主要概念: 成果物

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成果物

成果物には入力成果物と出力成果物があります。成果物は、役割が成果物を使用して作業を実行するプロセスと、作業の実行過程で成果物を作成するプロセスによる作業成果物を表します。成果物は、1 つの役割で責務を負います。成果物により、責務を容易に識別して理解できるようになり、また、プロセス内のすべての情報を作成するためには適切な一連のスキルが必要であるという発想が広まります。1 つの役割で成果物の「責務を負い」ますが、ほかの役割がその成果物を使用し、許可を得ていれば成果物を更新することもできます。

Rational Unified Process の主要な成果物と情報の流れ

Rational Unified Process の主要な成果物と、それらの間における情報の流れの概要

このダイアグラムは、成果物を利用してプロジェクトの中で情報が流れる様子を示し、矢印は、その矢印に沿って 1 つの成果物の変更内容がほかの成果物に伝わる状態を示します。ダイアグラムを分かりやすくするために、たとえば、成果物: 設計モデルで表現される設計モデルの成果物など、多くの成果物を省略しています。

成果物の編成を簡単にするために、成果物を「情報セット」、つまり成果物セットに編成しています。成果物セットは、類似した目的で使用される傾向のある、関連性のある成果物のグループです。1 つの成果物はほかの成果物で構成される場合があります。「成果物の概要」では、成果物と成果物セットについて詳しく説明しています。

ツリー ブラウザで示した成果物と成果物セット

成果物は次のようなさまざまな形状または形態で作成されます。

成果物」は、ほかのプロセス製品で使用される作業結果作業単位などを RUP で表現する場合の用語であることに注意してください。RUP では、納品可能物は、すべての成果物のサブセットのみを示します。納品可能物は、通常は正式または契約に従って合意された納品物の一部として、最終的に顧客とエンドユーザーに渡されます。

RUP では、一般的に成果物は文書ではありません。多くのプロセス製品は文書、特に印刷文書に過剰に重点を置きます。RUP は、印刷文書の系統だった作成は行いません。プロジェクトの成果物を管理するための最も効率的かつ実用的な手法は、成果物の作成と管理に使用する適切なツール内に保管することです。必要に応じ、その場でこれらのツールから文書 (スナップショット) を作成することができます。内部の関係者に対して、印刷物の代わりにツールを添付した成果物の配布も検討する必要があります。この方法を使用すると、情報が常に最新で実際のプロジェクト作業を反映し、作成のためにこれ以外の作業は必要ありません。

成果物の例を次に示します。

  • Rational Rose に保存された設計モデル
  • Microsoft® Project® に保存されたプロジェクト計画
  • Rational ClearQuest に保存された障害
  • Rational RequisitePro に保存されたプロジェクト要求データベース

ホワイトボードフリップチャートなどの形式を使用すると、UML などの視覚的な情報、ステータス情報の簡潔なリストなどの表形式情報、簡潔な構想表明などの文書情報を把握できることにも注意してください。これらの形式は、チーム メンバー全員が容易にこれらのリソースを利用できる、小規模でまとまったチームには有効です。

ただし、テキスト形式の文書にする必要があるか、テキスト形式が最も合う成果物もあります。これらは、外部からプロジェクトへの入力の場合、または単に記述情報を表現するために最も適切な方法の場合があります。可能な場合は、Rational RequisitePro、Lotus Notes、WikiWiki webs、Groove など、共同作業用のワーク グループツールを使用して電子的にテキスト文書を入手し、進行中のコンテンツ管理とバージョン管理の簡略化を検討する必要があります。

これは、監査要求を満たすなどの目的のために履歴記録を保持する必要がある場合特に重要です。特に大規模な開発チームが関与するようなすべての重要な開発作業では、成果物がバージョン管理と構成管理の対象となる可能性が最も高くなります。これは、基本的な成果物としてほかの成果物に組み込まれている成果物のバージョン管理が不可能な場合、コンテナ成果物のバージョン管理でのみ達成できる場合があります。たとえば、設計モデルまたは設計パッケージ全体のバージョンを管理し、それに含まれる個別のクラスは管理しない場合があります。

