filemon コマンド

目的

ファイルシステムのパフォーマンスをモニターし、I/O アクティビティーを報告します。

構文

filemon [ -d ] [ -i Trace_File -n Gennames_File] [ -o File] [ -O Levels] [ -P ] [ -T n] [ -u ] [ -v ]

説明

filemon コマンドでは、ファイルシステムと入出力システム・イベントのトレースがモニターされ、その期間のファイルと入出力アクセスのパフォーマンスについて報告されます。

通常モードでは、filemon コマンドはバックグラウンドで実行され、1 つまたは複数のアプリケーション・プログラムまたはシステム・コマンドを実行し、モニターします。 filemon コマンドは自動的に始動され、プログラムのファイルシステムと入出力イベントのトレースをリアルタイムでモニターします。デフォルトでは、トレースは即座に開始されます。オプションでユーザーが trcon コマンドを発行してからトレースを開始するようにも設定できます。ユーザーは filemon コマンドの実行中にtrcoff コマンドと trcon コマンドを実行して、モニターを必要に応じてオフまたはオンにできます。トレースが trcstop コマンドによって停止されると、filemon コマンドは I/O アクティビティー・レポートを生成して、終了します。

また、filemon コマンドでは、トレース機能によって以前に記録されたトレース・ファイルを処理することもできます。ファイルと入出力アクティビティーの報告は、そのファイルに記録されているイベントに基づきます。

アプリケーションのファイルシステムのパフォーマンスについてより詳細な情報を提供するために、filemon コマンドでは次の 4 つのレベルでファイルと入出力アクティビティーをモニターします。

Logical file system (論理ファイルシステム) filemon コマンドでは、論理ファイル上の論理入出力操作をモニターします。 システム・コールの結果実際の物理入出力操作が行われるかどうかは、ファイルがすでにメモリーにバッファーされているかどうかに依存します。入出力統計はファイル単位で保持されます。
Virtual memory system (仮想記憶システム) filemon コマンドでは、セグメントとディスク上のそれらのイメージ間の物理入出力操作 (つまりページング) をモニターします。入出力統計はセグメント単位で保持されます。
Logical volumes (論理ボリューム) filemon コマンドでは、論理ボリューム上の入出力操作をモニターします。入出力統計は論理ボリューム単位で保持されます。
Physical volumes (物理ボリューム) filemon コマンドでは、物理ボリューム上の入出力操作をモニターします。このレベルでは、物理リソースの使用状況が取得されます。入出力統計は物理ボリューム単位で保持されます。

コマンド行フラグで指定したとおりに、この 4 つのレベルを任意に組み合わせてモニターできます。デフォルトでは、filemon コマンドによって、仮想記憶、論理ボリューム、物理ボリュームのレベルでの入出力操作だけがモニターされます。これらのレベルはすべて、実際のディスク入出力に対する要求に関連するものです。

filemon コマンドにより、その報告が標準出力または指定ファイルに書かれます。報告は、モニターしている各レベルの入出力アクティビティーの要約で始まり、モニターしている各レベルの入出力アクティビティー統計の詳細で終わります。要約と詳細報告の内容については、報告のセクションで説明します。

注:
  1. filemon コマンドによって生成されるレポートは、かなり長くなる場合があります。したがって、出力ファイルにレポートを書き込む際には、通常、-o オプションを使用してください。 アプリケーションによって物理デバイスがオープンされ、直接アクセスされるときには、完全な 512 バイト単位のブロックの読み取りおよび書き込みだけが、報告に反映されます。デバイス・コマンドを実行してデバイスの状況を読み取るためにデバイス・ドライバーによって使用される「短い」読み書きは、無視されます。 CD-ROM は、ハード・ディスクとは異なり、同心円上の「トラック」も「シリンダー」もありません。(ら旋上のトラックが 1 つあるだけです。) したがって、CD-ROM の場合は、シリンダーに関してシーク距離の統計情報を報告することは不可能です。
  2. -u フラグは、trace デーモンの始動前にオープンされたファイルに関するレポートを生成する場合に使用されます。このデータには役に立つものもありますが、そのほとんどはデーモンやほかの無関係のアクティビティーに該当します。このバックグラウンド情報は、大きなシステムの場合、特に多くなります。 /unix ファイルと実行中のカーネルが同じでない場合、カーネル・アドレスが正しくないので、filemon コマンドは終了します。filemon コマンドをシェル・スクリプト内から使用する場合、 filemon コマンドの出力ファイルの内容を表示するまでに、少し遅延が発生することを考慮してください。filemon コマンドでこのレポートを作成するのに、数秒かかることがあります。

