nfso コマンド

目的

ネットワーク・ファイルシステム (NFS) のチューニング・パラメーターを管理します。

構文

nfso [ -p | -r ] [ -c ] { -o Tunable[ =Newvalue ] }

nfso [ -p | -r ] { -d Tunable }

nfso [ -p | -r ] -D

nfso [ -p | -r ] -a [ -c ]

nfso -h [ Tunable ]

nfso -l [ Hostname ]

nfso -L [ Tunable ]

nfso -x [ Tunable ]

nfso -?

注:
複数のフラグ -o-d-x、および -L を指定できます。

説明

ネットワーク・ファイルシステムのチューニング・パラメーターを構成するには、 nfso コマンドを使用します。 nfso コマンドは、ネットワーク・ファイルシステムのチューニング・パラメーターの現行値または次のブート値を設定または表示します。このコマンドは、永久的な変更を行うことも、次のリブートまで変更を遅らせることもできます。このコマンドでパラメーターを設定するか、表示するかは、指定するフラグによって決まります。 -o フラグを指定すると、設定および表示を行います。これは、パラメーターの値を表示するかまたはパラメーターに新しい値を設定するかのいずれかを行うことができます。

重要: このコマンドの使用には注意してください。nfso コマンドを正しく使用しない場合、システムが操作不能になることがあります。

フラグ

-a すべてのチューナブル・パラメーターの現行値、リブート値 ( -r と組み合わせて使用した場合)、または永久値 (-p と組み合わせて使用した場合) を、Tunable = Value の対にして、1 行に 1 つずつ表示します。永久オプションの場合、パラメーターの値はそのリブート値と現行値が等しい場合のみ表示されます。そうでない場合は、値に「NONE」が表示されます。
-c nfso コマンドの出力フォーマットをコロンで区切るフォーマットに変更します。
-d Tunable Tunable 変数をデフォルト値に戻します。 Tunable を変更する必要があり (つまり、現在、デフォルト値に設定されていない)、かつタイプが Bosboot または Reboot である場合、またはタイプが Incremental でデフォルト値が変更されており、かつ -r が指定されていない場合は、変更は行なわれず、警告が表示されます。
-D すべての Tunable 変数をデフォルト値に戻します。変更する必要のある Tunable のタイプが Bosboot または Reboot である場合、またはタイプが Incremental でデフォルト値から変更されており、かつ -r フラグが組み合わせて使用されていない場合は、変更は行われず、警告が表示されます。
-h [Tunable] Tunable パラメーターのヘルプを表示します (このパラメーターが指定されている場合)。このパラメーターが指定されていない場合は、 nfso コマンド使用ステートメントを表示します。
-l HostName システム管理者が NFS サーバー上で NFS ファイル・ロックを解除できるようにします。 HostName 変数は、NFS サーバー上でファイル・ロックが保持されている NFS クライアントのホスト名を指定します。 nfso -l コマンドは、NFS サーバーの rpc.lockd ネットワーク・ロック・マネージャーへのリモート・プロシージャー・コールを実行して HostName NFS クライアントが保持しているファイル・ロックの解除を要求します。

ファイル・ロックを NFS サーバー上に保持している NFS クライアントがあり、このクライアントがネットワークから切断されているためにリカバリーできない場合、他の NFS クライアントが類似するファイル・ロックを取得できるように、 nfso -l コマンドを使用して問題のロックを解除することができます。

注:
nfso コマンドは、ローカル NFS サーバーのロック解除に対してのみ使用可能です。
-o Tunable[ =NewValue ] Tunable の値を表示するかまたは NewValue の値に設定します。 Tunable を変更する必要があり (つまり、指定された値が現行値と異なる)、かつタイプが Bosboot または Reboot である場合、またはタイプが Incremental で現行値が指定値より大きく、かつ -r が組み合わせて使用されていない場合は、変更は行われず、警告が表示されます。

