 2 つと 36 GB MDisk を 2 つ持つ管理対象ディスク・グループを持っている場合、ストレージの 3 分の 2 が 36 GB ディスクから割り振られるように、それぞれの 36 GB MDisk をストライプ・セットに 2 回指定することによってストライプ仮想ディスクを作成できます。

仮想ディスクを削除すると、その仮想ディスク上のデータへのアクセスは破棄されます。仮想ディスク で使用されたエクステントは、管理対象ディスク・グループ内にあるフリー・エクステントのプールへ戻されます。仮想ディスクがまだホストにマップされている場合は、削除が失敗する可能性があります。また、仮想ディスクがまだ FlashCopy や Remote Copy のマッピングの一部である場合にも、削除が失敗する可能性があります。 削除が失敗する場合は、強制削除フラグを指定して、仮想ディスクとそれに関連するホストへのマッピングの両方を削除できます。強制削除することによって、コピー・サービスの関係およびマッピングも削除されます。

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