履修コース登録システム

開発構想書

 

バージョン 1.0

 

 

 


改訂履歴

変更日

バージョン

説明

作成者

1998 年 12 月 1 日

草案

草案

スー・ガンブル

1998 年 12 月 13 日

1.0

ピア・レビュー後の小改訂。

性能要件を追加。

スー・ガンブル

 
 
 
 
 
 
 
 

 


目次

1 はじめに

1.1 目的

1.2 範囲

1.3 定義、頭字語、略語

1.4 参考資料

2 位置付け

2.1 ビジネス上の機会

2.2 問題の記述

2.3 製品の位置付けについての記述

3 利害関係者とユーザーの説明

3.1 市場の人口統計

3.2 利害関係者の一覧

3.3 ユーザー一覧

3.4 ユーザーの環境

3.5 利害関係者のプロファイル

3.5.1 担当役員

3.5.2 登録事務局

3.5.3 学生

3.5.4 教授

3.6 ユーザーのプロファイル

3.7 利害関係者/ユーザーの主なニーズ

3.8 代替品と競合品

4 製品の概要

4.1 製品の展望

4.2 機能一覧

4.3 前提事項と依存関係

4.4 費用と価格設定

4.5 ライセンス付与とインストール

5 製品の機能

5.1 ログオン

5.2 コース登録

5.3 履修の取り消し

5.4 学生への請求書

5.5 教授情報の入力、更新、閲覧

5.6 学生の成績の閲覧

5.7 担当講座の選択

5.8 学生情報の入力、更新、閲覧

5.9 学生の成績の記録

5.10 コース・カタログ情報の閲覧

5.11 講座日程の閲覧

5.12 講座定員に達したかどうかの確認

6 制約事項

7 品質の範囲

8 優先権と優先順位

9 その他の製品要件

9.1 適用する標準

9.2 システム要件

9.3 性能要件

9.4 環境要求

10 文書化要求

10.1 ユーザー・マニュアル

10.2 オンライン・ヘルプ

10.3 インストール・ガイド、構成、Read Me ファイル

10.4 ラベル付けとパッケージング


開発構想書

1          はじめに

1.1           目的

本書の目的は、ユーザーのニーズという角度から見た Wylie カレッジ履修登録 (C- 登録) システムの全体的な要件を明らかにすることです。

1.2           範囲

この「開発構想書」は Wylie 履修登録システムに適用されます。 同システムは Wylie カレッジの情報システム (IT) 部門が開発します。 このクライアント/サーバー・システムは、 既存のコース・カタログ・データベースに接続できるような形で開発されます。

C- 登録システムにより学生はオンラインで履修の登録ができるようになります。 教授は、自分の教授する講座の選択と学生の成績の管理ができるようになります。

1.3           定義、頭字語、略語

「用語集」 (参考資料 [5]) を参照してください。

1.4           参考資料

該当する参考資料は次のとおりです。

1.        「履修コース登録システム システム・ビジネス・ケース WyIT388、草案」 1998 年、Wylie College IT

2.        「Course Billing Interface Specification, WC93332」 1985 年、Wylie College Press

3.        「コース・カタログ・データベース仕様書、WC93422」 1985 年、Wylie College Press

4.        「履修コース登録システム 利害関係者の要望書 WyIT389、バージョン 1.0」 1998 年、Wylie College IT

5.        「履修コース登録システム 用語集 WyIT406、バージョン 1.0」 1998 年、Wylie College IT

6.        「履修コース登録システム Requirements Attributes Guidelines WyIT404、バージョン 1.0」 1998 年、Wylie College IT

 

2          位置付け

2.1           ビジネス上の機会

今回のプロジェクトにより、現行の履修登録システムのフロントエンド全体が、学生、教授のいずれからも PC クライアントを通じてアクセスできる最先端のオンライン・システムに置き換わります。

現行の登録システムは 1985 年以来使用されていますが、2000 年に見積もられている 学生と講座の負荷を処理できるだけの能力に欠けています。さらに、現行システムは 旧式のメインフレーム技術を使用したものであり、登録事務局の職員を通じて 操作するしか手段はありません。今度のシステムでは、Wylie カレッジの コンピューター・ネットワークに接続された PC や、インターネット経由で接続された あらゆるパーソナル・コンピューターを通じて、教授、学生のだれもが 同システムにアクセスできるようになります。

