動的クラスターのカスタム・プロパティーを使用して、動的クラスターおよびアプリケーション配置の動作を変更できます。
equalCPUFactor カスタム・プロパティーを使用すると、動的クラスター内のサーバーのパフォーマンスを均一化する方法を動的ワークロード・マネージャー (DWLM) に指示することができます。
平均サービス時間を均一化することを最優先にしたい場合、このカスタム・プロパティーの値を 0 に設定します。ノードのプロセッサー使用率を均一化したい場合、値を 1 に設定します。 両方の指標を相互間の相対的重みを基にして混用したい場合、値を 0 から 1 までの小数値 (例えば 0.4) に設定します。値を小数に設定することにより、0.4 の相対的重みをプロセッサー使用率、1–0.4 つまり 0.6 の相対的重みを平均サービス時間にかけます。
両方の指標を同時に均一化することが常に可能であるわけではありません。例えば、異機種のサーバーが混在した環境や、異なる背景負荷の量が変動するような環境では、プロセッサー使用率を均一化すると、結果として平均サービス時間が均一化されなくなる場合があります。 同じプロセッサー使用率で高速のサーバーと低速のサーバーが稼働していると、結果的にそれぞれ要求の平均サービス時間が短くなったり、長くなったりします。 より深い層にある複数のサーバーの 1 つで要求に費やされる時間が長くなると、平均サービス時間に違いが出てくる場合があります。深い層のサーバーが単一機種であり、等しいプロセッサー使用率を持っていても、要求が送られたサーバーによっては、この違いが発生することがあります。他にも、要求のサービス時間がプロセッサー以外のリソースに左右されるような状況が存在します。equalCPUFactor カスタム・プロパティーの値は、DWLM コントローラーが均一化される平均サービス時間とプロセッサー使用率の両方の重み付けされた指標を決定する際に役立ちます。
equalCPUFactor カスタム・プロパティーがなくても、一定の動的クラスターにおけるサーバーのプロセッサー使用率は、DWLM コントローラーの動作に影響します。一般的に、プロセッサー使用率が低い場合には、負荷の均等分散がサービスの時間や使用率のパフォーマンスの均一化に優先します。 次第に使用率が上昇していくと、パフォーマンスの均一化が優先され始めます。プロセッサー使用率の値が著しく高い場合、不安定性を克服できるほど、重みは簡単には変えられません。プロセッサー使用率が高い場合、その極端な動作点における負荷分散のパフォーマンスの重要性が増します。
有効範囲 | セル。セル内のすべての動的クラスターに適用されるか、個別の動的クラスター・レベルで適用されます。カスタム・プロパティーが動的クラスター・レベルとセル・レベルの両方で指定された場合、動的クラスター・レベルの値がセル・レベルで指定された値に優先されます。 |
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有効な値 | 0 と 1 の間の小数。 |
デフォルト | 非仮想化環境の場合は 0 で、仮想化環境の場合は 1 です。 |
HttpSessionRebalanceOff カスタム・プロパティーを使用して、 HTTP セッションの再平衡化を使用不可にできます。
HTTP セッション再平衡化は自動的に使用可能になります。HTTP セッションの再平衡化を使用して、 既存のセッション・アフィニティーを所定の Web アプリケーションの処理に 使用できる新規サーバーに再割り当てすることができます。 詳しくは、HTTP セッションの再平衡化 を参照してください。
構成を以前の HTTP セッションの動作に戻す場合は、 HttpSessionRebalanceOff カスタム・プロパティーを使用します。ただし、セッション・アフィニティーは、 ある特定のアプリケーション・サーバーと共に確立され、使用可能な新規サーバーには再割り当てされていません。
PHP または Tomcat サーバーなどの WebSphere® Application Server を実行していないサーバーからなる動的クラスター上では、セッションの再平衡化はデフォルトでは使用不可となっています。それは、これらのサーバーに対して、既に別のセッション・クラスタリング機構がデプロイされている可能性があるからです。