システム・トレース機能

filemon コマンドでは、システム・トレース機能を使って、未加工の入出力パフォーマンス・データを獲得します。現在、トレース機能では 1 つの出力ストリームしかサポートしていません。したがって、filemon またはトレース・プロセスは 1 つずつ実行されます。別の filemon またはトレース・プロセスがすでに実行中の場合、filemon コマンドは次のようなメッセージで応答します。

/dev/systrace: Device busy

極度に入出力が集中するアプリケーションをモニターする場合、filemon コマンドでは、トレース・イベントをリアルタイムに (トレース・イベントが生成されるのと同じ速さで) 処理できないことがあります。この場合は、次のようなエラー・メッセージが表示されます。

Trace kernel buffers overflowed, N missed entries

このメッセージは stderr に表示されて、トレース・バッファーがいっぱいになったときに失われたトレース・イベントの数が示されます。filemon コマンドでは、入出力アクティビティーのモニターが継続されますが、報告の正確性はある程度失われます。オーバーフローを避ける 1 つの方法として、ファイルと入出力サブシステムをモニターするレベルを少なくする方法があります。生成されるトレース・イベントの数は、モニターするレベルの数に比例するためです。さらに、-T オプションを使ってトレース・バッファー・サイズを増やし、オーバーフローが発生する前にトレース・イベントのバーストを調整する方法もあります。ただし、トレース・バッファー・サイズを増やすことは、固定されたメモリーが増えるので、入出力やページングの動作に影響を及ぼすことがあるので注意してください。

メモリー制約のある (必要なメモリーが足りない) 環境では、-P オプションを使用すると、リアルタイムの filemon プロセスのテキストとデータ・ページをメモリーに固定できるので、ページがスワップアウトされません。 -P オプションを使用しないと、filemon プロセスがスワップアウトされるので、filemon コマンドの進行が遅れ、十分な速度でトレース・イベントを処理できないことがあります。このような状況が発生すると、トレース・バッファーは上記のようにオーバーフローしてしまいます。当然、このプロセスを固定すると、アプリケーションのメモリーは減少します (filemon コマンドは大きなプログラムではありませんが、そのプロセス・イメージによって使用されるメモリーは最大 500 KB になります)。

filemon コマンドを使って既存のトレース・データ・ファイルを処理する前に、trcrpt コマンドの -r オプションを使用して実行し、トレース・データを順番に新しいファイルに再度書き込む必要があります。この処理を行わないと、filemon コマンドによって次のエラー・メッセージが表示され、コマンドは終了します。

error: run 'trcrpt -r' on logfile first

-i Trace_File フラグ、および -n Gennames_File フラグを指定すると、 trace コマンドで作成されたトレース・データ・ファイルを filemon コマンドによってオフライン処理することができます。これらのフラグのいずれか一方が存在している場合には、もう一方も指定しなければなりません。これらのフラグは、リモート・マシンからトレース・ファイルのポストプロセスをする場合や、ある時点でトレース・データ収集を実行し、別の時点でそのポストプロセスをする場合に役に立ちます。システム負荷が大きく、filemon がトレース・フックを見逃している場合にも、これらのフラグは役に立ちます。

gennames ファイル (ファイルシステム情報が含まれています) は、トレース元のマシンから使用する必要があります。また、システム・トレース・ファイルが作成されるのとほぼ同時に、 gennames を実行して、両者のシステム構成が同じになるようにするのも賢明な方法です。

filemon に関係のあるトレース・フックは、trace コマンドにより収集され、trace -j フラグで指定されます。関係のあるトレース・フックが表示されるのは、-v フラグを使用して filemon を起動した場合です。次に -f オプションを指定した gennames コマンドが実行され、出力が Gennames_File に保管されて、filemon の追加情報を収集します。gennames コマンドに -f オプションを指定すると、物理ボリュームおよび論理ボリュームに関するデバイス情報が収集されます。このオプションは、オフラインの filemon によって使用される仮想ファイルシステム情報を収集する場合にも使用されます。 trace コマンドを実行した後、トレース・ログ・ファイルに trcrpt -r を実行し、別のファイルにリダイレクトする必要があります。その後、このファイルと Gennames_File は、 filemon に提供されることもあります。

レポート

filemon コマンドによって生成される各報告には、日付、マシン ID、モニター期間 (秒) を示すヘッダーがあります。また、モニター期間中の CPU 使用率も報告されます。