最先端の履修登録システムが Wylie カレッジに導入されるということであり、ひいては同大学のイメージアップをもたらし、今以上に多くの学生を惹き付け、学校運営が合理化されます。

2.2           問題の記述

問題の内容

Wylie カレッジの学生登録システムは、旧式であり、ほとんどを手動で操作しなければならない。

問題の影響を受ける人

学生、教授、大学当局

問題の影響

学生と教授に不満が募るのみならず、処理に費用も時間もかかる。

解決法の成功例

同大学のイメージアップにつながり、今以上に多くの学生を惹き付け、登録業務が合理化される。

2.3           製品の位置付けについての記述

対象

Wylie カレッジの学生、教授、履修登録事務局

ニーズまたはビジネス上の機会

学生は履修登録ができ、教授は担当講座の選択ができ、履修登録事務局は各講座の管理ができる。

履修コース登録システム

ツールの 1 つ

利点

履修登録、講座情報と成績情報の閲覧がオンラインでできる。

他社製品との比較

以前からある旧式のメインフレーム登録システム

製品

各種講座、登録内容、教授、成績といったどの項目に関する最新の情報でも、大学の LAN またはインターネットを通じて接続されたあらゆる PC からすべてのユーザーに提供することができる。

3          利害関係者とユーザーの説明

このセクションでは Wylie 履修登録システムのユーザーについて述べます。 C- 登録システムには、履修登録事務局、学生、教授という 3 種類のユーザーがいます。

3.1           市場の人口統計

大学業界は、オンラインによる履修登録システムの持つ柔軟性と即応性とを求める大規模で目の肥えた業界の 1 つです。

ユーザーは、教養があり、コンピューターに明るく、ほとんどの場合 自宅にパーソナル・コンピューターがあります。パーソナル・コンピューターを通じて 履修登録ができ、オンラインで自分の成績が見られれば、履修登録は大きく合理化されます。

履修登録システムは、大学本部棟に設置され、学内 LAN に接続されます。 学生と教授は、学内の図書館や学生ラウンジ棟に設置された パーソナル・コンピューターを通じてその LAN に自由にアクセスできます。

C- 登録システムの最初のリリースは Wylie カレッジ限定です。 それ以降のリリースについては、ほか学校にも販売することが Wylie IT 部門で検討されています。 そのため、履修登録システムは拡張できるような形で設計され、 ユーザー・コミュニティー全体のデータ (すなわち大学名) については、 システムのインストール時に表形式で操作をして簡単に変更できるようになります。

3.2           利害関係者の一覧

名前

説明

ロール

IT 担当役員

IT 部門と Wylie カレッジとをとりまとめての総称。

プロジェクトへの出資の許可を下す責任者です。プロジェクトの進捗の管理を行います。

登録事務局

登録係、管理者、データ入力担当者の事務局。

教授と学生のデータベースを含め履修登録データの管理を教授する登録事務局のニーズを満たせるようなシステムになることを保証する。

学生

学生

学生のニーズを満たせるようなシステムになることを保証する。

教授

教授

学部 (教授) の利益を代表する。

3.3           ユーザー一覧

 

名前

説明

利害関係者

登録事務局

教授と学生のデータベースの管理をし、履修登録の開始、終了を行う。

本人

学生

履修登録をし、成績など履修情報の照会をする。

本人

教授

教授する講座を選択します。 学生の成績を入力します。

本人

 

3.4           ユーザーの環境

大学業界は、オンラインによる履修登録システムの持つ柔軟性と即応性とを求める大規模で目の肥えた業界の 1 つです。

ユーザーは、教養があり、コンピューターに明るく、ほとんどの場合 自宅にパーソナル・コンピューターがあります。パーソナル・コンピューターを通じて 履修登録ができ、オンラインで自分の成績が見られれば、履修登録は大きく合理化されます。