新しい値を指定せずに -r を組み合わせて使用すると、Tunable の次のブート値が表示されます。 NewValue を指定せずに -p を組み合わせて使用すると、Tunable の現行値と次のブート値が同じ場合にのみ、値が表示されます。そうでない場合は、値に「NONE」が表示されます。

-p -o-d、または -D と組み合わせて使用した場合は、現行値とリブート値の両方に変更が適用されます。 Reboot および Bosboot タイプのパラメーターでは現行値を変更できないため、これらの組み合わせは使用できません。

新しい値を指定せずに -a または -o と組み合わせて使用すると、パラメーターの現行値と次のブート値が同じ場合にのみ、値が表示されます。そうでない場合は、値に「NONE」が表示されます。

-r -o-d、または -D と組み合わせて使用した場合は、リブート値に変更が適用されます。タイプ Bosboot のパラメーターを変更すると、ユーザーは bosboot を実行することをプロンプトされます。

新しい値を指定せずに、-a または -o を指定する場合は、現行値のかわりに、Tunable のリブート値が表示されます。

-L [Tunable] 1 つまたはすべての Tunable の特性を、次の形式で 1 行に 1 つずつリストします。
NAME                      CUR    DEF    BOOT   MIN    MAX    UNIT           TYPE 
     DEPENDENCIES 
--------------------------------------------------------------------------------
portcheck                 0      0      0      0      1      On/Off            D
--------------------------------------------------------------------------------
udpchecksum               1      1      1      0      1      On/Off            D
--------------------------------------------------------------------------------
nfs_socketsize            600000 600000 600000 40000  1M     Bytes             D
--------------------------------------------------------------------------------
nfs_tcp_socketsize        600000 600000 600000 40000  1M     Bytes             D
--------------------------------------------------------------------------------
... 
where:
    CUR = current value 
    DEF = default value 
    BOOT = reboot value 
    MIN = minimal value 
    MAX = maximum value 
    UNIT = tunable unit of measure 
    TYPE = parameter type: D (for Dynamic), S (for Static), R for Reboot),
           B (for Bosboot), M (for Mount), I (for Incremental) and C (for Connect) 
    DEPENDENCIES = list of dependent tunable parameters, one per line
-x [Tunable] 1 つまたはすべての Tunable の特性を、次のスプレッドシート形式で 1 行に 1 つずつリストします。
tunable,current,default,reboot,min,max,unit,type,{dtunable } 

where:
    current = current value 
    default = default value 
    reboot = reboot value 
    min = minimal value 
    max = maximum value 
    unit = tunable unit of measure 
    type = parameter type: D (for Dynamic), S (for Static), R (for Reboot), B (for Bosboot),
                M (for Mount), I (for Incremental) and C (for Connect)
    dtunable = space separated list of dependent tunable parameters 

-? nfso の使用ステートメント (使用法) を表示します。

タイプ Mount のパラメーターに (-o-d、または -D を指定して) 変更を行うと、その変更は将来のマウントについてのみ有効であることを示す警告メッセージが表示されます。

タイプ Connect のパラメーターに (-o-d、または -D フラグを指定して) 変更を行うと、 inetd が再始動され、その変更は将来のソケット接続についてのみ有効であることを示す警告メッセージが表示されます。

-r を指定せずに、タイプ Bosboot または Reboot のパラメーターを変更しようとすると (-o-d、または -D を使用)、エラー・メッセージが出されます。

タイプ Incremental のパラメーターを (-o -d、または -D を指定し、-r を指定せずに) 現行値より小さい新しい値に変更を行しようとすると、エラー・メッセージが出されます。

チューナブル・パラメーターのタイプ

チューニング・コマンド (nonfsovmoioo、および schedo) で取り扱われるすべてのチューナブル・パラメーターは、下記のカテゴリーに分類されています。

