このトピックでは、ビルド定義の作成方法と、統合インストール・パッケージ (IIP) の生成方法について説明します。
始める前に
このタスクについて
IIP を作成するには、最初にビルド定義ファイルを作成します。このビルド定義ファイルは、後に Installation Factory が IIP を生成する際に使用します。
ビルド定義ファイルでは、どのパッケージおよび構成を IIP に含めるかを正確に記述します。
両方の手順をローカル・マシン上で実行することを選択することも、ビルド定義をローカルで作成してから XML ファイルを別の
マシンに渡し、別のマシンまたは別のオペレーティング・システム上などで IIP を生成することを選択することもできます。
リモート・マシンでビルド定義ファイルから IIP を生成する場合、そのリモート・マシンにはあらかじめ Installation Factory および IIP に組み込みたいすべての製品がインストールされている必要があります。
ターゲット・オペレーティング・システムのプラットフォームで、「ビルド定義」ウィザードを使用できない場合があります。
そのような場合に備えて、次の 3 つのオプションがあります。
- サポート対象マシン上でウィザードを切断モードで使用して、別のマシン上のターゲット・オペレーティング・システム用のビルド定義ファイルを作成します。
次に、そのファイルをターゲット・オペレーティング・システムにコピーし、コマンド行インターフェースを使用して IIP を生成します。
- あるプラットフォーム上でそれと類似した別のプラットフォーム用のビルド定義ファイルを作成し、IIP を生成することができます。
すなわち、任意の UNIX スタイルのプラットフォーム上で他の UNIX スタイルのプラットフォーム用の IIP を作成、生成したり、
任意の Windows プラットフォーム上で他の Windows プラットフォーム用の IIP を作成、生成することができます。
- 検証用の XML エディターを使用して、ビルド定義の XML 文書を作成します。
始めに、IF_home/samples/iip ディレクトリーから IIP ビルド定義文書のサンプルの 1 つをコピーします。
変更を行ったあとで、妥当性検査 XML パーサーまたはエディターを使用して、ビルド定義文書の XML スキーマ (IIPBuildDefinintion.xsd) を検証します。
次に、コマンド行インターフェースを使用して、処理エンジンを開始し、IIP を作成します。
以下の手順を使用して、ビルド定義ファイルを作成し、IIP を生成します。
プロシージャー
- IBM Installation Factory for WebSphere Application Server のダウンロード・ページから製品コードをダウンロードし、解凍します。
テスト済みのオペレーティング・システムの全リストについては、ダウンロード・ページを参照してください。
- IIP に組み込むインストール・パッケージを検討してください。
Installation Factory に製品のインストール・イメージは含まれていません。
Installation Factory によってインストールされるソフトウェアを用意する必要があります。
- グラフィカル・ユーザー・インターフェース (GUI) スクリプトで Installation Factory コンソールを開始します。
IF_home/bin/ifgui.sh スクリプトを使用します。
IF_home¥bin¥ifgui.bat スクリプトを使用します。
- 新規の IIP ビルド定義を作成するか、既存の IIP ビルド定義を開きます。
「統合インストール・パッケージの作成 (Create New Integrated Installation Package)」をクリックして新規の IIP ビルド定義を作成します。
既存のビルド定義 XML ファイルを編集する場合は、「ビルド定義を開く」をクリックします。
- 接続モードと切断モードのどちらでウィザードを実行するかを選択します。
- 接続モード
ローカル・マシン上で、ビルド定義ファイルの作成に加えて IIP を生成できるようにする場合は、接続モード処理用のチェック・ボックスを選択します。
ビルド定義ウィザードは、すべてのディレクトリー、ファイル、およびインストール・パッケージに接続モードでの検証を試みるので、これらのリソースにローカルにアクセスできなければなりません。
- 切断モード
ビルド定義だけを保管し、後で IIP を生成する場合は、切断モード処理のチェック・ボックスを選択します。
サポート対象マシン上でウィザードを切断モードで使用して、別のマシン上のサポート対象オペレーティング・システムに対応するビルド定義ファイルを作成します。
次に、そのビルド定義 XML ファイルをターゲット・オペレーティング・システムにコピーし、ifcli コマンドを使用して
処理エンジンを始動、IIP を生成します。
ビルド定義ウィザードは、切断モードで入力されたインストール・イメージ、保守パッケージ、またはその他のファイルやスクリプトを検証することができません。またターゲット・プラットフォーム向けの IIP を、それに類似するプラットフォームで生成することもできます。
つまり、ある Windows プラットフォームで別の Windows プラットフォーム用の IIP を生成したり、ある UNIX プラットフォーム上で別の UNIX プラットフォーム向けの IIP を生成したりできます。
