製品とアーキテクチャーの概要

IBM® Rational® Insight (Rational Insight) は、状況や進行状況を客観的に 測定できるように、組織全体にわたって一貫性のあるメトリックとツール・セットを取得するのを支援します。 これは、システムおよびソフトウェア配信について正確に把握できるようにするための、標準的な測定基準、レポート、ダッシュボードをインプリメントします。 これは、システム的なアプローチにしたがって、徐々にビジネスを改善し、優先順位の高いビジネス目標とそうした目標に対処するためのソフトウェア配信方法を見極めて、方法の採用やビジネスの結果を測定する場合に役立ちます。

Rational Insight は、あらかじめ設定しておいたビジネス目標に照らして、進行状況と状態を、プログラム、プロジェクト、チームの各レベルで自動的かつ客観的に測定し、レポートします。 測定のガイドが、デプロイされた方法、規制上の要件、およびベスト・プラクティスから作られています。 Rational Insight Enterprise Reporting Server は、スケジューリングや予測用のレポート要素およびダッシュボード要素を豊富に含むライブラリーを提供します。

Rational Insight により、組織は以下のことが実行できます。

  • 客観的で一貫性のあるレポートにより、ソフトウェア・プロジェクトのパフォーマンスと正常性について洞察を得ます。
  • ソフトウェア開発のリスクを管理、軽減し、製品化までの時間を短縮して、製品の品質を向上させます。
  • ソフトウェア・プロジェクトのコストを制御し、グローバル開発の効率を改善させます。
  • 日々変化していくグローバル環境において、ガバナンスを実施し、コンプライアンスを実現します。

アーキテクチャー

Rational Insight は、Web アーキテクチャーを活用して、分散システムからデータを抽出し、ライブと履歴の両方のクロス・プロダクト・レポートを生成します。 これは、REST アーキテクチャーあるいは直接のデータベース・アクセスのいずれかを使用した、ソースからのデータ・リトリーブをサポートします。 そのデータを、カスタマイズしたダッシュボードおよびレポートによって表示することができます。

Rational Insight には、以下の主要なコンポーネントが含まれています。

Data Manager は、Rational Insight のコアの抽出、変換、およびロード (ETL) 機能を実行します。 これは、さまざまなデータ・ソースと相互作用を行い、それらからデータを抽出します。 XML Data Configuration は、XML 形式 のデータを表形式に変換します。XML ソース・ファイルと宛先表の間のマッピングを定義します。 このマッピングに基づいて、XML ODBC ドライバーは、XML データをリレーショナル形式に変換します。

RIDW コンポーネントは、正規化された業務データ・ストアおよび次元データマートに組織の情報を保管 するデータベースです。RIDW は IBM DB2®、Oracle または SQL Server でホストされます。RIDW は、オープンなスキーマを持っています。任意のビジネス・インテリジェンス・ツールは ビジネス・レポートを生成するために RIDW にアクセスできます。また、それらのビジネス・ツールは、ツールをホストするレポート・サーバーが REST アーキテクチャーをサポートしている場合は、 データ・サービスを使用することもできます。

Framework Manager は、クエリーの生成に対応できるメタデータ・モデリング・ツールです。 メタデータ・モデルとは、1 つ以上のデータ・ソースの物理情報およびビジネス情報を含むメタデータの集合です。

Rational Insight Report Server は、Cognos BI Server のインスタンスです。 Cognos BI Server は、組織のデータを理解する場合に役立つ広範囲の機能を提供する、統合されたビジネス・インテリジェンス・スイートです。 Cognos BI Server のコンポーネントは次のとおりです。Report Studio、Query Studio、 Cognos Connection、および Cognos Administration。

Rational Insight は、 以下の製品用のサンプル ETL カタログおよびメタデータ・モデルを提供します。
  • IBM Rational 製品 ( Rational ClearQuest、 Rational ClearCase、Rational RequisitePro、Rational Team Concert、Rational Quality Manager および Rational TestManager など)
  • Microsoft® Project
  • RIDW
Rational Insight は、 データにアクセスするための REST サービスの備わった任意のデータ・ソースをサポートできます。

Rational Insight ソリューションの上位アーキテクチャーを、以下の図で図解します。

この図は、個々のソフトウェア管理ツール (例えば、Rational ClearQuest、Rational ClearCase、Rational RequisitePro、Microsoft
Project その他) からオープン Web アーキテクチャーを介して取得される製品データを示しています。
製品データに ETL プロセスが実行されて、データウェアハウス内にリレーショナル表として保管されているところが示されています。
データウェアハウスのデータは、クエリー用に最適化されたものと言われており、クロス・プロダクトの相関関係やトレンド分析用に有効にされています。
データウェアハウスには、IBM Cognos ビジネス・インテリジェンス・ツールが JDBC および ODBC ドライバーを使用したり、REST GET メソッドを使用してアクセスしているところが示されています。
ビジネス・インテリジェンス・ツールは、アプリケーション・サーバー上で稼働されて、Web ポータルからアクセス可能になっています。Web ポータルは、プロジェクト・マネージャー、リリース・マネージャー、開発のリーダーなどが使用する最良のメトリックを組み込んでいるとされ、レポートおよびスナップショットを表示する単一ポイントになります。

注: Rational Quality Manager は REST を介しても アクセスされます。Rational Quality Manager によって提供される REST サービスは、製品ネイティブのものです。
典型的なソフトウェア開発ライフ・サイクル では、以下の領域でデータ管理が必要です。
  • 要件
  • アーキテクチャー
  • プロセスとポートフォリオ
  • 品質
  • 変更とリリース
各領域で、データの保管、管理、および分析のために異なるツールを使用できます。 データ分析ツールは、分散システム上でデプロイでき、異なるレベルの責務を持つ地理的に分散したチームがアクセスして使用できます。 Rational Insight は、オープン Web アーキテクチャーを使用してこれらの個別のソースからデータを抽出します。 各データ・ソースは、固有の URL によってリソースとして識別されます。 REST GET メソッドを使用して、データが抽出され、XML や Scalable Vector Graphics (SVG) などのフォーマットで表示されます。 オープン Web アーキテクチャーにより、 Rational Insight は、IBM Rational 製品だけでなく、任意のデータ・ソースからデータを抽出できます。
Rational Insight は、2 種類のレポートをサポートします。
  • ライブ・レポート: ライブ・レポートは、業務ソース・システムおよびデータ・ストアからのデータを使用します。
  • 履歴レポート: これらのレポートは、データマートから取り出した履歴データを使用して、トレンドおよび集約情報を示します。
Rational Insight の ETL 機能を使用すると、REST GET インターフェースを介して、あるいは、直接データベース・アクセスによってデータを抽出し、コード化されたビジネス・ルールによってそのデータを変換し、変換されたデータを規格に準拠したデータマートにロードすることができます。 このプロセスの間に、業務データは XML リソースとして製品ソースから取り出され、リレーショナル・データ表にマップされて、データウェアハウスに正規化されます。

Rational Insight Enterprise Reporting Server は、1 製品において、単一の実績のあるアーキテクチャー上で、シームレスなレポートやダッシュボード機能などの広範囲のビジネス・インテリジェンス機能を提供します。


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