installver コマンドは、2 つの重要な機能を実行します。 このツールはインストールされているファイルでチェックサムを計算し、そのチェックサムを製品の配送済み部品表と比較します。 installver コマンドはさらに、 構成済みのシステムのインベントリーである各ファイルの新規ベースライン・チェックサムを計算し、 後で比較してファイルの変更の有無を識別するために使います。
このトピックでは、 コマンド・ファイルのロケーション、コマンド構文、およびツールを使用したタスク情報へのリンクについて説明します。
デフォルトのログ・ファイルは app_server_root/logs/installver.log ファイルです。-log パラメーターと引数を使用して、出力をリダイレクトすることができます。ファイル引数なしで -log パラメーターを 使用して、デフォルトのログ・ファイルを生成します。
チェックサムの計算
installver ツールは製品中に インストールされている各ファイルのチェックサムを計算します。ツールは計算した各チェックサムとファイルの正しいチェックサムを比較します。 正しいチェックサムは部品表ファイルで配送されています。 各コンポーネントについて 1 つの部品表ファイルが存在します。
ツールは各コンポーネントの部品表を解析し、コンポーネント中の各ファイルの正しいチェックサム値を見つけます。 各製品ファイルには、どれかの部品表ファイル中にある 1 項目が含まれています。 製品ファイルの項目には、製品のファイル・パスおよび正しいチェックサム値がリストされています。
配送される部品表ファイル
各部品表ファイルには、 files.list というファイル名がついています。各コンポーネントは 1 つの files.list ファイルを持っています。 各 files.list ファイルは、 app_server_root/properties/version/install/6.1.0.0/backup/ component_name ディレクトリーの 1 つにあります。component_name ディレクトリーが、 各コンポーネントについて存在します。
例えば、アクティビティー・コンポーネント用の files.list ファイルは、 app_server_root /properties/version/install/6.1.0.0/backup/activity ディレクトリーにあります。ファイルは、以下の例のようになります。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <componentfiles componentname="activity"> <file> <relativepath>properties/version/activity.component</relativepath> <checksum>1a20dc54694e81fccd16c80f7c1bb6b46bba8768</checksum> <permissions>644</permissions> <installoperation>remove</installoperation> </file> <file> <relativepath>lib/activity.jar</relativepath> <checksum>2f056cc01be7ff42bb343e962d26328d5332c88c</checksum> <permissions>644</permissions> <installoperation>remove</installoperation> </file> </componentfiles>
計算したチェックサムを正しいチェックサムと比較する
ツールは、各部品表ファイルの各製品ファイルを処理する間に、 対応するインストール済み製品ファイルの実際のチェックサム値も計算します。 ツールは次に、製品ファイルのチェックサムを部品表ファイルの正しいチェックサム値と比較します。 それから、ツールは、両者に差異がある場合はこれをレポートします。
コマンド・ファイルのロケーション
ディレクトリーを bin ディレクトリーに移動して、コマンド行から installver ツール を開始します。このツールは z/OS を除く、サポートしている任意のオペレーティング・システム上で実行できます。
./installver.sh
以下のコマンド構文を使用して、インストールされているファイル・システムに対して部品表を自動的に確認します。
コマンドを使用して、インストール済みファイルと製品の部品表ファイルを比較する例については、 部品表との比較による検査 を参照してください。
コマンドを使用して、ユーザーが指定するファイルまたはコンポーネントのみを比較する例については、 特定のファイルおよびコンポーネントのチェックサムの比較 を参照してください。
コマンドを使用して、比較からファイルを除外する例については、チェックサムの比較からのファイルの除外 を参照してください。
以下のパラメーターは、製品ファイルのチェックサムを、部品表ファイ ルの正しいチェックサムと比較する場合、コマンドと関連しています。
以下の構文を使用して、構成済みファイルのインベントリーを作成し、これを現在インストールされているファイルと比較します。
インストール・ルート・ディレクトリーに現在インストールされているファイルの インベントリー・リストを作成します。
インベントリー・リストを、現在インストール・ルート・ディレクトリーにインストールされている ファイルと比較します。
トレース結果を比較および表示します。
以下のパラメーターは、このコマンドと関連しています。