次に、モニターする各ファイルシステム・レベルごとに要約報告が生成されます。デフォルトでは、論理ファイルと仮想記憶についての報告は、転送されたデータの総量を調べて最もアクティブであった 20 個のファイルとセグメントにそれぞれ制限されます。 -v フラグを指定すると、すべてのファイルとセグメントについてのアクティビティーが報告されます。各ファイル、セグメント、ボリュームについて、それぞれ 1 行に報告されます。 4 つの要約報告の各行の列を、次のリストで説明します。

最もアクティブなファイルのレポート

説明
#MBS ファイルとの間で転送されたデータの合計量 (MB 単位)。このフィールドに従って、行は降順にソートされます。
#opns 測定期間中にファイルがオープンされた回数。
#rds ファイルに対して行われた読み取りシステム・コールの回数。
#wrs ファイルに対して行われた書き込みシステム・コールの回数。
file ファイルの名前 (詳細報告では絶対パス名)。
volume:inode ファイルが入っているボリュームの名前とそのファイルの i ノード番号。このフィールドを使って、ファイルと、仮想記憶入出力報告に表示される対応する永続セグメントを関連付けることができます。このフィールドはブランクになっている場合があります (実行時に生成されてから削除された一時ファイルなどの場合)。

最もアクティブなセグメントのレポート

説明
#MBS セグメントとの間で転送されたデータの合計量 (MB 単位)。このフィールドに従って、行は降順にソートされます。
#rpgs ディスクからセグメントに読み取られた (つまり、ページインされた) 4096 バイト単位のページ数。
#wpgs セグメントからディスクに書き込まれた (ページアウトされた) 4096 バイト単位のページ数。
segid セグメントの内部 ID。
segtype セグメントのタイプ: 作業セグメント、永続セグメント (ローカル・ファイル)、クライアント・セグメント (リモート・ファイル)、ページ・テーブル・セグメント、システム・セグメント、ファイルシステムのデータが入っている特殊永続セグメント (ログ、ルート・ディレクトリー、 .inode.inodemap.inodex.inodexmap.indirect.diskmap) のいずれか。
volume:inode 永続セグメントの場合、関連するファイルを持つボリューム名とそのファイルの i ノード番号。このフィールドは、永続セグメントをファイル入出力報告で表示される永続セグメントに対応するファイルに関連付けるために、使用します。永続セグメントでない場合、このフィールドはブランクになります。
注:
仮想メモリー分析ツール svmon を使用すると、セグメント ID (segid) を次のように指定して、セグメントに関する詳細を表示できます。
svmon -S <segid>

最もアクティブな論理ボリュームのレポート

説明
util ボリュームの使用状況 (使用率)。このフィールドに従って、行は降順にソートされます。
#rblk ボリュームから読み取られた 512 バイト単位のブロックの数。
#wblk ボリュームに書き込まれた 512 バイト単位のブロックの数。
KB/sec 合計の転送スループット (K バイト/秒)。
volume ボリュームの名前。
description ボリュームの内容: ファイルシステム名または論理ボリューム・タイプ (paging、jfslog、boot、または sysdump)。また、ファイルシステムがフラグメント化されているか、圧縮されているかについても示されます。

最もアクティブな物理ボリュームのレポート

説明
util ボリュームの使用状況 (使用率)。このフィールドに従って、行は降順にソートされます。
#rblk ボリュームから読み取られた 512 バイト単位のブロックの数。
#wblk ボリュームに書き込まれた 512 バイト単位のブロックの数。
KB/sec 合計のボリューム・スループット (K バイト/秒)。
volume ボリュームの名前。
description ボリュームのタイプ。たとえば、120MB disk355MB SCSI、または CDROM SCSI など。
注:
論理ボリューム入出力要求は、物理ボリューム入出力要求の前に始まり、物理ボリューム入出力要求の後で終了します。そのため、論理ボリュームの総使用状況は、物理ボリュームの総使用状況より多く見えます。

最後に、モニターしている各ファイルシステム・レベルごとに詳細報告が生成されます。デフォルトでは、論理ファイルと仮想記憶についての報告は、転送されたデータの総量を調べて最もアクティブであった 20 個のファイルとセグメントにそれぞれ制限されます。 -v フラグを指定すると、すべてのファイルとセグメントについてのアクティビティーが報告されます。各ファイル、セグメント、またはボリュームについて、それぞれ 1 つのエントリーに報告されます。