成果物のガイドラインとチェックポイント

成果物には通常、成果物を開発、評価、使用する方法についての情報を表示する、ガイドラインとチェックポイントがあります。成果物の一部にはその成果物に関連付けられた概念ページがあり、これらのページは本質的に分かりやすく説明していますが、作業分野などのより高度なプロセス要素に関連付けられている場合もあります。RUP の内容の多くが、成果物ガイドラインで説明されています。作業説明では何を実行するかについての本質を把握しますが、成果物ガイドラインでは実行している作業の本質を把握します。チェックポイントは、成果物の品質の査定に役立つクイック リファレンスです。概念は、教育目的または情報提供の観点で成果物を説明します。

ガイドライン、チェックポイント、概念は共に、実行する作業の決定、作業の実行方法、作業結果の良否についての判断、この成果物が残りのプロセスにどのように関連するかなど、多くの状況で役に立ちます。それぞれの特定の成果物に関連する目次ページとして使用するために、その成果物をツリー ブラウザ形式に編成します。

一般的な成果物が、目次ページとして使用するツリー ブラウザ形式で示されます。

テンプレート

テンプレートは、成果物の「モデル」すなわちプロトタイプです。成果物の説明に、その成果物の作成に使用できる 1 つ以上のテンプレートが関連付けられています。テンプレートは、使用するツールにリンクされています。

次に例を示します。

  • Microsoft® Word® テンプレートは、文書化する成果物とレポートの一部に使用します。
  • Microsoft Word または Adobe® FrameMaker® 用の Rational SoDA テンプレートは、Rational Rose、Rational RequisitePro、Rational TeamTest などのツールから情報を取り出します。
  • Microsoft® FrontPage® テンプレートは、プロセスのさまざまな要素に使用します。
  • Microsoft Project テンプレートは、プロジェクト計画に使用します。

ガイドラインと同様に、テンプレートは、使用する前に、会社のロゴ、いくつかのプロジェクト ID、プロジェクトの種類に固有の情報などを追加して、カスタマイズすることができます。テンプレートは、成果物ページのテンプレートとレポート部分に一覧表示され、関連する成果物の下にツリー ブラウザ形式で編成されています。テンプレートは、テンプレートの概要ページにもまとめられていて、個別のツリー ブラウザに RUP 構成のすべてのテンプレートが表示されます。

ツリー ブラウザの展開部分に、RUP のさまざまな種類のテンプレートが表示されます。

成果物の例を参照すると、規範的なプロセス ガイダンスと説明的なプロセス ガイダンスの間を補足することができます。これらの例は、作成者が成果物を完成したときにどのようなものになるかを示すために、RUP Web サイトの特定の成果物に関連付けられています。成果物の例は、成果物の説明の例の部分に一覧表示され、一般的に例示した成果物の下にツリー ブラウザ形式で編成されています。RUP 構成のすべての例の概要は、../../examples/ovu_arex.htm -- このハイパーリンクは、生成されたこの Web サイト内に存在しませんの概要ページの個別のツリー ブラウザにすべての完全なプロジェクトの例が表示されます。

ツリー ブラウザの概要部分の例から、RUP の成果物の例にアクセスすることができます。

 

レポート

一部の成果物には、その成果物に関連付けられたレポートがあります。レポートは、1 つ以上の成果物に関する情報をツールから抽出します。たとえば、レポートは技術レビューに使用するために成果物または成果物セットを示すことができます。通常の成果物と異なり、レポートはバージョン管理の対象になりませんが、履歴を追跡する監査で時間の進行に沿ったレポートを提供するための基礎にすることができます。場合によっては、開発ツールを使用して履歴成果物に対しレポートの作成を再実行することにより、任意の時点でレポートを作り直すことができます。レポートは、成果物ページのテンプレートとレポート部分に一覧表示され、一般的にレポートを作成する成果物の下にツリー ブラウザ形式で編成されています。



Rational Unified Process   2003.06.15