このトピックでは、Web サービスの使用方法について説明します。 WebSphere Application Server は、さまざまな Java プログラミング・モデルに基づいて開発およびインプリメントされた Web サービスをサポートします。 J2EE 1.4 のプラットフォームおよび J2EE 以外のプラットフォームなどのさまざまな種類のプラットフォームにまたがって運用するときには、Web サービスを使用します。
WebSphere Application
Server V6.1 Feature Pack for Web Services は、Java API for XML Web
Services (JAX-WS) プログラミング・モデルをサポートします。
JAX-WS は、新規のプログラミング・モデルであり、Web サービスのアプリケーションとクライアントを開発するために、標準のアノテーション・ベース・モデルのサポートによってアプリケーション開発を簡素化します。
Feature Pack for Web Services 製品でリリースされた新規仕様および機能の詳細リストについては、サポートされない機能も含めて、
Feature Pack for Web Services の新機能をご覧ください。
アプリケーション・サーバーによってサポートされる Web サービスの詳細リストについては、 仕様および API 文書をご覧ください。
通常はスタンドアロン・システムとして機能している、お客様のビジネス・インフラストラクチャーの内部または外部にあるアプリケーション・システムを統合するには、Web サービス・アプリケーションをインプリメントするのが簡単な方法です。 例えば、使用しているカスタマー情報データベースがスタンドアロン・アプリケーションである場合に、アカウンティング・アプリケーションがカスタマー・データにアクセスできるようにしたいことがあります。 カスタマー・データベースの Web サービスを作成し、アカウンティング・アプリケーションを Web サービス・クライアントとして使用可能にすることができます。 これで、アカウンティング・アプリケーションはカスタマー情報にアクセスすることができます。 Web サービスをインプリメントすることによって、これらの 2 つアプリケーションが効率的に情報を共有することができます。
Web サービスは既存のアプリケーションおよび情報技術資産に簡単に適用できるので、 新しいソリューションの開発、デプロイ、および再構成を迅速に行い、新しいビジネス機会に対応することができます。 Web サービスが普及するにつれて、サービスのプールが拡大し、インターネット上での JIT アプリケーションおよびビジネス・インテグレーションのより堅固なモデルの開発が促進されます。
アプリケーション・サーバーで Web サービス・アプリケーションを使用するには、以下のステップを実行します。以下の例では、ビジネスでの Web サービス使用方法を示します。
フラワー・ショップのオーナーが、Web を介した顧客からの注文の受け取りを開始したいと思っています。オーナーは、花の卸売り業者を探し、商品の価格を決定し、今後の花の注文に関する契約を締結することによってプロセスを開始します。
フラワー・ショップのオーナーは、Web サービスを使用して花の卸売り業者を探すことができます。新しい卸売り業者を探す 1 つの方法は、Universal Description, Discovery and Integration (UDDI) レジストリーを使用して、潜在的な卸売り業者を検索することです。 供給業者を選択すると、レジストリーから、フラワー・ショップのオーナーの基準を満たす花の流通業者への連絡方法に関する情報が返されます。フラワー・ショップのオーナーは、潜在的な各供給業者の WSDL ファイルを取得することにより、各供給業者の価格表を要求することができます。WSDL は、供給業者の Web ページからダウンロードすることも、E メールで受信することも、または供給業者の UDDI レジストリー・エントリーから検索することもできます。
WSDL は、プロシージャー呼び出しを記述します。アプリケーション・サーバーを使用する場合の プロシージャー呼び出しは Java API for XML-based remote procedure call (JAX-RPC) です。 あるいは、Feature Pack for Web Services をインストールする場合は、 プロシージャー呼び出しは JAX-WS プロシージャー呼び出しです。 これらのプロシージャー呼び出しタイプは、いずれも価格表を検索します。 WSDL ファイルでは、要求が送信される Universal Resource Locator も指定します。
フラワー・ショップのオーナーは、各供給業者から受け取った価格を比較して、どの供給業者と取引するかを決定し、将来の注文についての準備を行う必要があります。 これで、フラワー・ショップは、Web サービスを使用して最適な価格について供給業者とやり取りし、注文プロセ スを完了することにより、Web を通じて商品を販売できるようになりました。商品の価格表を Web サイトに公開し、顧客が花を注文するためのメカニズムが必要になります。
花の供給業者の Web サービス・クライアントは、フラワー・ショップのサーバーにデプロイされます。 顧客が Web を通じて花を購入する取引を行うと、注文がプロシージャー呼び出しを介して供給業者に送信されます。 供給業者は、注文番号および配送日とともに確認を送信することで応答します。供給業者は在庫を管理し、フラワー・ショップのオーナーは料金請求とカスタマー・オーダーの管理を処理します。
同様に、フラワー・ショップのカタログも各供給業者のカタログから自動的に作成することができます。 供給業者が顧客に直接配送する場合は、注文トラッキング照会を供給業者の注文トラッキング・システムに直接渡すことができます。 供給業者は、Web サービスを使用して、フラワー・ショップの注文に関する送り状を送信することができます。以前は手書きで用紙に記入して、ファックスや郵便で送信する必要があったプロセスは、自動的に行えるようになり、フラワー・ショップと供給業者の両方が人件費を節約することができます。
Web サービスを利用すると、フラワー・ショップがはるかに大きな在庫を用意できるというメリットがあります。 商品の保守に手間をかけることなく、フラワー・ショップは、他の方法ではそろえることができない商品を顧客に提供することができます。 Web を介して花を販売すると、別の店舗を出したり追加商品に投資したりする負担を負わずに、フラワー・ショップの資本を増やすことができます。
詳しいシナリオについては、 Web サービス・シナリオ: 概説を参照してください。ここでは、Plants by WebSphere という架空の園芸用品オンライン・ショップを紹介し、この店で Web サービスの概念がどのように導入されているかについて説明しています。
Feature Pack for Web Services は、この Feature Pack でサポートされる新機能および標準機能の多くを使用した、JAX-WS ベースの Web サービスを例示するサンプルを提供します。
Feature Pack for Web Services のサンプルは、この Feature Pack をインストールすると使用可能になります。
サンプルでは、SOAP 1.1 および SOAP 1.2 環境で Web サービスの同期呼び出しと非同期呼び出しの両方を使用して単純なメッセージ交換パターンを例示しています。
サンプルは、WS-Addressing (WS-A)、WS-Reliable Messaging
(WS-RM)、WS-Secure Conversation (WS-SC) などの Web サービス標準で構成されています。
これを使用することにより、広範囲のインターオペラビリティー・テストを行うことができます。
また、サンプルでは、JavaBeans 成果物、静的サービス・エンドポイント、およびプロキシー・ベース・クライアントの使用も例示しています。
加えて、Message Transmission Optimization Mechanism
(MTOM) を例示するサンプルも用意されています。これらのサンプルについて詳しく学習するには、
app_server_root/samples/lib/WebServicesSamples ディレクトリーにある Samples README を参照してください。
これらのサンプルを、Web サービス・プロファイルを使用して拡張されているアプリケーション・サーバーにインストールする方法を学習するには、
管理コンソールを使用したサンプルのインストールに関する説明を参照してください。