Dynamic パラメーターはいつでも変更できます。
Static パラメーターは決して変更できません。
Reboot パラメーターはリブート時にのみ変更できます。
Bosboot パラメーターは bosboot を実行してマシンをリブートする場合にのみ変更できます。
Mount パラメーターの変更は将来のファイルシステムまたはディレクトリーのマウントについてのみ有効です。
Incremental ブート時を除き、パラメーターの増分のみが可能です。
Connect パラメーターの変更は将来のソケット接続ついてのみ有効です。

タイプ Bosboot のパラメーターの場合は、変更が加えられるたびに、チューニング・コマンドは自動的に、 bosboot コマンドを実行したいかどうかを尋ねるプロンプトを出します。タイプ Connect のパラメーターの場合は、チューニング・コマンドは自動的に inetd デーモンを再始動します。

nfso コマンドにより管理されるパラメーターの現行セットには、Dynamic、 Mount、および Incremental のタイプがあります。

チューナブル・パラメーター

lockd_debug_level
目的:
rpc.lockd のデバッグのレベルを設定します。
値:
  • デフォルト: 0
  • 有効範囲: 0 から 9
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
該当しない
nfs_allow_all_signals
目的:
NFS サーバーが、UNIX 95/98 テストの組み合わせ用のブロックされたロックに関するシグナル処理要件に従うことを指定します。
値:
  • デフォルト: 0
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
値が 1 の場合は nfs_allow_all_signals がオンになり、値が 0 の場合はオフになります。
nfs_device_specific_bufs
目的:
このオプションは、NFS サーバーがネットワーク装置からのメモリー割り当てを使用できるようにします (ネットワーク装置がこれをサポートする場合)。
値:
  • デフォルト: 1
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
NFS サーバーがこのような特別なメモリー割り当てを使用すると、 NFS サーバーの全体的なパフォーマンスに良い影響を与えることができます。デフォルトの 1 は、NFS サーバーが特別なネットワーク装置メモリー割り当てを使用できることを意味します。値 0 を使用すると、NFS サーバーは従来のメモリー割り当てを使用して NFS クライアント要求を処理します。これはネットワーク・インターフェースが管理するバッファーなので、 DMA のセットアップが必要なく、(通常の mbufs よりも) パフォーマンスが向上します。これをサポートするアダプターとして、 Micro Channel ATM アダプターと SP2 スイッチ・アダプターの 2 つがあります。
nfs_dynamic_retrans
目的:
いつ NFS 要求をサーバーに再送するかを決める時に、 NFS クライアントが動的再送アルゴリズムを使用すべきかどうかを指定します。
値:
  • デフォルト: 1
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
この機能をオンにした場合、timeo パラメーターは最初の再送でのみ使用されます。このパラメーターを 1 にすると、NFS クライアントはタイムアウトの振る舞いを過去の NFS サーバーの応答に基づいて調整します。これにより、使用される転送サイズを調整して浮動タイムアウト値とすることができます。これはすべて、NFS サーバーの過去の応答時間を累積したヒストリーに基づいて行なわれます。ほとんどの場合、このパラメーターを調整する必要はありません。場合によっては、単純なタイムアウト操作の方が NFS クライアントにとって望ましいことがあります。このような場合は、ファイルシステムをマウントする前に値を 0 にしてください。
nfs_gather_threshold