C- 登録システムの最初のリリースは Wylie カレッジ限定です。 それ以降のリリースについては、ほか学校にも販売することが Wylie IT 部門で検討されています。 そのため、履修登録システムは拡張できるような形で設計され、 ユーザー・コミュニティー全体のデータ (すなわち大学名) については、 システムのインストール時に表形式で操作をして簡単に変更できるようになります。

3.5           利害関係者のプロファイル 

3.5.1          IT 担当役員

代表者

ジョン・ホワイトウッド (IT 部門の責任者)

説明

承認権限保有者

タイプ

大学の財務状況と理事会の長期構想を熟知している。

責務

IT 部門と理事会とを代表します。  プロジェクトの状況を監視し、予算の許認可の権限を有します。  このプロジェクトが大学の短期目標、 長期目標のいずれをも満たせるようにします。広く売り出すための計画を練り、システムの長期保守の計画を立てます。

成功の基準

承認された予算内でプロジェクトが完了し、登録業務の作業負荷が実際に減って、今後の費用も減れば、成功です。  

さらに、このプロジェクトによりユーザーのニーズが満たされたという総論が理事会から得られなければなりません。このシステムは、ほかの大学でも使用できるよう、 すなわち自分の大学だけでなく広く販売できるよう、簡単に改造できるものにしなければなりません。

この利害関係者は、理事会から認められて報酬を受けます。

関係者

管理レビュー担当者。予算認可署名者。職員の勤務評定も行います。

納入物

なし

コメント/問題点

なし

3.5.2          登録事務局

代表者

カレン・ハンセン

説明

ユーザー

タイプ

登録係は、コンピューターに精通し、大学卒の専門家であるのが普通です。 登録係は、一括処理方式の現行の登録システムを使用する訓練を受け、実務経験があります。

責務

登録係は、各学期の履修登録の管理をする責務を負います。 これには、管理事務の担当者とデータ入力の担当者とを監督することも含まれます。

成功の基準

登録係の主な任務は、学生と教授のデータベースの保守をすること、 履修登録の開始/終了をすることです。

登録事務局は、オンラインでシステムにアクセスできない学生、教授に代わってデータを入力する必要もあります。運営/データ入力に携わる職員の負荷を持続的に減らしてくれるシステムが出来上がれば成功です。

登録係の実行する主なタスクは、覚えやすく、しかも短時間で実行できるものでなければなりません。さらにシステムは、可用性が高く、信頼性とセキュリティーも確保されなければなりません。

この利害関係者は、煩わしいデータ入力作業の負荷を減らし、現在の作業を簡素化し、必要な情報に簡単に短時間でアクセスできるようにすることで、報酬を受けます。

関係者

管理レビュー担当者 - 登録事務局の職員に求められる諸機能の機能性と利便性とに特に強い関係がある。

納入物

なし

コメント/問題点

なし

3.5.3          学生

代表者

ジェーン・オーステン

説明

ユーザー

タイプ

理事会に対する、学生側の代表者。

責務

使いやすさと性能/信頼性という両面から見たとき、同システムが必ず学生に受け入れられるようにします。

各学期に最大 2000 名の学生が C- 登録システムを使用して履修登録をし、 自分の最終成績を見ます。対象となる学生は、教養があり、コンピューターに明るく、 インターネットに接続できる手段を有しているのが普通です。 初めて Wylie に登録をし、履修登録の手続きに不慣れである学生は、 各学期に全学生の 1 割いると予測されます。

成功の基準

使用度が平均以下の学生からかなり頻繁に使用する学生までを含め初めてシステムを使用する学生から、使いやすくて不具合もないという報告が得られれば、成功です。

この利害関係者は、自分の参加したことで理事会から認められること、さらにもう 1 期再選されることにより、報酬を受けます。

関係者

管理レビュー担当者 - 学生と操作性とに関係する諸機能に重点的に関係がある。

納入物

なし

コメント/問題点

なし

3.5.4          教授

代表者

スーザン・スマイス博士

説明

ユーザー

タイプ

学部の代表者

責務

コンピューターにアクセスできる教授にもそうでない教授にも受け入れられるシステムにします。

C- 登録システムを使用する教授は、教養があり、 コンピューターに明るく、Wylie の登録手続きに慣れています。 教授の皆が皆自宅にパーソナル・コンピューターを持っているわけでなく、 皆が皆インターネットにアクセスできるわけでないということも考えられます。