フィールドのなかには、1 つの値が報告されるものと、たくさんの値の分布を示す統計が報告されるものがあります。たとえば、応答時間統計には、モニターされた読み取りまたは書き込みの要求すべてについての統計が保持されます。また、平均、最小、最大の応答時間に加え、応答時間の標準偏差も報告されます。標準偏差は、個別の応答時間が平均からかけ離れている度合いを示すために使用されます。抽出した応答時間の約 2/3 が average - standard deviationaverage + standard deviation の間にあります。応答時間の分布が広範囲に広がると、標準偏差は平均応答時間と比較して大きくなります。 4 つの明細報告を、次のリストで説明します。

ファイル状態の詳細レポート

説明
FILE ファイルの名前。可能であれば、絶対パス名が表示されます。
volume ファイルが入っている論理ボリュームまたはファイルシステムの名前。
inode ファイルシステム内でのファイルの i ノード番号。
opens モニター中にファイルがオープンされた回数。
total bytes xfrd ファイルから読み取られたバイト、またはファイルに書き込まれたバイトの合計数。
reads ファイルに対して行われた読み取りコールの数。
read sizes (bytes) バイト単位の読み取り転送サイズの統計 (avg/min/max/sdev)。
read times (msec) ミリ秒単位の読み取り応答時間の統計 (avg/min/max/sdev)。
writes ファイルに対して行われた書き込みコールの数。
write sizes (bytes) 書き込み転送サイズの統計。
write times (msec) 書き込み応答時間の統計。
seeks lseek サブルーチン呼び出しの回数。

VM セグメント状態の詳細レポート

説明
Segment 内部セグメント ID。
segtype セグメントの内容のタイプ。
segment flags 各種のセグメント属性。
volume 永続セグメントの場合は、対応するファイルが入っている論理ボリュームの名前。
inode 永続セグメントの場合は、対応するファイルの i ノード番号。
reads セグメントに読み込まれた (つまり、ページインされた) 4096 バイト単位のページ数。
read times (msec) ミリ秒単位の読み取り応答時間の統計 (avg/min/max/sdev)。
read sequences 読み取りシーケンスの数。シーケンスとは、連続して読み取られた (ページインされた) ページの文字列のことです。読み取りシーケンスの数は、順次アクセスの総計を示します。
read seq. lengths 読み取りシーケンスの長さを記述した統計 (ページ単位)。
writes セグメントから書き込まれた (つまり、ページアウトされた) ページ数。
write times (msec) 書き込み応答時間の統計。
write sequences 書き込みシーケンスの数。シーケンスとは、連続して書き込まれた (ページアウトされた) ページの文字列のことです。
write seq.lengths 書き込みシーケンスの長さを記述した統計 (ページ単位)。

論理/物理ボリューム状態の詳細レポート

説明
VOLUME ボリュームの名前。
description ボリュームの記述。(論理ボリュームの場合は内容、物理ボリュームの場合はタイプが記述されます。)
reads ボリュームに対して行われた読み取り要求の回数。
read sizes (blks) 512 バイト・ブロック単位の、読み取り転送サイズの統計 (avg/min/max/sdev)。
read times (msec) ミリ秒単位の読み取り応答時間の統計 (avg/min/max/sdev)。
read sequences 読み取りシーケンスの数。シーケンスとは、連続して読み取られた 512 バイト単位のブロックの文字列のことで、順次アクセスの総数を示します。
read seq. lengths 読み取りシーケンスの長さを記述した統計 (ブロック単位)。
writes ボリュームに対して行われた書き込み要求の回数。
write sizes (blks) 書き込み転送サイズの統計。
write times (msec) 書き込み応答時間の統計。
write sequences 書き込みシーケンスの数。シーケンスとは、連続して書き込まれた 512 バイト単位のブロックの文字列のことです。
write seq. lengths 書き込みシーケンスの長さを記述した統計 (ブロック単位)。
seeks 読み取りまたは書き込み要求の前に行われたシークの数。シークを必要とした読み取りと書き込みの総数に対するパーセントで表されます。
seek dist (blks) シーク距離の統計 (512 バイトのブロック単位)。通常の統計 (avg/min/max/sdev) に加え、初期シーク動作の距離 (ブロック 0 が開始位置と仮定する) が個別に報告されます。このシーク距離の統計は非常に大きくなる場合があるので、ほかの統計を壊さないように、個別に報告されます。
seek dist (cyls) (ハード・ディスクのみ) シーク距離の統計 (ディスク・シリンダー単位)。
time to next req ボリュームに対する連続した読み取りまたは書き込み要求間の時間の長さを記述した、ミリ秒単位の統計 (avg/min/max/sdev)。この列は、ボリュームのアクセス率を示しています。
throughput 合計のボリューム・スループット (K バイト/秒)。
utilization ボリュームが使用中の時間。このフィールドに従って、この報告内のエントリーは降順にソートされます。