目的:
書き込み収集を行う書き込み要求の最小サイズを設定します。
値:
  • デフォルト: 4096
  • 有効範囲: 512 から 8193
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
次の 2 つの状態の 1 つが存在します。
  1. RPC 要求への応答が遅れていることが観察される。特にクライアントが順次以外の書き込みを排他的に行なっている場合、または書き込まれているファイルについて、ファイル・ロックがクライアントに保持されて書き込まれている場合。
  2. クライアントが 4096 より小さい書き込みサイズを使用して書き込みをしており、書き込み収集が働いていない。書き込み収集を使用不可にしている場合は、 nfs_gather_threshold を可能な最大の書き込みより大きい値に変更します。小さい書き込みサイズ (たとえば 1024) により書き込み収集がバイパスされている場合は、小さい書き込みサイズを収集するように書き込み収集パラメーターを変更します (たとえば 1024 に設定)。
nfs_iospace_pages
目的:
一時点に、VMM を使用してサーバーに書き戻すようにスケジュールされる NFS ファイル・ページの数を指定します。この I/O スケジューリング制御は、ファイルがクローズされ、システムが syncd デーモンを呼び出す時に起こります。
値:
  • デフォルト: 0
  • 範囲: 0 から 65536
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
アプリケーションが NFS マウントのファイルシステムに大きなファイルを書き込むと、そのファイル・データはファイルのクローズ時に NFS サーバーに書き込まれます。場合によっては、サーバーにそのファイルを書き込むためにリソースが取られ、他の NFS ファイル入出力の妨げになる場合があります。このパラメーターは、サーバーに書き込まれる 4 KB ページの数を nfs_iospace_pages の値に制限します。 NFS クライアントはサーバーへの書き込み用に nfs_iospace_pages をスケジュールし、これが完了するのを待ってから次のページのバッチをスケジュールします。デフォルト値は通常、ほとんどの環境で十分な値です。 NFS クライアント・リソースに大量の競合が発生する場合は、値を減らしてください。競合が少ない場合は、値を増やすことができます。 nfs_iopace_pages=0 の場合は、syncd デーモンにより一度に書き込まれるページ数は次のようになります。
MAX ((filesize/8)-1, 32)
nfs_max_connections
目的:
サーバーに可能な TCP 接続の最大数を指定します。
値:
  • デフォルト: 0 (制限なしを意味する)
  • 範囲: 0 から 10000
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
ロードを減らすために、サーバーへの接続の数を制限します。
nfs_max_read_size
目的:
優先的な最大読み取りサイズを設定します。
値:
  • デフォルト: 65536 バイト
  • 有効範囲: 512 から 65536 (TCP による NFS V3 の場合)
    512 から 61440 (UDP による NFS V3 の場合)
    512 から 8192 (NFS V2 の場合)
  • タイプ: Dynamic
診断:
すべてのクライアントの読み取り/書き込みサイズを変更する必要がある場合に役立ちます。これらのクライアントを変更することは非実用的です。デフォルトは、クライアント・マウントで使用される値を使用することを意味します。
チューニング:
クライアント上でマウントを直接操作できない場合、特に、デフォルト読み取り/書き込みサイズ 32 KB でパケットをドロップするネットワークで NIM インストールを行う場合、チューニングにより NFS V3 読み取り/書き込みサイズを小さくしなければならない場合があります。この場合、最大サイズを、ネットワーク上で機能する小さいサイズに設定してください。