成功の基準

すべてではないにしろほとんどの教授が同システムにより講座の選択と成績の入力とができ、またそうすることを望み、 さらには学生から最終成績についての照会が来なくなったという報告が得られれば、成功です。また、教授がほとんどの履修登録データをオンラインで照会できれば成功です。

この利害関係者は、ほかの学部から互いに認められることにより報酬を得ます。

関係者

管理レビュー担当者 - 講座の選択や成績の入力といった職務に影響する諸機能の操作性に関係がある。

納入物

なし

コメント/問題点

なし

 

3.6           ユーザーのプロファイル 

前のセクションに記載。 

3.7           利害関係者/ユーザーの主なニーズ

現在の履修登録事務局のみならず、学生、教授のサンプリング調査により ユーザー調査が完了し、従来の履修登録システムにユーザーが感じている問題点が つまびらかとなり、改善点についての意見がユーザーから得られました。 調査結果一式は「選択対象」 (参考資料 [4]) に収録されています。 調査の概要を下に示します。重要度の高い順に並んでいます。

ニーズ

優先度

問題点

現在の解決法

提案された解決法

履修登録

 高

 履修登録に時間がかかり、無駄も多い。

 現在は、学生が履修登録用紙に記入し、それを登録事務局に提出しなければなりません。登録事務局では、 その申請された書類の処理に最長 2 週間、その確認書を学生に返送するのにさらに 1 週間を要します。この時点で、講座が定員に達していたり、 学生が希望を変えたりすれば、日程の変更にさらにまた丸 3 週間かかります。このため、学生が履修の日程を決めるときの自由度に限界があります。

 オンラインでアクセスできれば、講座の空き状況や担当教授がすぐにわかる。

早く成績が見たい

成績を知るのに時間がかかり、ひっきりなしに教授に問い合わせが来る。

最終の成績表は、通常、試験期間が開始してから 8 週間後に学生に郵送されます。 この間、学生は自分の成績をいち早く知ろうと、絶えず教授に電話をします。

調査に応じた学生のほとんどは、個々の講座の成績をオンラインで見たいという意見である。

事務費用の節減

事務作業は時間がかかり費用もかさむ。

履修登録の事務処理は、1 学期につき登録事務局と 2、3 名の臨時事務員とで 400 ~ 500 時間かかります。このほとんどの時間は、 履修登録用のメイン・データベースに情報を入力する作業と、 その後日程の重複や講座の空き状況などの問題を解決するため別の講座に登録し直すのに費やされます。

学生が履修登録システムにアクセスできれば、この作業は実質的にゼロになる。

 

3.8           代替品と競合品

ユーザー・コミュニティーは、現実味のある代替品のあることや 既製品で対応できることを知りませんでした。ユーザー・コミュニティーは、 費用を削減し、しかるべき機能性を実現し、システムのサポートと保守とを 長期にわたって受けられるようにするため、学内でこのシステムを 開発したほうがよいという方針を支持しました。

4          製品の概要

このセクションでは、C- 登録システムの諸機能、外部の請求システム/コース・カタログ・データベース・システムとのインターフェース、システム構成のそれぞれについて概要を示します。

4.1           製品の展望

C- 登録システムは、Wylie カレッジの現行のメインフレーム履修登録システムに代わるものです。 新たなシステムは、次のコンテキスト図 (図 6.1.1 を参照) に示したように、 既存の請求システム/コース・カタログ・データベース・システムに接続されます。

C- 登録システムは、図 6.1.2 に示したように、 クライアント・コンポーネントとサーバー・コンポーネントとから成ります。 サーバー・コンポーネントは Wylie カレッジの UNIX サーバーに配置されます。 このサーバー・コンポーネントは、Wylie カレッジの DEC VAX メインフレームで稼働する 請求システムとコース・カタログ・データベース・システムに接続できなければなりません。 このインターフェースを支えるのが、既存の Open SQL インターフェースです。

