WebSphere Application Server - Express for i5/OS, Version 6.1   
             オペレーティング・システム: i5/OS

             目次と検索結果のパーソナライズ化

トレースおよびロギングの構成

問題診断またはシステム・パフォーマンスの評価に役立つトレースおよびロギング設定の構成

適切な構成プロパティーを設定することにより、そのアプリケーション・サーバーを、トレースを使用可能にした状態で始動するように構成することができます。 アプリケーション・クライアントまたはスタンドアロン・プロセスのトレースは、プロセス始動時にのみ使用可能にできます。

WebSphere Application Server V6 以降では、Java ロギングを拡張したロギング・インフラストラクチャーが使用されています。 これにより、WebSphere Application Server のロギング・インフラストラクチャーの構成において、以下の変更が行われています。
  • Java ロギングで定義されるロガーは、 WebSphere Application Server の前のバージョンで導入されたトレース・コンポーネントと等価であり、 同じ方法で構成されます。 その両方が「コンポーネント」と呼ばれます。
  • Java ロギング・レベルおよび WebSphere Application Server レベルの両方を使用できます。 すべての有効なレベルが、重大度の昇順で以下にリストされています。
    トレース・オプション 出力ファイル
    all trace.log
    finest または debug trace.log
    finer または entryExit trace.log
    fine または event trace.log
    detail SystemOut.log
    config trace.log および SystemOut.log (トレースが使用不可の場合、出力ファイルは SystemOut.log です)
    info trace.log および SystemOut.log (トレースが使用不可の場合、出力ファイルは SystemOut.log です)
    audit trace.log および SystemOut.log (トレースが使用不可の場合、出力ファイルは SystemOut.log です)
    warning trace.log および SystemOut.log (トレースが使用不可の場合、出力ファイルは SystemOut.log です)
    severe または error trace.log および SystemOut.log (トレースが使用不可の場合、出力ファイルは SystemOut.log です)
    fatal trace.log および SystemOut.log (トレースが使用不可の場合、出力ファイルは SystemOut.log です)
    off trace.log および SystemOut.log (トレースが使用不可の場合、出力ファイルは SystemOut.log です)
  • あるコンポーネントのロギングおよびトレースのレベルを all に設定すると、そのコンポーネントのすべてのロギングが使用可能になります。 あるコンポーネントのロギングおよびトレースのレベルを off に設定すると、そのコンポーネントのすべてのロギングが使用不可になります。
  • コンポーネントは、1 つのレベルにのみ設定できます。 ただし、あるレベルにコンポーネントを構成することにより、その構成されたレベルおよびそれ以上の重大度のレベルで、ロギングを実行できます。
  • いくつかのレベルには等価の名前が付いています。 finest は debug と等価であり、finer は entryExit と等価であり、fine は event と等価であり、severe は error と等価です。
Java ロギングでは、トレースとメッセージ・ロギングが区別されません。 ただし、WebSphere Application Server の前のバージョンでは、メッセージの種類に明確な区別がありました。 WebSphere Application Server V6 以降では、トレースとメッセージ・ロギングの違いは以下のようになっています。
  • トレース・メッセージは、重大度の低いメッセージです (例えば、トレース・メッセージは、fine、finer、finest、debug、entryExit、または event の各レベルでロギングされます)。
  • トレース・メッセージは、通常、ローカライズされていません。
  • トレースが使用可能に設定された場合は、より多量のメッセージが生成され、トレース出力は SystemOut/Err ログ・ファイルではなくトレース・ファイルに出力されます。 トレース・ファイルは、トレースが使用可能なときのみ表示されます。
  • トレース・メッセージにより、問題判別のための情報が提供されます。

トレースおよびロギングのストリング

WebSphere Application Server V5.1.1 以前では、トレースを構成するためだけにトレース・ストリングが使用されていました。 WebSphere Application Server バージョン 6 以降で開始すると、「トレース・ストリング」は「ロギング・ストリング」になり、トレースとメッセージ・ロギングの両方を構成するために使用されます。

