WebSphere Virtual Enterprise, Version 6.1.1
             オペレーティング・システム: AIX , HP-UX, Linux, Solaris, Windows,


サービス・ポリシーの定義

作業要求の分類および優先順位付けを行うために、サービス・ポリシーを、またほとんどの種類の作業要求ではそれに加えて作業クラスを定義できます。 サービス・ポリシーは、ユーザー定義のパフォーマンス目標と (一部の場合は) 重要度レベルとで構成されています。

始める前に

このタスクについて

サービス・ポリシーは、トランザクション・クラスによって作業要求に関連付けられています。 各作業要求は、厳密に 1 つのトランザクション・クラスに属し、各トランザクション・クラスは厳密に 1 つのサービス・ポリシーに属しています。 ほとんどの種類の作業要求では、作業クラスを使用して、着信要求をトランザクション・クラスにマップします。 各作業クラスは、Java™ 2 Platform, Enterprise Edition (J2EE) アプリケーションおよび基本的な要求フィーチャーに付加されます (HTTP の場合は URI 接頭部、IIOP の場合はメソッド名、Java Message Service (JMS) の場合はバスと宛先)。各作業クラスにより、該当する要求がトランザクション・クラスに分類される方法が指定されます。 汎用サーバー・クラスターおよび SIP では、作業クラスは使用されません。 代わりに、トランザクション・クラスに各要求を分類するルールが ODR に構成されています。

サービス・ポリシーのカスタム・プロパティーを使用すると、トランザクション・クラス・ベースで永続サービス・ポリシーの違反に注意するサービス・ポリシーを提供できます。サービス・ポリシーのカスタム・プロパティー を参照してください。

UDP 経由の SIP トラフィックの場合、CPU 過負荷による再送信が発生するのを防止するために、CPU 過負荷防止用のアドミッション制御を使用可能にする必要があります。SIP の CPU 過負荷保護用にアドミッション制御を使用する場合、目標の任意タイプは使用しないでください。 平均応答時間または百分位数応答時間の目標のみを使用する必要があります。 目標に設定される応答時間のしきい値は、クライアントの T1 タイマーの値 (デフォルトで 500 ミリ秒) より十分に低くする必要があります。 リジェクト平均応答時間のしきい値 (ARFM コントロール・パネルで構成されている目標の応答時間のしきい値およびリジェクト・ポリシーから派生した値) は、クライアントの T1 タイマーより小さくする必要があります。 CPU 過負荷保護用のアドミッション制御の使用可能化の方法について詳しくは、オートノミック要求フロー・マネージャーの構成 を参照してください。

制約事項: HTTP または SIP に対するダイアログ/セッション方向が有効である場合、既存のダイアログまたはセッションの一部であるメッセージ、および 既存のダイアログまたはセッションの一部ではないメッセージにはサービス・ポリシーを適用できません。

無負荷または負荷が軽いシステムでの単一の要求または少数の要求のサービス時間 または応答時間 (つまり無負荷システムでの単一要求に必要な時間) を使用すると、応答時間が小さいため、そのサービス・ポリシーの構成では (平均または百分位数の応答時間目標のいずれでも) 追加のインスタンスが開始されません。システムは、追加のインスタンスを開始しても、目標を達成する能力の改善につながらないと判断します。百分位数の目標では、対象の各パラメーター (応答時間ターゲット (RTT)、または目標値、および百分位数しきい値 (PCT)、または目標パーセンテージ) 間の関係に対して ARFM および APC は高感度になっています。

以下に、応答時間で開始し、単一の要求サービス時間の 2 倍、3 倍、4 倍などの RTT に増加する範囲の例を示します。 最低および最高の PCT が提供されます。 アプリケーションごとにこれらの度合いは異なる場合がありますが、ユーザーの特定のニーズに対してサービス・ポリシーを調整する開始点としてこれらの範囲が提供されています。 百分位数の目標では、ARFM および APC は各パラメーター (RTT または目標値、および PCT または目標パーセンテージ) の関係を把握しています。