フラグ

-i Trace_File リアルタイム・トレース・プロセスからではなく、指定した Trace_File から入出力トレース・データを読み取ります。filemon 報告では、トレース・ファイルに表されたシステムと期間についての入出力アクティビティーが要約されます。
注:
通常、トレース・データ・ファイルは循環方式で書き込まれます。トレース・データが折り返された場合、ファイルの途中に、トレースの始めと終わりがくる場合があります。 filemon コマンドを起動する前に、次のように trcrpt コマンドのロウ・モードを使って、データを順次的に書き換えてください。
trcrpt -r file > new.file

報告の正確性を高めるために、トレース・ファイルには、filemon コマンドに必要なすべてのフックが入っている必要があります。

-n オプションも指定しなければなりません。

-n Gennames_File オフライン・トレース処理のために Gennames_File を指定します。このファイルは、次のように、-f オプションを指定して gennames コマンドを実行し、出力をファイルにリダイレクトすると作成されます。

gennames -f > file

-i オプションも指定しなければなりません。

-o File stdout ファイルにではなく、指定した File に入出力アクティビティーの報告を書き込みます。
-d filemon コマンドを始動しますが、ユーザーが trcon コマンドを実行するまでトレースを開始しません。デフォルトでは、トレースは即時に開始されます。
-T n カーネルのトレース・バッファー・サイズを n バイトに設定します。デフォルト・サイズは 32 000 バイトです。必要であれば、バッファー・サイズを増やして、イベントのバーストを調整できます。(典型的なイベント・レコード・サイズは 30 バイトです。)
注:
カーネル内のトレース・ドライバーではダブル・バッファリングが使用されます。したがって、実際には、サイズ n バイトには 2 つのバッファーが割り当てられます。また、これらのバッファーはメモリーに固定されているので、ページングの対象にはなりません。バッファーを大きくすると、ページングやほかの入出力のパフォーマンスに影響を及ぼす場合があります。
-P モニター・プロセスをメモリーに固定します。 -P フラグを指定すると、モニター期間中、filemon コマンドのテキストとデータ・ページがメモリーに固定されます。このフラグは、メモリー制約のある環境で実行するときに、リアルタイム filemon プロセスがページアウトされないようにするためのものです。
-v エクストラ情報を報告に出力します。 -v フラグの最も重要な機能は、最もアクティブな論理ファイルとセグメントが最大 20 までという制限がなく、アクセスされたすべての論理ファイルとセグメントが入出力アクティビティーの報告に含まれることです。
-O Levels 指定したファイルシステム・レベルだけをモニターします。次のレベル ID が有効です。
lf
論理ファイル・レベル
vm
仮想記憶レベル
lv
論理ボリューム・レベル
pv
物理ボリューム・レベル
all
lf、vm、lv、pv の短形
デフォルトでは、vmlvpv の各レベルがモニターされます。
-u trace デーモンの始動前にオープンされたファイルについて報告します。ファイル名の代わりに、プロセス ID (PID) とファイル・ディスクリプター (FD) が使用されます。
注:
PID と FD は再使用可能なので、異なるファイルが同じ名前フィールドで報告される場合があります。

  1. ファイルシステムの仮想記憶、論理ボリューム、物理ボリュームの各レベルで物理入出力アクティビティーをモニターするには、次のように入力します。

    filemon

    filemon コマンドによって自動的にシステム・トレースが開始され、コマンド自体はバックグラウンドに入ります。このコマンドの後に、この時点で実行するアプリケーション・プログラムとシステム・コマンドを入力してから、次のように入力します。

    trcstop

    trcstop コマンドを実行した後、入出力アクティビティー・レポートが標準出力に表示されます (ただし、画面がスクロールされて全体が表示されない場合もあります)。仮想記憶の入出力の報告は、多くの入出力が関連する 20 個のセグメントに制限されます。

