HTTP セッション再平衡化を使用すると、アプリケーション・サーバー間での HTTP セッション配分のバランスを、動的かつアクティブに取ることができます。
WebSphere® Application Server は、アプリケーション・サーバーの類縁性 に基づいて HTTP セッションを割り当てます。 ある特定のアプリケーション・サーバーにセッションが確立されると、 同じセッションに属す後続の要求は、確立済みのセッション類縁性を 持つアプリケーション・サーバーに割り当てられます。
セッション類縁性により、セッションの負荷は クラスターに対して長期間でバランスさせることができます。 一般に発生するすべての不均衡は短期間であり、許容できます。 しかし、セッションの再平衡化を使用して、 セッション類縁性の持つパフォーマンス上の利点を損なうことなく、 発生する短期間の不均衡の一部を救うことができます。
WebSphere Virtual Enterprise では、 セッションの再平衡化を使用して、 クラスターにまたがるセッションの平衡化を早めています。分散セッションを使用し、Cookie を使用してセッションをトラッキングする場合は、セッションの再平衡化を使用できます。デフォルトでは、 WebSphere Virtual Enterprise アプリケーション・サーバーは、Cookie を使用したセッションのトラッキングが有効の状態で構成されていますが、分散セッションは構成されていません。
静的クラスター内のサーバー構成で使用するステップは、動的クラスター内のサーバーに対しても使用できます。動的クラスターを構成する場合、 クラスター内のサーバーが自動的に開始しないように、あらかじめ動的クラスターを手動モードにしてください。クラスター内のすべてのサーバーの分散環境設定を変更した後に、動的クラスターを自動モードに切り替えます。モードを切り替えない場合、 動的クラスター内で既に開始しているサーバーを停止および再始動して、分散環境設定の変更を反映させる必要があります。
新規サーバーが動的クラスター内で使用可能になったときは、 そのサーバーには割り当てられた HTTP セッションはありません。 しかし、動的クラスター内の既存サーバーは、 類縁性が割り当てられたセッションを持っています。
WebSphere Extended Deployment バージョン 6.0.1 以降では、 セッションの再平衡化の目的は、動的クラスター内の各サーバーで実行中のセッションの数が、 サーバーの割り当てられた重みと比例するようにセッションを再割り当てすることです。 動的ワークロード・マネージャー (DWLM) がセッションの再平衡化機能を実行します。DWLM は、動的クラスター全体に関する知識に基づいて、移動させるセッションの数、およびセッションの移動先を決定します。DWLM コンポーネントは、セッションのロケーションを考慮します。 また、特定のサーバーに対する重みを変更するだけでなく、セッションの移動を開始することもできます。新規サーバーが開始している、サーバーが過負荷になったなど、DWLM がモニターしているイベントによって、移動が開始される可能性があります。
多くの場合、DWLM はルーティング重みの非常に不均等な分散を選択します。DWLM の唯一の目的がサービス時間を等しくすることであるため、こうしたアプローチは可能です。WebSphere Extended Deployment バージョン 6.0.1 以降では、2 次の目的が DWLM に追加されています。 DWLM は、サービス時間の均等化という 1 次目的の大幅な低下をもたらす可能性のないときに、ルーティング重みを均等化しようとします。
通常の WebSphere Application Server セッション管理ではなく、ObjectGrid ベースの HTTP セッション・サポートを使用している場合、HTTP セッションの再平衡化はサポートされません。
Uniform Resource Locator (URL) の再書き込みまたは Secure Sockets Layer (SSL) ID によって維持されているセッションを使用している場合、再平衡化は実行されません。 また、再平衡化は HTTP POST 要求上では実行されません。オンデマンド・ルーターをバイパスして、直接アプリケーション・サーバーの HTTP ポートに HTTP 要求を出してセッションにアクセスしても、セッションは再平衡化されません。 メモリー・セッションの PMI カウンターには、移動セッションが反映されます。 特に、PMI カウンターは、セッションが移動すると既存サーバー上では減少し、 始動したばかりの新規サーバー上では増加します。 しかし、新規セッションは、クラスター内のすべてのサーバーをまたいで ロード・バランシングされます。 PMI データの分析と HTTP セッションの使用法のベスト・プラクティスについての詳細は、 WebSphere Application Server Network Deployment インフォメーション・センターを参照してください。
WebSphere Virtual Enterprise バージョン 6.1 以降では、セッション・リバランサーの要求および応答フィルターは ODR 内にあります。これらのフィルターは、ライブ・セッション・カウントを取得するために、どのセッションがどのサーバーに送られているかをトラッキングします。また、 各動的クラスターの動的ワークロード・マネージャー (DWLM) の情報を使用して、 ODR は各サーバーに送られているセッションの数をトラッキングし、動的クラスターのサーバーを ランク付けします。このランキングは、サーバー間を移動させるセッションの数を決定するために使用されます。デフォルト構成は、使用している動的クラスターのタイプによって変化します。
通常の WebSphere Application Server セッション管理の代わりに、 ObjectGrid ベースの HTTP セッション・サポートを使用している場合は、HTTP セッションの平衡化がサポートされます。
セッションの再平衡化を有効または無効にするには、 管理コンソールの動的クラスターで HttpSessionRebalanceOff カスタム・プロパティーを調整します。
他のミドルウェア・サーバー・タイプおよび ObjectGrid サーバーに対して セッションの再平衡化を有効にするには、動的クラスターの HttpSessionRebalanceOff カスタム・プロパティーを false に設定する 必要があります。セッションの再平衡化は、アプリケーション・サーバーを持つ動的クラスターに対して、 自動的に有効になります。特定の動的クラスターでカスタム・プロパティーを設定します。
以下の例は、WebSphere Virtual Enterprise バージョン 6.1 環境におけるセッションの再平衡化を示しています。この例では、バージョン 6.0 とバージョン 6.0.1 の両方の動的クラスターが構成に存在します。 バージョン 6.0.1 サーバーは、サーバー内でのセッションの再平衡化を続行します。バージョン 6.1 サーバーは、 DWLM から ODR へ情報を送信することによって、セッションの再平衡化を実行します。次に、ODR は HTTP セッションを適切なサーバーに送付します。