管理対象ディスク (MDisk)

管理対象ディスク (MDisk) は、クラスター内のノードが 接続されている SAN ファブリックに対してストレージ・サブシステムがエクスポートする論理ディスク (通常は、RAID アレイまたはそのパーティション) です。したがって、管理対象ディス クは、SAN に対しては単一の論理ディスクとして表される複数の物理ディスクで構成される可能性があります。管理対象ディスク は、物理ディスクとの間に 1 対 1 の対応がない場合でも、常に物理ストレージの使用可能ブロックをクラスターに提供します。

各管理対象ディスクは複数のエクステントに分割され、各エクステントには、0 から 始まる連続した番号が、管理対象ディスクの最初から最後まで付けられます。エクステント・サイズは、 管理対象ディスク・グループのプロパティーです。MDisk が MDisk グループに追加されるとき、MDisk が 分割されるエクステントのサイズは、追加される先の Mdisk グループの属性によって決まります。

アクセス・モード

アクセス・モードは、クラスターが MDisk をどのように使用するか指定します。次のモードがあります。

非管理
MDisk はクラスターによって使用されません。
管理対象
MDisk は MDisk グループに割り当てられ、VDisk (仮想ディスク) が使用できるエクステントを提供します。
イメージ
MDisk は、MDisk と VDisk 間でエクステントの 1 対 1 マッピングを使用する VDisk に直接割り当てられます。
重要: 重要: 既存データが含まれる管理対象ディスクを管理対象ディスク・ グループに追加すると、その管理対象ディスクに含まれているデータは失われます。このようなデータが 保存されるのは、イメージ・モード の場合だけです。

以下の図は、物理ディスクおよび管理対象ディスクを示しています。

図 3. コントローラーおよび MDisk

管理対象ディスクの状況は、4 つの設定値で構成されています。次のテーブルは、管理対象ディスクの各状況についての説明です。

表 1. 管理対象ディスクの状況
状況 説明
オンライン MDisk は、すべてのオンライン・ノードによってアクセスできます。 つまり、現行でクラスターの作動メンバーであるすべてのノードがこの MDisk にアクセスできます。MDisk は、以下の条件が 満たされるとオンラインになります。
  • すべてのタイムアウト・エラー・リカバリー手順が完了し、ディスクがオンラインとして報告される場合。
  • ターゲット・ポートの LUN インベントリーが、正確に MDisk を報告した場合。
  • この LUN のディスカバリーが正常に作成された場合。
  • 管理対象ディスクのすべてのターゲット・ポートが、この LUN を障害条件なしで使用可能であると報告する場合。
劣化 MDisk は、すべてのオンライン・ノードによってアクセスできるわけではありません。つまり、現行でクラスターの作動メンバーである 1 つ以上 (すべてではなく) のノードがこの MDisk にアクセスできません。MDisk は、部分的に除外されている可能性があります。つまり、MDisk に対するパスの一部 (すべてではなく) が除外されています。
除外 MDisk は、アクセス・エラーが繰り返された後に、クラスターによって使用から除外されました。問題を判別するには、指定保守手順を実行してください。 MDisk をリセットし、svctask includemdisk コマンドを実行してクラスターに再び組み込むことができます。
オフライン MDisk は、どのオンライン・ノードによってもアクセスできません。つまり、現行でクラスターの作動メンバーであるすべてのノードがこの MDisk にアクセスできません。この状態は、SAN、ストレージ・サブシステム、または ストレージ・サブシステムに接続された 1 つ以上の物理ディスクにおける障害によって発生する可能性があります。ディスクへのすべてのパスが失敗する場合、 MDisk はオフラインと報告されるだけです。
エクステント

それぞれの MDisk は、エクステント と呼ばれる等しいサイズのチャンクに分割されます。エクステントは、 MDisk と仮想ディスク (VDisk) の間のデータのマッピングを管理します。

重要: 重要: ファブリックが一時的なリンク中断になっている場合、またはファブリック内のケーブルまたは 接続を交換している場合は、1 つ以上の MDisk が劣化状況に変更される可能性があります。リンク中断中に I/O 操作が試行され、 同じ I/O が数回失敗した場合、MDisk は部分的に除外され、劣化の状況に変更されます。この問題を解決するには、MDisk を 組み込まなければなりません。MDisk は、SAN ボリューム・コントローラー・コンソール の「管理対象ディスクの作業 - 管理対象 ディスク (Work with Managed Disks - Managed Disk)」パネルから「MDisk の組み込み (Include MDisk)」タスクを選択するか、 または以下のコマンドを実行することによって組み込むことができます。
svctask includemdisk <mdiskname/id>

管理対象ディスク・パス それぞれの管理対象ディスクは、 その管理対象ディスクへのアクセス権を持つノード数であるオンライン・パス・カウントを持ちます。 これは、クラスター・ノードと特定のストレージ・デバイスとの間の I/O パス状況の要約を示します。 最大パス・カウントは、過去の任意の時点でクラスターによって検出されたパスの最大数です。したがって、現行パス・カウントが最大パス・カウントと等しくない場合は、特定の管理対象ディスクが劣化される可能性があります。つまり、1 つ以上のノードが、ファブリック上の管理対象ディスクを参照していません。

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