プロシージャー

  1. 管理コンソールで、「動作ポリシー」>「サービス・ポリシー」を クリックします。既存のサービス・ポリシーを選択して編集することも、 「新規」をクリックしてサービス・ポリシーを作成することもできます。 既存のサービス・ポリシーを編集するには、 サービス・ポリシー名をクリックします。
  2. 新規サービス・ポリシーの名前、説明、目標タイプを作成して ください。 目標タイプは、以下のような任意、 平均応答時間、百分位数応答時間、完了時間のいずれかにできます。
    • 任意目標はデフォルトであり、有効な値のない作業を表します。 その結果として、このタイプの作業ではリソースに制約があるときパフォーマンスが低下することが あります。
    • 平均応答時間目標は任意より優先度が高い作業を 表します。平均応答時間には、特定の時間目標が割り当てられます。
    • 百分位数応答時間目標は、任意よりも優先度が高い作業のための 別の手段です。百分位数応答目標は以下のパネルの特定の基準により 定義されます。百分位数応答時間目標は、 応答時間が T 以下の要求の比率で、これは P 以上になります。 1 つの目標は T と P に対して特定の値を持ちます。
    • 完了時間の目標は、サービス・ポリシーが暗黙に示すサービスのレベルが維持され、ジョブの完了に許容できる最大時間 (分) を指定します。 完了時間とは、グリッド・ジョブのキュー時間と実行時間を加えたものです。完了時間を、サービス・ポリシーに関連付けられた重要度 と組み合わせることによって、重要なジョブが先にディスパッチされます。キャパシティーがある場合、すべてのジョブは即座にディスパッチされます。完了時間の目標タイプは、即座に処理可能なジョブ数より多くのジョブがある場合にのみ使用されます。 ジョブは、単にディスパッチされるだけでなく、完了時間までに完了するよう試行されます。アプリケーション配置コントローラー (APC) は、ジョブの履歴日付を評価し、このデータに基づいてジョブをディスパッチします。例えば、完了時間を 30 分に設定した場合、履歴日付からジョブの完了には 30 分かかることが APC により判別されると、このジョブは直ちにディスパッチされます。バッチ・ジョブのパフォーマンス特性を予測する場合にはジョブのクラスが重要です。APC の設計では、クラス A のジョブには、通常、クラス A のその他のジョブと同じパフォーマンス特性があると想定します。 キュー時間は、WebSphere® Virtual Enterprise バージョン 6.1 では非推奨です。
  3. オプション: 平均応答時間、百分位数応答時間、または完了時間の目標タイプを選択すると、特性を定義し、重要度を選択するプロンプトが出されます。

    平均応答時間の目標の場合、目標値を入力し、重要度をサービス・ポリシーに関連付け、「パーシスタント・ポリシー違反のモニター」を選択して、ポリシー違反が発生したときのランタイム・タスクの作成をセットアップします。

    重要度をサービス・ポリシーに関連付ける場合、重要度のオプションが最低から最高までさまざまであるということに注意してください。すべての作業が最高とランクされた場合、 否定的な結果が出ることがありますので、ある程度計画して正確な重要度値を選択することが 不可欠です。このレーティングは環境内でボトルネックを生じる場合が あります。ポリシー違反を定義するには、「目標差分値」および「期間値」を指定します。
    • 目標差分値」フィールドに、構成した目標値を超過する、最大で許容できる時間を示す整数を入力します。 許容値は、0 から 3000 ミリ秒、0 から 300 秒、 および 0 から 2147483647 分です。
    • Time period value」フィールドに、目標値違反が発生した後のミリ秒、秒、または分を示す整数を入力します。 指定できる値は、0 から 1 日です (両端を含む)。

    百分位数応答時間の場合、目標百分位数を、次のフィールドで定義する目標値を満たす必要がある要求のパーセンテージに設定します。次に、目標値を入力し、重要度をサービス・ポリシーに関連付け、「パーシスタント・ポリシー違反のモニター」を選択して、ポリシー違反が発生したときのランタイム・タスクの作成をセットアップします。

    目標値の場合、サービス・ポリシーの最大許容時間を入力します。この環境は、定義された目標以下に維持するようにして、最も平衡する結果が得られるよう継続的に調整します。重要度をサービス・ポリシーに関連付ける場合、重要度のオプションが最低から最高までさまざまであるということに注意してください。すべての作業が最高とランクされた場合、 否定的な結果が出ることがありますので、ある程度計画して正確な重要度値を選択することが 不可欠です。ポリシー違反を定義するには、以下のように「目標差分の百分率」および「期間値」を指定します。
    • 「目標差分値」フィールドでは、モニターする目標値よりも低い要求のパーセンテージを示す整数を入力します。許容値は 0 から 100 です。
    • Time period value」フィールドに、目標値違反が発生した後のミリ秒、秒、または分を示す整数を入力します。
    ランタイム・タスクは、一定基準の違反が発生した場合に生成されます。例えば、次の百分位数応答時間の例では、百分位数目標が 90%、目標差分が 5% で、85% 未満の要求しか 1 秒 (連続 5 秒の間) のサービス時間目標を満たさなかった場合、すなわち、15% を超える要求が 1 秒 (連続 5 秒の間) のサービス時間目標を超えた場合に、サービス・ポリシーの違反となります。システムでは、なお 90% の目標を満たそうとするようにトラフィックを優先しますが、違反通知は、85% (90% マイナス 5%) のしきい値が破られない限り発行されません。
    表 1. 百分位数応答時間の例
    説明
    目標百分位数 90%
    目標値 1
    重要度 1
    永続サービス・ポリシーの違反のモニター true
    目標差分の百分率: 5%
    期間値 5 秒