WebSphere Application Server V5.1.1 以前では、WebSphere Application Server の全コンポーネントに対するトレース・サービスがデフォルトで使用不可になっています。 現行状態のトレース・サービスに変更要求を出すと、トレース・ストリングがトレース・サービスに渡されます。 このトレース・ストリングは、使用可能または使用不可にするトレース・レベル、およびコンポーネントに関する詳細情報をエンコードします。

WebSphere Application Server のすべてのバージョンでは、デフォルトで、すべてのコンポーネントに対する トレースが使用不可に設定されています。 トレースおよびメッセージ・ロギングの現行の状態を変更するには、ロギング・ストリングを構成し、サーバーに受け渡す必要があります。 このロギング・ストリングにより、特定のコンポーネントに対し、トレースまたはロギングで使用可能または使用不可にするレベルが指定されます。

トレース・ストリング (または ロギング・ストリング) を入力するか、または管理コンソールを使用して構成することができます。 トレースおよびロギング・ストリングは、特定の文法に従う必要があります。

WebSphere Application Server V5.1.1 以前では、この文法の仕様は以下のようになります。
TRACESTRING=COMPONENT_TRACE_STRING[:COMPONENT_TRACE_STRING]* 

 COMPONENT_TRACE_STRING=COMPONENT_NAME=LEVEL=STATE[,LEVEL=STATE]*

LEVEL = all | entryExit | debug | event

STATE = enabled | disabled

COMPONENT_NAME = COMPONENT | GROUP
WebSphere Application Server V6 以降では、以前の文法がサポートされています。 ただし、新しい文法が追加され、基礎となるインフラストラクチャーをより良く表現できます。
LOGGINGSTRING=COMPONENT_LOGGING_STRING[:COMPONENT_LOGGING_STRING]* 

 COMPONENT_TRACE_STRING=COMPONENT_NAME=LEVEL

LEVEL = all | (finest | debug) | (finer | entryExit) | (fine | event ) 
| detail | config | info | audit | warning | (severe | error) | fatal | off

COMPONENT_NAME = COMPONENT | GROUP

COMPONENT_NAME は、このトレース・サービス・ロギング・インフラストラクチャーに登録されたコンポーネントまたはグループの名前です。 通常、WebSphere Application Server のコンポーネントは、 Java の完全修飾クラス名 (例えば com.ibm.servlet.engine.ServletEngine) を使用して登録を行います。 また、アスタリスク (*) をワイルドカード文字としてコンポーネント名の末尾に使用すると、 複数のクラスまたはパッケージを表すことができます。例えば、 名前が com.ibm.servlet で始まるコンポーネントをすべて指定するには、 com.ibm.servlet.* というコンポーネント名を使用します。特定のストリングで始まる名前のコンポーネントまたはグループのすべてにロギング・ストリングを適用するには、コンポーネント名またはグループ名の末尾に、ワイルドカード文字のアスタリスク (*) を使用します。 例えば、コンポーネント名として「com.ibm.servlet.*」を指定したロギング・ストリングは、名前が com.ibm.servlet で始まるすべてのコンポーネントに適用されます。 コンポーネント名の代わりにアスタリスク (*) そのものが使用された場合、そのストリングの指定するレベルが、すべてのコンポーネントに適用されます。