クライアント・コンポーネントはパーソナル・コンピューターに配置されます。 大学の PC は、このクライアント・コンポーネントをインストールした状態で設定されます。 大学に設定される以外の PC については、インターネットを通じて UNIX サーバーからクライアント・ソフトウェアをダウンロードしなければなりません。 いったんクライアント・コンポーネントを PC にインストールしてしまえば、 ユーザーは、その PC から学内 LAN またはインターネットを通じて C- 登録システムにアクセスできます。 アクセスの許可を得るには、有効な ID 番号とパスワードを入力しなければなりません。

 

下記のラベルで説明しています

図 6.1.1 C- 登録システムのコンテキスト図

 

下記のラベルで説明しています

 

図 6.1.2 C- 登録システムの概要

 

4.2           機能一覧

このセクションでは、利点と機能との角度から見た C- 登録システムの主な特性を表に示します。 各機能についてはセクション 7 でさらに詳しく述べます。 各用語の意味については用語集 (参考資料 [5]) を参照してください。

顧客にとっての利便性

サポートする機能

最新の講座情報

このシステムでは、コース・カタログ・データベースにアクセスして、Wylie カレッジの用意したすべての講座に関する最新の情報が得られます。

学生と教授は、講座ごとに、講座の概要、事前条件、担当教授、教室の場所、講座の時刻が閲覧できます。

最新の登録情報

履修登録希望者は全員が即座にデータベースにログインして、定員に達した講座または欠員の出た講座に関する最新情報が得られます。

簡単に、タイムリーに講座の成績が見られる

学生は、自分のユーザー ID とパスワードを入力するだけで、どの講座でも自分の成績が見られます。

学生は、学内の PC からでも、インターネット経由で自宅の PC からでも、登録システムにアクセスできます。

教授は、自分の PC から登録データベースにすべての学生の成績を直接入力します。

学内のどの PC からでもアクセスできる

学生は、学内の PC からでも、インターネット経由で自宅の PC からでも、登録システムにアクセスできます。

C- 登録システムのクライアント・コンポーネントを PC にインストールするのは、インターネットを使用すれば簡単にできます。

自宅の PC から簡単かつ便利にアクセスできる

学生は、学内の PC からでも、インターネット経由で自宅の PC からでも、登録システムにアクセスできます。

安全で機密性が高い

C- 登録システムにアクセスするには、有効なユーザー ID とパスワードが必要です。

学生の成績表情報は、無許可アクセスから保護されます。

講座が定員に達したか、欠員が出たかという情報が即時に得られる

履修登録希望者は全員が即座にデータベースにログインして、定員に達した講座または欠員の出た講座に関する最新情報が得られます。

4.3           前提事項と依存関係

次に示す前提条件と依存関係は、この「開発構想書」に概説したように、C- 登録システムの諸機能と関係のあるものです。

o        大学の DEC VAX メインフレームで稼働している現行の請求システムとコース・カタログ・データベース・システムは、少なくも 2005 年まではサポートされます。

o        請求システム、コース・カタログ・データベース・システムのいずれの外部インターフェースも、 参考資料 [2] と参考資料 [3] に規定したとおりであり、変更されません。

o        大学では現行の UNIX サーバーと DEC VAX メインフレームとを少なくも 2005 年までは運転とサポートを続けることが想定されています。

o        旧式の請求システムとコース・カタログ・データベース・システムを交換するための追加予算が 2005 年までに得られることが想定されています。

o        新たな登録システムが 2000 年 1 月の学期に稼働できるかどうかは、予算の承認が 1999 年 3 月 1 日までに下るかどうかによります。

4.4           費用と価格設定

予算の制約上、このシステムの開発費は 1,200,000 ドルを超えてはなりません。

大学に現在あるコンピューターがターゲット・コンピューターとして使用されることと、そのためにハードウェアの予算は不要であることとが期待されます。

4.5           ライセンス付与とインストール

このシステムの V1.0 の場合は、Wylie カレッジ専用であるため、ライセンスに関する要件はありません。

クライアント・コンポーネントは、ディスケット、CD、インターネット経由のいずれからでもインストールできなければなりません。

サーバー・コンポーネントをインストールすることにより、データを一切失うことなく現行の登録データベースを維持するか、新たなデータベースを作りだすかするためのオプションが実現されなければなりません。