セッションのサイズが大きい場合は、HTTP セッションの再平衡化を使用不可にすることもできます。 セッションが大規模な場合、セッションを新規サーバーに移すコストが、 移動元のサーバーから作業負荷を取り除くメリットよりも上回る可能性があります。 Performance Monitoring Infrastructure (PMI) データを使用して、 セッションの再平衡化をオフにする決定を下すことができます。PMI データには、応答時間、メモリー使用率、およびプロセッサー使用率が、 セッション情報を転送する特定のサーバーで増加していることが読み取れます。PMI データの分析と HTTP セッションの使用法のベスト・プラクティスについての詳細は、 WebSphere Application Server Network Deployment インフォメーション・センターを参照してください。
セッションの再平衡化をオンのままにすると、 セッションがより均等に分配されて、メモリーとプロセッサーの使用率もクラスターの サーバー全体でより均等に分配されます。クラスターの平衡化が進むと、 WebSphere Virtual Enterprise のオートノミック決定がしやすくなります。
有効範囲 | 動的クラスター |
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有効な値 | true: HTTP セッション再平衡化を使用不可にします。 false: HTTP セッション再平衡化を使用可能にします。WebSphere Application Server アプリケーション・サーバーの HTTP セッション再平衡化を使用不可にしたい場合は、このカスタム・プロパティーを削除できます。 |
デフォルト | WebSphere Application Server アプリケーション・サーバーから構成される動的クラスターの場合: false (使用可能) WebSphere Application Server アプリケーション・サーバーでないサーバー (PHP サーバーや Tomcat サーバーなど) から構成される動的クラスターの場合: true (使用不可) |
このカスタム・プロパティーを使用して、 ノードの動的クラスター・インスタンスの数を定義します。
動的クラスターのノードが異機種混合で、能力が異なる場合は、 このカスタム・プロパティーのみを使用します。 動的クラスターのノードが同種である場合は、管理コンソールで 動的クラスター・インスタンスの数を一度に定義できます。
詳しくは、垂直スタッキングをサポートする異種ノードの動的クラスターの構成 を参照してください。
有効範囲 | 動的クラスター |
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名前フォーマット | カスタム・プロパティーの名前として numVerticalInstances.node_name を指定します。ここで node_name はノードの名前です。 |
有効な値 | スタッキング数を表わす整数値。 |
proactiveIdleStop カスタム・プロパティーを使用して、アクティビティーのない期間に開始した動的クラスター・インスタンスを停止できます。
このカスタム・プロパティーは、管理コンソールの「他の動的クラスターがリソースを必要とする場合、アクティビティーのない期間に開始した、このクラスターのすべてのインスタンスを停止する」設定に機能を追加します。 この設定は、このカスタム・プロパティーで使用可能にする必要があります。管理コンソール設定を使用した場合、 セル内の他のクラスターが、非アクティブ・インスタンスで使用されているリソースを必要とする場合にのみ、インスタンスが停止します。 また、クラスターのインスタンスを停止するまでの待ち時間も指定します。このカスタム・プロパティーを設定することによって、 環境内の他の場所でリソースが必要とされていない場合でも、非アクティブ・インスタンスは停止されます。クラスター・インスタンスは、 管理コンソール設定で指定された期間の間、アイドル状態となります。
アプリケーション配置コントローラーは、管理コンソール設定で指定した時間から「アプリケーション配置コントローラー構成」パネルの「配置変更の間の最小時間」設定に指定した値を加えた時間の間の一定ポイントでインスタンスを停止します。例えば、proactiveIdleStop カスタム・プロパティーを true に設定し、「配置変更の間の最小時間」の値が 15 分で、「インスタンスを停止するまでに待機する時間」の値が 5 分の場合、動的クラスター・インスタンスは、最後の要求がこのインスタンスにルーティングされた後の 5 分から 20 分の間のある時点で停止されます。
有効範囲 | セル |
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有効な値 | ブール |
デフォルト | false (使用不可) |