ウィザードで指定する製品、ディレクトリー、およびファイルなどすべてのパスは、IIP が作成されるマシンに相対である必要があります。
例えば、ターゲットの AIX システムにアクセスできない Red Hat Enterprise Linux 4 システム上でコンソールを実行すると仮定します。
ビルド定義ウィザードはターゲット・システム上のファイル・ロケーションを参照できません。
ただし、Network Deployment インストール・イメージおよびその他の IIP エレメントの AIX ロケーションのディレクトリー・パスを入力できます。
- パッケージ情報、ビルド定義ファイルの出力ロケーション、IIP の出力ロケーション、
インストール・イメージ、追加ファイルやディレクトリー、および作成者情報を識別する、すべての必須パラメーターを指定します。
IIP 作成プロセスの各ステップについては、ヘルプ・パネル文書を参照してください。
制約事項: ディレクトリー・パスでは、英語以外のロケール固有の文字の使用はサポートされていません。
ディレクトリー名に使用する文字は、印刷可能な US ASCII 文字に制限されています。
- 「統合インストール・パッケージのプレビュー (Integrated Installation Package Preview)」パネルで、ビルド定義ファイルの保存のみを行うか、ビルド定義ファイルを保存してローカルで IIP を生成するかを選択します。
「終了」をクリックしてビルド定義ウィザードを終了します。
ビルド定義ファイルの構築のみ行うことを選択した場合は、ビルド定義 XML ファイルをターゲット・マシンにコピーします。
ビルド定義ファイルに ifcli コマンドを実行して IIP を生成します。
詳しくは、ifcli コマンド
を参照してください。
IIP の生成に必要な時間は、パッケージ内に組み込む製品の数およびタイプに応じて異なります。
- Installation Factory は、処理エンジンが終了したときに、
IF_home/logs/log.txt ファイルに完了メッセージを記録します。
例
以下に示すのは、アプリケーション・サーバー・コントリビューションとフィーチャー・パック・コントリビューションを組み込んだ Windows システム上で、ビルド定義ファイルの構築と IIP の生成を行う例です。
アプリケーション・サーバーのサンプル・アプリケーションの 1 つで参照される架空の「Plants by WebSphere」社のために IIP を作成します。
- IF_home¥bin¥ifgui.bat スクリプトを起動します。
- 「IBM Installation Factory」パネルで、「統合インストール・パッケージの新規作成 (Create a New Integrated Installation Package)」を選択します。
- 「ビルド定義」ウィザードが起動し、「モード選択」パネルが表示されます。
このマシン上で作成、インストールする IIP を構築中なので、「接続モード」を選択します。
この IIP を作成したら、ローカル・システムと同じオペレーティング・システムおよびプラットフォームを備えたすべてのマシンにインストールできる点に注目してください。
「プラットフォーム」の下で現在のプラットフォームを選択します。
「次へ」をクリックします。
- 「パッケージ ID」パネルで、ID com.plantsByWebsphere を入力します。
バージョンは 1.0.0.0 のままにしてかまいません。
「次へ」をクリックします。
- 「ビルド情報」パネルが表示されます。
作成中のビルド定義 XML ファイルのファイル名およびロケーションを指定します。
さらに、IIP を生成するディレクトリーを選択します。
ビルド定義の構築に加えて IIP を生成する場合は、ターゲット・ディレクトリーに充分なスペースがあることを確認してください。
デフォルトの IIP ディレクトリーが空ではなく、「ターゲット・ロケーションが空でない場合は警告する (Warn if the target location is not empty)」チェック・ボックスが選択されている場合は、ディレクトリーが空でないことを示すエラーが表示されます。
「次へ」をクリックします。
- 「統合インストール・ウィザード設定」
パネルで、統合インストール・ウィザードの設定値をいずれも選択したままにしておきます。
インストールの間中、最大限の柔軟性を保持するため、開始時に IIP ウィザードを表示する設定値を変更することができます。
「次へ」をクリックします。
- 「統合インストール・パッケージの構成」パネルが表示されます。
これは、IIP に組み込みたいパッケージのプロパティーの選択、追加、および変更を行うメイン・パネルです。
ここでは Network Deployment 製品とフィーチャー・パックの両方を含んだパッケージを作成するので、次のように Network Deployment 製品から開始します。
- 「サポートされるインストール・パッケージとツール」フィールドで、「IBM WebSphere Application Server Network Deployment 6.1」を選択します。
「インストーラーの追加」をクリックします。
- 「インストール・パッケージの追加」パネルで、パッケージ名、パッケージ ID、