以下は、ロギング・ストリングでのアスタリスク (*) の使用法の例です。ロギング・ストリング内のアスタリスク (*) には、その前にピリオドが必要ないことに気をつけてください。 ピリオド (.) は、ロギング・ストリングのどこででも使用できます。
  • com.ibm.ejs.ras.*=all - 「com.ibm.ejs.ras.」という名前で始まるすべてのロガーのトレースを使用可 能にします。「com.ibm.ejs.ras」という名前の付いたロガーがある場合、トレースは使用可能になりません。
  • com.ibm.ejs.ras*=all - com.ibm.ejs.ras、com.ibm.ejs.raslogger、com.ibm.ejs.ras.ManagerAdmin のような、「com.ibm.ejs.ras」という名前で始まるすべてのロガーのトレースを使用可能にします。
注:
  • WebSphere Application Server V5.1.1 以前では、レベルを「all=disabled」に設定するとトレースを使用不可にできました。バージョン 6.0 以降では、この構文は LEVEL=info となり、トレースは使用不可になりますが、ロギングは使用可能になります。
  • WebSphere Application Server V6 以降では、「info」がデフォルトのレベルです。 指定されたコンポーネントが存在しない (*=xxx が検出されない) 場合は、常に *=info が暗黙で設定されます。 トレース・ストリングに一致しないすべてのコンポーネントは、info のレベルに設定されます。
  • ロギング・ストリングが、コンポーネント名の代わりに「*」を使用して、すべてのコンポーネントに対して 1 つのレベルを指定しているコンポーネント・ロギング・ストリングで開始されていない場合、ある値が追加され、すべてのコンポーネントに対してデフォルトのレベルが設定されます。
  • STATE = enabled | disabled は、バージョン 6 以上では不要です。ただし、使用した場合には、以下のような影響が出ます。
    • 「enabled」によって、指定されたレベルに指定されたコンポーネントのロギングを設定します。
    • 「disabled」によって、指定されたレベルの 1 つ上のレベルに指定されたコンポーネントのログインを設定します。 以下の例では、使用不可にすることがロギング・レベルに与える影響を示しています。
      ロギング・ストリング 結果のロギング・レベル
      com.ibm.ejs.ras=debug=disabled com.ibm.ejs.ras=finer debug (バージョン 5) = finest (バージョン 6)
      com.ibm.ejs.ras=all=disabled com.ibm.ejs.ras=info 「all=disabled」はトレースを使用不可にしますが、ロギングは使用可能なままです。
      com.ibm.ejs.ras=fatal=disabled com.ibm.ejs.ras=off  
      com.ibm.ejs.ras=off=disabled com.ibm.ejs.ras=off off が最も重大度が高いです

トレース・ストリングで、おおまかなトレース仕様から具体的なトレース仕様へ進む

ベスト・プラクティス: 最もおおまかなコンポーネント・グループからトレース・ストリングを開始して、 より具体的なトレースを選択します。このアプローチの利点は、より大きなグループに含まれるクラス またはパッケージを後でトレース・ストリングに組み込むことで、 より大きなグループに含まれるクラスまたはパッケージのトレース設定が正しく指定されることです。 bprac

ロギング・ストリングは左から右へ処理されます。 処理の間に、構成したレベルがロギング・ストリングの別の部分によりオーバーライドされた場合、 ロギング・ストリングの一部が変更されたり、または除去される場合があります。

トレース不可にするパッケージを含むグループは、同じラインで事前に使用可能にされたパッケージを使用不可にします。 以下に例を示します。
*=off : MyGroup1=info : MyGroup2=finest : com.mycompany.mypackage.*=info  : com.mycompany.mypackage.MyClass=finest  
このトレース・ストリングは、MyGroup1 グループ、MyGroup2 グループ、および、MyClass クラス用のより具体的なトレースのある com.mycompany.mypackage.* パッケージからのみ、トレースが提供される必要があることを示します。 このストリングをリバースすると、すべてのトレースが無効になります。

正しいトレース・ストリングの例を以下に挙げます。
バージョン 5 の構文 バージョン 6 の構文
com.ibm.ejs.ras.ManagerAdmin=debug=enabled
com.ibm.ejs.ras.ManagerAdmin=finest
com.ibm.ejs.ras.ManagerAdmin=all=enabled,event=disabled
com.ibm.ejs.ras.ManagerAdmin=detail
com.ibm.ejs.ras.*=all=enabled
com.ibm.ejs.ras.*=all
com.ibm.ejs.ras.*=all=enabled:com.ibm.ws.ras=debug=
enabled,entryexit=enabled
com.ibm.ejs.ras.*=all:com.ibm.ws.ras=finer



関連タスク
クライアントおよびスタンドアロン・アプリケーションでのトレースの使用可能化
サーバー始動時にトレースを使用可能にする
稼働中のサーバーでトレースを使用可能にする
参照トピック    

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最終更新: Jan 21, 2008 7:05:28 PM EST
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