  2. すべてのファイルシステム・レベルでアクティビティーをモニターし、fmon.out ファイルに報告を書き込むには、次のように入力します。

    filemon -o fmon.out -O all

    filemon コマンドによって自動的にシステム・トレースが開始され、コマンド自体はバックグラウンドに入ります。このコマンドの後に、この時点で実行するアプリケーション・プログラムとシステム・コマンドを入力してから、次のように入力します。

    trcstop

    trcstop コマンドを実行すると、入出力アクティビティーの報告が fmon.out ファイルに書き込まれます。ファイルと入出力システムの 4 つのレベルすべて (論理ファイル、仮想記憶、論理ボリューム、物理ボリュームのすべてのレベル) がモニターされます。論理ファイルと仮想記憶の入出力の報告は、それぞれ、多くの入出力が関連する 20 個のファイルとセグメントに制限されます。

  3. すべてのファイルシステム・レベルでアクティビティーをモニターし、fmon.out ファイルに詳細レポートを書き込むには、次のように入力します。

    filemon -v -o fmon.out -O all

    filemon コマンドによって自動的にシステム・トレースが開始され、コマンド自体はバックグラウンドに入ります。このコマンドの後に、この時点で実行するアプリケーション・プログラムとシステム・コマンドを入力してから、次のように入力します。

    trcstop

    この例は、fmon.out ファイル上で詳細レポートが生成される点を除き、前の例に似ています。主な違いは、filemon コマンドがトレースを開始するときに踏襲したステップが示されることと、要約と詳細報告に 20 個のファイルとセグメントだけではなく、すべての入出力に関連する (おそらく多数の) すべてのファイルとセグメントが含まれることです。

  4. 以前に記録したトレース・セッションから取り出された入出力アクティビティーを報告するには、次のように入力します。

    filemon -i trcfile | pg

    この例では、filemon コマンドによって、入力ファイル trcfile からファイルシステム・トレース・イベントが読み取られます。入力ファイルは、trcrpt -r コマンドを実行した結果のロウ・トレース・フォーマットでなければなりません。トレース・データはすでにファイルに取り込まれているので、アプリケーション・プログラムの実行のために、filemon コマンドがそれ自体をバックグラウンドに入れることはありません。ファイルが完全に読み取られると、仮想記憶、論理ボリューム、物理ボリュームの各レベルの入出力アクティビティーの報告が標準出力に表示されます (この例では、pg にパイピングされています)。

  5. trcontrcoff コマンドを使ってモニター期間を制御しながら、論理ボリュームと物理ボリュームの入出力アクティビティーだけをモニターするには、次のように入力します。

    filemon -d -o fmon.out -O pv,lv

    filemon コマンドによって自動的にシステム・トレースが開始され、コマンド自体はバックグラウンドに入ります。このコマンドの後に、この時点で実行するモニター対象でないアプリケーション・プログラムとシステム・コマンドを入力してから、次のように入力できます。

    trcon

    このコマンドの後に、この時点で実行するモニター対象のアプリケーション・プログラムとシステム・コマンドを入力してから、次のように入力できます。

    trcoff

    このコマンドの後に、この時点で実行するモニター対象でないアプリケーション・プログラムとシステム・コマンドを入力してから、次のように入力できます。

    trcon

    このコマンドの後に、この時点で実行するモニター対象のアプリケーション・プログラムとシステム・コマンドを入力してから、次のように入力できます。

    trcstop

    この例では、-O フラグで、モニターを論理ボリュームと物理ボリュームだけに制限しています。論理ボリュームと物理ボリュームに関連するトレース・イベントだけが使用可能です。また、-d フラグを使用しているので、 trcon コマンドが実行されるまでモニターは開始されません。システム・トレースは、trcofftrcon コマンドによって、断続的に行うことができます。したがって、特定の期間だけモニターできます。

  6. オフライン・モードで filemon を実行するには、次のように、trace コマンドと gennames コマンドを別々に実行し、その後、これらのコマンドからの出力を filemon コマンドへの入力として使用します。

    trace -a -T 768000 -L 10000000 -o trace.out -j 000,000,001,002,003,005,006,139,102,10C,106,00A,107,
    101,104,10D,15B,12E,130,163,19C,154,3D3,1BA,1BE,1BC,10B,221,1C9,222,228,232,45B

    モニター対象のアプリケーション・プログラムとシステム・コマンドを実行してから、次のように入力します。

    trcstop

    次に、trace ファイルをフォーマットします。

    trcrpt -r trace.out > trace.rpt

    gennames ファイルを作成します。

    gennames -f > gennames.out

    次に、-i-n フラグの両方を指定して filemon を実行します。

    filemon -i trace.rpt -n gennames.out -O all

関連情報

svmon コマンド、 trcstop コマンド