および IIP を構築するプラットフォームのオペレーティング・システムとアーキテクチャーが表示されます。
指定したプラットフォームに Network Deployment の製品コードを提供する必要があります。
「変更」をクリックします。
- Network Deployment 製品イメージのルート・ディレクトリーのパスを入力するか、「参照」をクリックしてその製品イメージを参照します。
現在は接続モードなので、「パッケージ・サイズの取得 (Retrieve Package Size)」をクリックしてパッケージ・サイズを見積もります。
「OK」をクリックします。
-
「インストール・パッケージの追加」パネルに戻ります。
インストール・パッケージの「ディレクトリー・パス」フィールドと「パッケージ・サイズ」フィールドにデータが記入されているはずです。
「OK」をクリックします。
-
「統合インストール・パッケージの構成」パネルに戻ります。
この IIP フィールドで使用されるインストール・パッケージ群に、使用するパッケージがリストされ、そのパッケージの呼び出しが作成されて「インストール・パッケージ呼び出し」フィールドにリストされているはずです。
使用するパッケージの呼び出しが選択されていることを確認し、「インストール・パッケージ呼び出し」フィールドの横にある
「変更」 ボタンをクリックします。
- 「インストール・パッケージ呼び出しプロパティー」パネルが表示されます。
このパネルでは、パッケージ呼び出しのインストール・プロパティーをすべて設定します。
- 呼び出しの表示名と説明を変更します。
ユーザーが IIP をインストールすると、パッケージ呼び出しとともにこの情報が表示されます。
パッケージの実装状況に合わせてこれらのフィールドをカスタマイズできます。
- 「このインストール呼び出しを基本インストール呼び出しにする (Make this installation invocation the primary installation invocation)」チェック・ボックスが選択されています。
後で追加するフィーチャー・パック・パッケージは、ターゲット・インストール・ディレクトリーも含め、デフォルト値としてこのパッケージの情報を使用するので、この値は変更しないでください。
実際、この設定により、このパッケージの後に追加される他のパッケージ呼び出しは、ユーザーが手作業で変更しない限り、いずれもこのパッケージ用に指定した値を使用します。
- 「ユーザーはこのパッケージのインストールを抑止できる (Users can suppress the installation of this package)」チェック・ボックスの選択を解除します。
組み込まれるパッケージが 2 つしかない比較的単純な例なので、どちらのパッケージもインストールすることをお勧めします。
- 「デフォルトのインストール・モード」のデフォルト値は変更しないでください。
インストール中に、Network Deployment 用のインストール・ウィザードが表示されます。
- 「デフォルトのインストール・ディレクトリー・パス」タブからこのパッケージのインストール・パスを設定します。
管理者、非管理者のいずれのユーザー・タイプのパスも設定できます。
「変更」をクリックして「デフォルトのインストール・ディレクトリー・パスの変更」パネルを開き、このパッケージのインストール先のパスを入力します。
「OK」をクリックして現在のパネルに戻ります。
- 「応答ファイル」タブをクリックします。
このパッケージはサイレント・インストールしているわけではないので、このセクションの設定はスキップできます。
- 「終了コード・アクション」タブをクリックします。
これらは、パッケージがこれらの終了コードを生成するときに行われるアクションです。
「インストールは部分的に成功 (Installation is a partial success)」のアクションを、
「インストールの停止するか、または続行するかをユーザーに尋ねる (Ask user whether to stop or continue the installation)」に変更します。
ユーザーは、製品ログなどの情報を調べて、部分的な成功を受け入れるかどうかを判断する必要があります。
他の 2 つの終了コード・アクションはデフォルトでインストールの停止に設定されます。これは、これら 2 つのケースで許容できる動作です。
「OK」をクリックして「インストール・パッケージ呼び出しプロパティー」パネルを終了します。
- 次に、フィーチャー・パックを IIP に追加します。
- サポート対象のパッケージおよびツールのリストから「IBM WebSphere Application Server Version 6.1 Feature
Pack for Web Services」を選択し、「Network Deployment」セクションのステップ a から d を、製品ディレクトリー・パスだけを変更して実行します。
- 「統合インストール・パッケージの構成」パネルに戻ります。
この IIP フィールドで使用されるインストール・パッケージ群に、使用するフィーチャー・パック・パッケージが表示され、そのパッケージの呼び出しが作成されて「インストール・パッケージ呼び出し」フィールドにリストされているはずです。
使用するフィーチャー・パックの呼び出しが選択されていることを確認し、「インストール・パッケージ呼び出し」フィールドの横にある