ネットワーク装置がパケットをドロップし、サーバーとの通信に包括的な変更が必要な場合も、チューニングが役立つ可能性があります。

nfs_max_threads
目的:
着信する NFS 要求をサービスするために作成される NFS サーバー・スレッドの最大数を指定します。
値:
  • デフォルト: 3891
  • 範囲: 1 から 3891
  • タイプ: Dynamic
診断:
NFS サーバーはマルチスレッドです。 NFS サーバー・スレッドは NFS サーバーへの要求が増加するにつれて作成されます。 NFS サーバー・スレッドがアイドル状態になると、スレッドは終了します。これにより、サーバーは NFS クライアントのニーズに対応できます。 nfs_max_threads パラメーターは、作成できるスレッドの最大数です。
チューニング:
通常、最大値を大きく設定しても、 NFS サーバーは必要に応じてスレッドを作成するため、システム全体のパフォーマンスは低下しません。ただし、これはマシンの主な目的が NFS サービスにあると想定した場合です。システムをその他のアクティビティーと共用する予定の場合は、スレッドの最大数を低くしなければならないことがあります。最大数は nfsd デーモンのパラメーターとして指定することもできます。
nfs_max_write_size
目的:

システム管理者がサーバーの NFS RPC サイズを制御できるようにします。

値:
  • デフォルト: 65536 バイト
  • 有効範囲: 512 から 65536 (TCP による NFS V3 の場合)
    512 から 61440 (UDP による NFS V3 の場合)
    512 から 8192 (NFS V2 の場合)
  • タイプ: Dynamic
診断:
すべてのクライアントの読み取り/書き込みサイズを変更する必要がある場合に役立ちます。これらのクライアントを変更することは非実用的です。デフォルトは、クライアント・マウントで使用される値を使用することを意味します。
チューニング:

クライアント上でマウントを直接操作できない場合、特に、デフォルト読み取り/書き込みサイズ 32 KB でパケットをドロップするネットワークで NIM インストールを行う場合、チューニングにより NFS V3 読み取り/書き込みサイズを小さくしなければならない場合があります。この場合、最大サイズを、ネットワーク上で機能する小さいサイズに設定してください。ネットワーク装置がパケットをドロップし、サーバーとの通信に包括的な変更が必要な場合も、チューニングが役立つ可能性があります。