5          製品の機能

このセクションでは C- 登録システムの機能を明記し、説明します。 機能とは、ユーザーに利便性を提供するために必要な、 システムの持つ機能の概要です。

5.1           ログオン

学生、教授、履修登録事務局は、C- 登録システムに接続する際には、 有効な ID とパスワードを入力するものとします。ユーザーは、 大学への入学の手続きの際に、自分の ID と仮のパスワードとをもらいます。 このシステムでは、ユーザーは自分に与えられた仮のパスワードを変更できるものとします。

5.2           コース登録

このシステムは、要求を受けしだい、 用意されている講座を学生に提示するものとします。学生は、講座名、講座コード、 学部という項目を基に照会ができるものとします。同システムでは、 学生から履修登録を受け付けた後に、定員の空き状況、日程の重なり具合、 受講に必要な単位の取得状況という項目を基に確認を行うものとします。 履修登録ができなかった場合は、直ちにシステムから学生に通知されるものとします。

学生は、登録期間の終了前であれば、履修届を出した講座を変更できるものとします。

5.3           履修の取り消し

登録事務局では、履修の取り消しができるものとします。 通常、登録事務局では、登録期間の終了するときに、すべての講座を調べて、 担当教授のいない講座、または受講生が 3 名に満たない講座の開講を中止します。 登録事務局は、講座の中止されたことを電話または郵便で学生に通知します。

5.4           学生への請求書

登録期間の終了後、C- 登録システムから 請求システムに通知が送信されるものとします。この通知には、学生の氏名、 住所、受講する講座、受講料が記載されるものとします。

5.5           教授情報の入力、更新、閲覧

このシステムでは、教授の氏名、住所、電話番号、FAX 番号、 電子メール・アドレスなど教授情報の入力と更新をするものとします。 教授情報は、教授と履修登録事務局が閲覧できるものとします。

5.6           学生の成績の閲覧

このシステムで学生は、どれか特定の講座の成績、 または自分の成績表全体を見ることができるものとします。このシステムでは、 学生本人と該当する教授以外は、その学生の成績情報を見ることができないものとします。

5.7           担当講座の選択

このシステムで教授は、登録期間の終了する前に、自分の受け持つ講座の手続きができるものとします。

5.8           学生情報の入力、更新、閲覧

このシステムでは、学生 ID、氏名、住所、 電話番号、電子メール・アドレスなど学生情報の入力と更新をするものとします。 学生情報は、教授と履修登録事務局が閲覧できるものとします。このシステムでは、 学生は自分の学生情報以外にはアクセスできないようにするものとします。 登録事務局で学生情報の管理をします。

5.9           学生の成績の記録

このシステムでは、教授の入力した、学生の成績の受け付け、検証、保管をするものとします。

5.10       コース・カタログ情報の閲覧

コース・カタログ・データベースに格納されている コース・カタログ情報は、要求がありしだいユーザーに提示されるものとします。 ユーザーは、講座名、講座コード、教授名、 学部という項目を基に情報の照会ができるものとします。

5.11       講座日程の閲覧

このシステムでは、学生から要求がありしだい、その学生の履修日程全体を表示するものとします。

5.12       講座定員に達したかどうかの確認

このシステムでは、10 名という定員を超える講座が出ないようにするものとします。 

6          制約事項

セクション 6 に列挙した前提条件と依存関係以外に、 次の制約が C- 登録システムに課されます。

7          品質の範囲

このセクションでは、C- 登録システムの性能、堅牢性、耐障害性、操作性などの特性について規定します。

可用性: このシステムは、1 日 24 時間 週 7 日利用できるものとします。

操作性: このシステムは、使いやすいものでなければならず、コンピューターの教養がある学生と教授とから成る標的市場にふさわしいものでなければなりません。

操作性: このシステムには、ユーザー向けのオンライン・ヘルプを搭載するものとします。 学生と教授は、冊子形態のマニュアルを使用しなくても このシステムを使用できる必要があります。

保守容易性: このシステムは、簡単に保守できるよう設計されるものとします。 大学別のすべてのデータは、システムをコンパイルし直さなくても、 表形式で操作ができ、かつ変更できる必要があります。