「変更」 ボタンをクリックします。
- 呼び出しの表示名と説明を変更します。
ユーザーが IIP をインストールすると、フィーチャー・パック呼び出しとともにこの情報が表示されます。
これらの名前を、実際の会社や組織を反映するようにカスタマイズします。
- 「このインストール呼び出しを基本インストール呼び出しにする (Make this installation invocation the primary installation invocation)」チェック・ボックスは、デフォルトでは選択されないので注意してください。
フィーチャー・パックは Network Deployment 製品の最上位にインストールされ、Network Deployment のデフォルト値を継承するので、これは望ましい動作です。
- 「ユーザーはこのパッケージのインストールを抑止できる (Users can suppress the installation of this package)」チェック・ボックスの選択を解除します。
組み込まれるパッケージが 2 つしかない比較的単純な例なので、どちらのパッケージもインストールすることをお勧めします。
- 「デフォルトのインストール・モード」のデフォルト値は変更しないでください。
インストール中に、フィーチャー・パック用のインストール・ウィザードが表示されます。
ただし、フィーチャー・パックをサイレント・インストールすると、2 つのパッケージがインストールされている場合であっても、「Plants by WebSphere IIP」全体が 1 操作でシームレスにインストールされる旨がユーザーに表示されます。
ここでサイレント・インストールを選択した場合、ユーザーが応答ファイルを指定する、あるいはインストール中に IIP インストーラーが応答ファイルを指定する必要があるので、注意してください。
- 「デフォルトのインストール・ディレクトリー・パス」タブからこのパッケージのインストール・パスを設定します。
Network Deployment パッケージを基本インストール呼び出しとして設定しているので、フィーチャー・パックのインストール・パスの値として $RESV{6.1.0-WS-WASND_1-1:installLocation} が設定されています。
これは、Network Deployment パッケージの installLocation オプションの Result Value がここで使用されることを示すマクロです。
マクロとその使用法について詳しくは、IIP マクロ置き換え
を参照してください。
- 「応答ファイル」タブをクリックします。
このパッケージはサイレント・インストールしているわけではないので、このセクションの設定はスキップできます。
このパッケージ呼び出しをサイレント・インストールする場合は、応答ファイルを指定してください。
- 「終了コード・アクション」タブをクリックします。
これらは、パッケージがこれらの終了コードを生成するときに行われるアクションです。
「インストールは部分的に成功 (Installation is a partial success)」のアクションを、
「インストールの停止するか、または続行するかをユーザーに尋ねる (Ask user whether to stop or continue the installation)」に変更します。
ユーザーは、製品ログなどの情報を調べて、部分的な成功を受け入れるかどうかを判断する必要があります。
他の 2 つの終了コード・アクションはデフォルトでインストールの停止に設定されます。これは、これら 2 つのケースで許容できる動作です。
「OK」をクリックして「インストール・パッケージ呼び出しプロパティー」パネルを終了します。
- インストール・パッケージ呼び出しテーブルの 2 つのパッケージ呼び出しに指定されているプロパティーを検証します。
「次へ」をクリックします。
- 「追加のファイルとディレクトリー」パネルが表示されます。
IIP に組み込むすべてのファイルまたはディレクトリーを指定できます。
例えば、IIP に組み込みたいイメージその他の素材に加えて、README ファイルを組み込むこともできます。
この機能を使ってスクリプトを実行することはできません。
インストール中に実行するスクリプトを追加したい場合は、一般的に使用可能な Network Deployment 製品イメージのみを使用する代わりに、
アプリケーションおよびプロファイルで Network Deployment カスタマイズ統合パッケージ (CIP) を構築し、そのパッケージをパッケージ呼び出しで使用することができます。
「次へ」をクリックします。
- 「作成情報」パネルに、ユーザーの組織名 (例えば「Plants by WebSphere」) と説明を入力します。
この情報は、インストール・ウィザード内の「製品情報」ボタンをクリックすれば表示できます。
「次へ」をクリックします。
- 「統合インストール・パッケージのプレビュー (Integrated installation package preview)」
パネルが表示されます。
構築した XML ファイルを保存するか、このファイルを保存してさらに IIP を生成するかを選択できます。
IIP は接続モードで構築、検証されているので、XML ファイルを保存して IIP を生成することを選択します。
「終了」をクリックします。