nfs_repeat_messages
目的:
重複する NFS メッセージを検査します。 このオプションを使用すると、重複する NFS メッセージは表示されなくなります。
値:
  • デフォルト: 0 (no)
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
このパラメーターのチューニングはパフォーマンスに影響しません。
nfs_rfc1323
目的:
非常に大きな TCP ウィンドウ・サイズ (65535 バイトより大きい) のネゴシエーションをシステム間で行なえるようにします。
値:
  • デフォルト: 0
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
NFS クライアントとサーバー間で TCP トランスポートを使用し、両方のシステムがこれをサポートする場合、システムは TCP ウィンドウ・サイズをネゴシエーションして、クライアントとサーバー間でより多くのデータを 転送 (in-flight) できるようになります。これにより、クライアントとサーバー間で可能なスループットが増えます。 no コマンドの rfc1323 オプションと異なり、これは NFS だけに影響し、システム内の他のアプリケーションには影響しません。値 0 はこれが使用不可であることを意味し、値 1 は使用可能であることを意味します。 no コマンドのパラメーター rfc1323 がすでに設定されている場合、この NFS オプションを設定する必要はありません。
nfs_server_base_priority
目的:
nfsd デーモンの基本優先順位を設定します。
値:
  • デフォルト: 65
  • 範囲: 31 から 125
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
デフォルトでは、nfsd デーモンは浮動する処理優先順位を使用して実行されます。したがって、デーモンの累積 CPU 時間が増えると、デーモンの優先順位は変わります。このパラメーターは nfsd デーモンに静的なパラメーターを設定するために使用できます。値 0 は浮動する優先順位 (デフォルト) を表します。許容範囲内のその他の値は、NFS 要求をサーバーで受信した時の nfsd デーモンの優先順位の設定に使用されます。このオプションは、NFS サーバーの負荷がシステムにとって過剰になっている場合に使用できます (低くするか、または nfsd デーモンを減らすことが望ましい)。また、nfsd デーモンをサーバー上で最も優先させる処理の 1 つにする場合にも使用できます。このパラメーターを設定すると、その他のプロセスはシステムをほとんど使用できないことになりがちなので、注意してください。この状態は、NFS サーバーが非常に忙しく、サーバー上でその他のプロセスが実行時間を持てないように実質的に締め出す場合に起こります。
nfs_server_clread
目的:
このオプションは、NFS サーバーが、ファイルの読み取りを非常に積極的に実行できるようにします。 NFS サーバーは、NFS クライアントからの特定の NFS 読み取り要求にしか応答できません。しかし、NFS サーバーは、ファイル内の現在の読み取り要求の直後に存在するデータを読み取ることができます。これは通常、「先読み」と呼ばれます。 NFS サーバーは、デフォルトで「先読み」を実行します。
値:
  • デフォルト: 1
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
ほとんどの NFS サービス環境では、このパラメーターのデフォルト値 (使用可能) が適切です。ただし、ファイル・キャッシングに使用できる NFS サーバー・メモリーの量が少ない場合または NFS による読み取りのアクセス・パターンが主としてランダムである場合は、このオプションを使用不可にする方が適切なことがあります。
チューニング:
nfs_server_clread オプションを使用可能にすると、NFS サーバーは NFS クライアント用の先読みを非常に積極的に行うようになります。値を 1 にすると、積極的な先読みが行なわれます。値を 0 にすると、通常のシステム・デフォルトの先読み方式が使用されます。通常のシステム先読みは VMM により制御されます。上位半分の JFS 先読みでは、不適切な要求による先読みの中断 (これは NFS サーバーではよくあるケースです) の影響を受けにくくなっています。このメカニズムを活動化すると、1 つのグループ全体 (128 KB の LVM 論理トラック・グループ・サイズ) を読み取ります。
nfs_setattr_error
目的:
これを使用可能にすると、NFS サーバーは無効な setattr 要求を無視します。
値:
  • デフォルト: 0 (使用不可)
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
このオプションはある種の PC アプリケーション用に提供されています。このパラメーターのチューニングはパフォーマンスに影響しません。
nfs_socketsize
目的:
NFS サーバーの UDP ソケットのキュー・サイズを設定します。
値:
  • デフォルト: 600000
  • 実用的な範囲: 60000 から sb_max
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
UDP のソケット・バッファーがいっぱいであるためにパケットがドロップし、 nfsd デーモンの数を増やしても役に立たなかったことを netstat が報告した場合に、 nfs_socketsize 変数のサイズを増やします。
nfs_tcp_duplicate_cache_size
目的:
TCP ネットワーク・トランスポートの NFS サーバーの複製キャッシュに格納するエントリーの数を指定します。
値:
  • デフォルト: 5000
  • 範囲: 1000 から 100000
  • タイプ: Incremental
診断:
該当しない
チューニング:
複製キャッシュ・サイズを減らすことはできません。高いスループット能力を持つサーバーの複製キャッシュ・サイズを増やします。複製キャッシュは、サーバーが NFS クライアント再送に正しく対応できるようにするために使用されます。クライアントが再送を行う前にサーバーがこのキャッシュをフラッシュすると、サーバーは正しく応答できません。したがって、クライアント再送の前にサーバーが 1000 の操作を処理できる場合は、複製キャッシュ・サイズを増やす必要があります。

NFS サーバーで毎秒受信する NFS 操作の数を計算し、この値を 4 倍します。この結果の値が、NFS サーバーからの正しい応答を可能にするための十分な複製キャッシュ・サイズのはずです。複製キャッシュにより影響される操作は、setattr()、write()、create()、remove()、 rename()、link()、symlink()、mkdir()、 rmdir() です。

