ypbind デーモン

目的

クライアント・プロセスが NIS サーバーとバインド、すなわち接続できるようにします。

構文

ypbind [ -s -ypset -ypsetme ]

説明

ypbind デーモンは、Network Information Services (NIS) クライアント上のプロセスを、NIS サーバー上のサービスにバインド (つまり接続) します。このデーモンはすべての NIS クライアント上で稼働し、始動と停止は次のシステム・リソース・コントローラー (SRC) コマンドで行われます。

startsrc -s ypbind

stopsrc -s ypbind

Network Information Services (NIS) マップからクライアントが情報を要求すると、ypbind デーモンはサーバーに対してネットワーク上で情報をブロードキャストします。サーバーが応答すると、サーバーがデーモンにホストの IP アドレスとポート番号を与えます。クライアントが探している情報は、このホストが提供します。 ypbind デーモンはこのアドレス情報を、domainname.version というファイル名を使用して /var/yp/binding ディレクトリー内へ保管します。それから、クライアントが次に NIS マップにアクセスしようとしたときに、クライアントの ypbind デーモンは domainname.version ファイル内のアドレスを参照します。

ypbind デーモンは、複数のドメインとそのサーバー -ypsetme へのバインドを同時に保守することができます。デフォルトのドメインは、始動時に domainname コマンドで指定されたドメインです。

注:
  1. ドメインがアンバインドされたとき (通常はサーバーが壊れたか過負荷になったとき) は、ypbind デーモンは他のサーバーを探して再度情報をブロードキャストします。
  2. クライアントを特定のサーバーに強制的にバインドするには、ypset コマンドを使用します。
  3. クライアントがバインドされているサーバーを調べるには、ypwhich コマンドを使用します。
  4. /var/yp/binding/domainname/ypservers ファイルがすでに存在する場合は、ypbind は、ブロードキャストする前に、そのファイル内にリストされたサーバーへ連絡しようとします。ファイルには、サーバーの IP アドレスを一行に 1 つずつリストしたものが入っている必要があります。
  5. デフォルトでは、NIS クライアントは NIS サーバーからの応答を無期限に待ちます。その間はクライアント・システムにログインできません。ただし、この待ち時間の長さを制限することは可能です。ypbind デーモンを開始する前に、YPBIND_MAXWAIT 環境変数を設定すると、この値 (秒単位) により NIS クライアントが NIS サーバーを待つ時間が制限されます。この制限時間を超えると、クライアントは NIS が使用不能であるとして、ローカル・ファイルの使用を継続します。この場合、ローカル・ログインが許可されます。

フラグ

-s 特権を持つ通信ポート上で ypbind デーモンをセキュア・モードで実行します。
-ypset ローカル・ホストが、ローカル・ホストまたはリモート・ホストからの ypset コマンドを受け入れることを示します。
-ypsetme ローカル・ホストが、ローカル・ホストからの ypset コマンドのみを受け入れることを示します。このフラグを -ypset フラグと共に指定すると、-ypset フラグが上書きされます。
注:
  1. -ypset フラグも -ypsetme フラグも指定しない場合、ローカル・ホストはすべてのホストからの ypset コマンドをすべて拒否します。NIS サーバーが変更できないため、これは最も厳密に保護されたモードです。
  2. -ypset フラグも -ypsetme フラグも指定しない場合、ローカル・ホストはすべてのホストからの ypset コマンドをすべて拒否します。NIS サーバーが変更できないため、これは最も厳密に保護されたモードです。しかし、クライアント・マシンに直接接続されている NIS サーバーがネットワーク上に存在しない場合、-ypsetme フラグを使用する必要があり、ypset コマンドで NIS サーバーが指定されている必要があります。

関連情報

ypcat コマンド、 ypmatch コマンド、 ypwhich コマンド