8          優先権と優先順位

このセクションでは、提案されたシステムの機能の 重要度について指示します。この「開発構想書」に規定した機能は、 システムの最初の 2 回のリリースで実現することを推奨します。 学生が履修登録するのに必要なすべての機能は最初のリリースに計画されています。

システム開発の進展に伴い、 本書のセクション 7 で言及する機能特性を使用して、各機能の相対的な重要度が設定され、 リリースの内容が計画されます。機能とターゲット・リリースの優先順位は、 利点、作業、リスクという特性を使用して決定されます。

2 ~ 4 のメイン・リリースを通じて Wylie カレッジで C- 登録システムが広く使用されることが予想されます。

リリース 1 では、少なくとも、次に挙げる基本的な機能が実現する必要があります。

リリース 2 では次の機能の実現することを推奨します。

リリース 3 の機能は未定です。 このリリースでは従来の機能の強化が実現されることが予想されます。

従来の請求システムとコース・データベース・システムの交換は、2005 年のリリース 4 を目標にしています。

9          その他の製品要件

9.1           適用する標準

デスクトップのユーザー・インターフェースは、Windows 95/98 に準拠すること。

9.2           システム要件

このシステムは、現行のコース・カタログ・データベース・システムに接続できるものとします。 また、参考資料 [3] に規定されたデータ・フォーマットに対応できるものとします。

このシステムは、現行の請求システムに接続できるものとし、参考資料 [2] に規定されたインターフェースに対応できるものとします。

システムのサーバー・コンポーネントは、学内サーバーで稼働し、UNIX オペレーティング・システムで実行されるものとします。

システムのクライアント・コンポーネントは、486 マイクロプロセッサー以上を搭載したどのパーソナル・コンピューターでも稼働するものとします。

このクライアント・コンポーネントに必要な RAM 容量は最大でも 32 MB、ディスク容量は最大でも 20 MB とします。

クライアント・コンポーネントは、Windows 95、Windows 98、Microsoft Windows NT で実行できるものとします。

9.3           性能要件

システムは、中央データベースではいつでも最大 2000 名のユーザーまで同時に対応でき、ローカル・サーバーでは最大 500 名のユーザーまで同時に対応できるものとします。

10 秒以内の待ち時間で従来のコース・カタログ・データベースへアクセスできるものとします。

このシステムでは、すべてのトランザクションの 80% を 2 分以内に完了できるものとします。

9.4           環境要求

なし

10      文書化要求

このセクションでは、C- 登録システムの文書化要求について述べます。

10.1       ユーザー・マニュアル

ユーザー・マニュアルには、学生、教授、登録事務局のそれぞれの視点に立った使用方法を記載するものとします。 ユーザー・マニュアルには次の内容を盛り込むものとします。

ユーザー・マニュアルは、Wylie カレッジのユーザー・マニュアル・テンプレートに規定された書式に従うものとします。

ユーザー・マニュアルは 50 ~ 100 ページであることが推奨されます。ユーザー・マニュアルの判型は 7 × 9 インチにするものとします。冊子版、オンライン・ヘルプの両方の形態のユーザー・マニュアルを用意するものとします。

10.2       オンライン・ヘルプ

システムの機能ごとにユーザー向けのオンライン・ヘルプを用意するものとします。 ユーザー・マニュアルで取り上げる各項目は、オンライン・ヘルプでも閲覧できるものとします。

10.3       インストール・ガイド、構成、Read Me ファイル

このシステムのサーバー部分のインストール・ガイドには次の項目を盛り込むものとします。

インストール後に Read Me ファイルを表示できるものとします。 また、Read Me ファイルはディスクに格納されるのでユーザーはいつでも閲覧できます。 Read Me ファイルには次の内容を盛り込むものとします。

-         新リリースの機能

-         既知のバグと回避策

10.4       ラベル付けとパッケージング

ユーザー向けのマニュアル類とスプラッシュ画面とに Wylie カレッジのロゴを目立つように表示するものとします。

最初のリリースは Wylie カレッジ専用であり、一般的な市場は対象としていないため、 製品のパンフレット、製品パッケージ、販促資料は作成されません。