nfs_tcp_socketsize
目的:
NFS サーバーの TCP ソケットのキュー・サイズを設定します。 キュー・サイズはバイト数で指定します。 TCP ソケットは、NFS クライアント要求の受信用であり、負荷が大きいときに NFS サーバーがパケットをドロップする可能性が小さくなるように調整することができます。 nfs_tcp_socketsize オプションの値は、sb_max オプションより小さくする必要があります。sb_max の値は no コマンドで操作できます。
値:
  • デフォルト: 600000
  • 実用的な範囲: 60000 から sb_max
  • タイプ: Dynamic
診断:
コマンドnetstat -s -p tcp の出力を検査中にパケットがドロップされました。
チューニング:
このオプションは、ソケットの送信および受信ソケット・バッファーが使用するメモリーを予約しますが、割り当てはしません。 nfs_tcp_socketsize 値は、60 000 より小さく設定しないでください。大型または使用頻度の高いサーバーの場合、 netstat -s -p tcp コマンド出力で、 TCP NFS トラフィックにドロップされるパケットがないことが示されるまでは、大きい値を使用するべきです。
nfs_udp_duplicate_cache_size
目的:
UDP ネットワーク・トランスポートの NFS サーバーの複製キャッシュに格納するエントリーの数を指定します。
値:
  • デフォルト: 5000
  • 範囲: 1000 から 100000
  • タイプ: Incremental
診断:
該当しない
チューニング:
複製キャッシュ・サイズを減らすことはできません。高いスループット能力を持つサーバーの複製キャッシュ・サイズを増やします。複製キャッシュは、サーバーが NFS クライアント再送に正しく対応できるようにするために使用されます。クライアントが再送を行う前にサーバーがこのキャッシュをフラッシュすると、サーバーは正しく応答できません。したがって、クライアント再送の前にサーバーが 1000 の操作を処理できる場合は、複製キャッシュ・サイズを増やす必要があります。

NFS サーバーで毎秒受信する NFS 操作の数を計算し、この値を 4 倍します。この結果の値が、NFS サーバーからの正しい応答を可能にするための十分な複製キャッシュ・サイズのはずです。複製キャッシュにより影響される操作は、setattr()、write()、create()、remove()、 rename()、link()、symlink()、mkdir()、 rmdir() です。