    完了時間の場合、目標値を入力し、重要度をサービス・ポリシーに関連付けます。 目標値の場合、サービス・ポリシーの最大許容時間を入力します。この環境では、相対的なパフォーマンス結果の最適なバランスに到達して維持できるように、自動的に調整可能なすべてのコントロールを継続して調整します。重要度をサービス・ポリシーに関連付ける場合、重要度のオプションが最低から最高までさまざまであるということに注意してください。すべての作業が最高とランクされた場合、 否定的な結果が出ることがありますので、ある程度計画して正確な重要度値を選択することが 不可欠です。このレーティングは環境内でボトルネックを生じる場合が あります。

  4. トランザクション・クラス・メンバーをサービス・ポリシーに関連付けるか、 新規トランザクション・クラスを作成してください。 探しているトランザクション・クラスが存在しない場合は、 新規トランザクション・クラスを作成してください。
  5. サービス・ポリシーの作業クラスを作成するには、管理コンソールで、 「アプリケーション」>「エンタープライズ・アプリケーション」>「application_name」>「サービス・ポリシー」と クリックします。既存のサービス・ポリシーを選択し、要求タイプに応じて「新規」をクリックしてください。

    HTTP 用の新規サービス・ポリシーを作成するには、作業クラスの名前を指定し、モジュールを選択して、追加するメンバーを選択します。オプションで、カスタム URI を使用するには、「カスタム URI パターン」フィールドでその名前を入力し、「パターンの追加」をクリックします。例えば、JavaServer Pages (JSP) 作業を行う場合、カスタム URI が必要 です。

    SOAP 用の新規サービス・ポリシーを作成するには、作業クラスの名前を指定し、モジュールを選択して、追加する Web サービス操作を選択します。

    IIOP 用の新規サービス・ポリシーを作成するには、作業クラスの名前を指定し、モジュールを選択して、追加する EJB メソッドを選択します。オプションで、カスタム EJB を使用するには、「カスタム EJB 名」および「カスタム EJB メソッド」フィールドに情報を入力し、「パターンの追加」をクリックします。

    JMS 用の新規サービス・ポリシーを作成するには、作業クラスの名前を指定し、モジュールを選択し、定義済みのバスを選択して、EJB メソッドを選択します。オプションで、カスタム・バスを使用するには、「カスタム・バス名」および「カスタム・バス宛先 (Custom bus destination)」フィールドに情報を入力し、「パターンの追加」をクリックします。

    SIP 用にサービス・ポリシーを作成するには、次の 2 つのポリシーを作成する必要があります。
    1. 以下の値を含むデフォルト SIP ポリシーを作成します。
      • 目標タイプ = 平均応答時間
      • 目標値 = 75 ミリ秒
      • 重要度 = 高
    2. 以下の値を含む INVITE ポリシーを作成します。
      • 目標タイプ = 平均応答時間
      • 目標値 = 75 ミリ秒
      • 重要度 = 低
    3. 以下のようにサービス・ポリシー SIP ルールを設定します。
      • request.method = INVITE の場合、トランザクション・クラス Default _TC_INVITE (INVITE) に分類します。
      • ルールが適用されない場合、トランザクション・クラス Default_TC_def_sip (def_sip) に分類します。
  6. システムでは、サービス・ポリシー構成に対して行った変更を自動的に検出します。サービス・ポリシーおよび作業クラスを更新した場合に、サーバーを再始動する必要はありません。

結果

サービス・ポリシーとルーティング・ルールを使用して、ビジネス目標が定義され、 アプリケーション URI にその目標が適用されました。これでご使用のシステムは 作業をカテゴリー化し、優先順位付けができるようになりました。



関連概念
作業クラスの概要
作業クラスのタイプ
関連タスク
オートノミック要求フロー・マネージャーの構成
関連資料
ルーティング・ポリシーおよびサービス・ポリシー
管理のロールと特権
関連情報
サービス・ポリシーのカスタム・プロパティー
ODR ルーティング・ポリシー・ルールの管理用タスク
ODR サービス・ポリシー・ルールの管理用タスク
タスク・トピック    

ご利用条件 | フィードバック

最終更新: 2009/09/17 16時30分32秒EDT
http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/wxdinfo/v6r1m1/index.jsp?topic=/com.ibm.websphere.ops.doc/info/odoe_task/todrpolicy.html