まず、-createinventory パラメーターを使用してインベントリー・リストを作成します。 次に、-compare パラメーターを使用してインベントリー・リストを、比較時点においてシステムに存在している実際のファイルと比較します。
比較の結果により、変更されたクラス、変更されたファイル、欠落ファイル、および追加されたファイルが示されます。 こうした比較は、例えばウィルス・ファイルがないことを確認するのに非常に役立ちます。
installver ツールは、任意のディレクトリーに指定できます。デフォルトのディレクトリーは、インストール・ルート・ディレクトリーです。
ユーザーはインベントリーからファイルやコンポーネントを除外することができます。
installver ツールは、各ファイルのチェックサムを計算します。インベントリー内の各ファイル項目には、 以下の一般パターンがあります。
checksum|relativepath/file_name|file_size|last_modfiied_time
インベントリー・リストを作成した後、-compare パラメーターを使用してこのリストを、比較時点においてシステムに存在している実際のファイルと比較します。
ファイル名を区切るにはセミコロン (;) またはコロン (:) を使用します。
ファイル名を区切るにはセミコロン (;) またはコロン (:) を使用します。
デフォルトのログ・ファイルは app_server_root/logs/installver.log ファイルです。-log パラメーターと引数を使用して、出力をリダイレクトすることができます。
以下の例に、 installver コマンドを実行してチェックサムを比較するときに発生する 可能性がある問題を示します。
ユーザーが意図的に導入した、チェックサムの不一致 (コンポーネントを 拡張する場合などに起こる可能性があります) の項目を無視します。
I CWNVU0470I: [ivu] Starting to analyze: regularcomponentsample I CWNVU0440I: [ivu] The following file is different: lib/different.jar I CWNVU0410I: [ivu] fc19318dd13128ce14344d066510a982269c241b is the checksum in the bill of materials. I CWNVU0420I: [ivu] 517d5a7240861ec297fa07542a7bf7470bb604fe is the checksum on the file system. I CWNVU0390I: [ivu] Component issues found : 1 I CWNVU0480I: [ivu] Done analyzing: regularcomponentsample
明らかな通知 (I) メッセージである問題は無視します。
I CWNVU0360I: [ivu] The following bill of materials issue is found for component nullvaluesample: Hash must not be null or an empty string.
オーバーラップされたファイルは、製品に潜在的な問題があるか、 IBM が提供する部品表の改ざんの可能性があります。
I CWNVU0470I: [ivu] Starting to analyze: overlapbinarycomponentsample W CWNVU0422W: [ivu] The following file is overlapped: lib/binaryTest.jar W CWNVU0425W: [ivu] The overlap is caused by: _binarycomponentsample I CWNVU0390I: [ivu] Component issues found : 1 I CWNVU0480I: [ivu] Done analyzing: overlapbinarycomponentsample
以下の問題については IBM サポートに連絡してください。
W CWNVU0280W: [ivu] Component mismatch: expected ... but found ...
IBM サポートから入手可能な既知の問題およびその解決法に関する最新の情報については、IBM サポート・ページを参照してください。
IBM サポートの資料を利用すると、 この問題の解決に必要な情報収集の時間を節約できます。 PMR を開く前に、この IBM サポート・ページを参照してください。
類似した既知の インストールの問題が見つからない場合、または提供されている情報では問 題が解決されない場合は、IBM サポートに連絡してください。
インストールを検証した後、 プロファイルを作成するか、既存のアプリケーション・サーバー・プロファイルでアプリケーションを デプロイすることができます。
インストール、更新、および検査の次に行うステップは、製品を使用することです。 スタンドアロン・アプリケーション・サーバー またはセルを作成した場合は、 アプリケーション・サーバー、 またはデプロイメント・マネージャー、nodeagent、 およびフェデレーテッド・アプリケーション・サーバーを始動し、管理コンソールを使用して、既存のアプリケーションをデプロイします。詳しくは、WebSphere Application Server のファースト・パス を 参照してください。プロファイルを作成していない場合は、グラフィカル・ユーザー・インターフェースによるプロファイルの作成 へ進み、プロファイルの作成方法を確認します。