nfs_use_reserved_ports
目的:
予約されていない IP ポート番号を使用することを指定します。
値:
  • デフォルト: 0
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
値 0 を指定すると、NFS クライアントが NFS サーバーと通信するときに、予約されていない IP ポート番号が使用されます。
nfs_v2_pdts
目的:
NFS バージョン 2 マウントのために biod によって使用されるメモリー・プール用のテーブルの数を設定します。
値:
  • デフォルト: 1
  • 範囲: 1 から 8
  • タイプ: Mount
診断:
該当しない
チューニング:
該当しない
注:
bufs オプションは、pdts より前に設定する必要があります。
nfs_v2_vm_bufs
目的:
最初のテーブルの後に作成された NFS バージョン 2 ページング・デバイス・テーブル (pdt) ごとに使用される初期空きメモリー・バッファーの数を設定します。最初の pdt の設定値は、システム・メモリーに応じて 256、512、640、または 1000 になります。この初期値は、新しく作成されるそれぞれの pdt のデフォルト値にもなります。
値:
  • デフォルト: 1000
  • 範囲: 512 から 5000
  • タイプ: Incremental
診断:
該当しない
チューニング:
該当しない
注:
bufs オプションは、pdts より前に設定する必要があります。
nfs_v3_pdts
目的:
NFS バージョン 3 マウントのために biod によって使用されるメモリー・プール用のテーブルの数を設定します。
値:
  • デフォルト: 1
  • 範囲: 1 から 8
  • タイプ: Mount
診断:
該当しない
チューニング:
該当しない
注:
bufs オプションは、pdts より前に設定する必要があります。
nfs_v3_server_readdirplus
目的:
NFS サーバー上の NFS V3 READDIRPLUS 操作を使用可能または使用不可にします。
値:
  • デフォルト: 1 (使用可能)
  • 範囲: 0 から 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
READDIRPLUS 操作では、NFS V3 マウントを使用する NFS マウント済みのファイルシステムで非常に大きなディレクトリーを読み取るときに、オーバーヘッドが追加されます。そのため、nfsd スレッドによる CPU 使用量が過度になり、NFS クライアントが出す ls などのコマンドへの応答時間が遅くなる可能性があります。
チューニング:
READDIRPLUS 操作を使用不可にすると、 NFS V3 による非常に大きなディレクトリーを読み取る際のオーバーヘッドの削減に役立ちます。ただし、これは NFS バージョン 3 標準には準拠しないことに注意してください。ほとんどの NFS V3 クライアントは、READDIR 操作を使用するように自動的にフォールバックしますが、問題が起こるようならば、このオプションをデフォルト値に戻してください。
nfs_v3_vm_bufs
目的:
最初のテーブルの後に作成された NFS バージョン 3 ページング・デバイス・テーブル (pdt)ごとに使用される初期空きメモリー・バッファーの数を設定します。最初の pdt の設定値は、システム・メモリーに応じて 256、512、640、または 1000 になります。この初期値は、新しく作成されるそれぞれの pdt のデフォルト値にもなります。
値:
  • デフォルト: 1000
  • 範囲: 512 から 5000
  • タイプ: Incremental
診断:
該当しない
チューニング:
該当しない
注:
bufs オプションは、pdts より前に設定する必要があります。
portcheck
目的:
NFS 要求が特権のあるポートからのものかどうかを検査します。
値:
  • デフォルト: 0
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
値 0 は、NFS サーバーが行うポート検査を使用不可にします。値 1 は、着信する NFS 要求のポート検査を NFS サーバーが行うようにします。これは、わずかなパフォーマンス向上を求める構成上の決定です。
statd_debug_level
目的:
rpc.statd のデバッグのレベルを設定します。
値:
  • デフォルト: 0
  • 有効範囲: 0 から 9
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
該当しない
statd_max_threads
目的:
rpc.statd で使用されるスレッドの最大数を設定します。
値:
  • デフォルト: 50
  • 有効範囲: 1 から 1000
  • タイプ: Dynamic
診断:
rpc.statd は、リモート・マシンとの接続を同時に再確立できるように、マルチスレッド化されます。rpc.statd スレッドは、要求が増すたびに作成されます。通常、これは rpc.statd が通信できないマシンとの接続を再確立しようとするためです。 rpc.statd スレッドがアイドル状態になると、スレッドは終了します。statd_max_threads パラメーターは、作成できるスレッドの最大数です。
チューニング:
該当しない
udpchecksum
目的:
NFS UDP パケットのチェックサムの生成をオンまたはオフにします。
値:
  • デフォルト: 1
  • 範囲: 0 または 1
  • タイプ: Dynamic
診断:
該当しない
チューニング:
パケット破壊が起こりうるネットワークでは、この値を必ずオンにしてください。これをオフにすればわずかなパフォーマンス向上がありますが、データ破壊の機会が増えるという損失があります。

  1. portcheck チューナブル・パラメーターの値をゼロにするには、次のように入力します。

    nfso -o portcheck=0
  2. udpchecksum チューナブル・パラメーターの値を次のリブートでデフォルト値の 1 にするには、次のように入力します。

    nfso -r -d udpchecksum
  3. すべてのチューナブル・パラメーターとその現在値のリストを、コロンで区切ったフォーマットで印刷するには、次のように入力します。

    nfso -a -c
  4. nfso コマンドが管理するすべてのチューナブル・パラメーターの現行値、リブート値、範囲、単位、タイプ、および依存関係をリストするには、次のように入力します。
     nfso -L
  5. nfs_tcp_duplicate_cache_size のヘルプ情報を表示するには、次のように入力します。
    nfso -h nfs_tcp_duplicate_cache_size
  6. nfs_dynamic_retrans を永久にオフにするには、次のように入力します。
    nfso -p -o nfs_dynamic_retrans=0
  7. すべてのネットワーク・ファイルシステム・チューニング・パラメーターのリブート値をリストするには、次のように入力します。
    nfso -r -a
  8. nfso コマンドが管理するすべてのチューナブル・パラメーターの、現行値とリブート値、範囲、単位、タイプと依存関係をリスト (スプレッドシート形式) するには、次のように入力します。
    nfso -x

関連情報

netstat コマンド、no コマンド