反復型開発のサンプル・レポート

このカテゴリーには、開発のスピードをトラッキングするレポートが含まれています。 これらのレポートは、ビルド数、障害をクローズするまでのターンアラウンド・タイム、 反復当たりのタスク数、およびプロジェクトのパフォーマンス・メトリックなどのパラメーター をモニターします。

ブロッキング障害

このレポートは、他の作業項目を遅らせる障害の数を示します。 「ブロッキング障害」は、現在オープンで (クローズされていない)、関連した要件がある、優先度の高い障害と定義されています。 前提として、障害が解決するまでこの要件に対する作業は進めることができないとされています。 線は下向きになるはずです。上向きになっている場合、作業が遅延している要件の数が増えていると考えられます。

ビルド正常性

このレポートは、製品のビルドに関する統計 (例えば、 試行したビルドの数、成功したビルドの数、失敗したビルドの数など) を 示します。通常、(特にプロジェクトのサイクルの後半で) 失敗の 数が多かったり、増加している場合は、調査が必要な問題があると考えられます。

障害エージング

このレポートは、障害に関する 2 つの統計を示します。障害が各状態にある時間は、重要な指標です。 平均時間が受け入れ可能であることと、極端に長い最大時間がないことを確認してください。 平均時間は、すべての状態で同じである必要はありません。プロセスが適切に機能しているのであれば、障害は「サブミット済み」から「割り当て済み」に速やかに移るはずです。 ターンアラウンド・タイムのグラフは、その障害が解決されるまでに要した時間を、重大度ごとに示します。 重大度が高い障害ほど、重大度の低いものよりも迅速に解決されるべきです。 平均時間は許容可能な値で、かつ不当な最大値がないことが必要です。

障害の状況と分布

このレポートは、プロジェクトの状態を理解するのに役立つよう、障害の数をいくつかの方法で 示します。「状態」グラフは、ほとんどの障害が「解決済み」でも「クローズ」でもない場合、プロセス上の問題があることを示している可能性があります。 「重大度」のグラフでは、プロジェクトが順調に進行している場合は、「クリティカル」や「メジャー」の障害が少なくなるはずです。 「優先度」のグラフは「重大度」と似ていて、「即時」または「要注意」の障害があまりにも多い場合は、問題を示している可能性があります。「重大度」および「優先度」のグラフは、「割り当て済み」、「オープン」、「サブミット済み」、あるいは、「延期」の状態にある障害のみを示します。

反復速度

このレポートは、反復ごとの完了タスク数を示します。各反復サイクルで完了できる作業量を把握するためにこのレポートを使用できます。一般的に、グラフの線は、ほぼ一定のはずです。顕著な増加または減少は、プロジェクトへの外部の圧力を示している可能性があり、どのような圧力が生じているか把握する必要があります。 ただし、このグラフは、すべてのタスクがほぼ同じ量の作業を要すると想定しています。タスクの定義に作業量の大幅な違いがあると、一定期間に完了するタスク数に影響が出る可能性があります。

プロジェクト・バーンダウン

このレポートは、反復に 割り当てられたタスクのうち、クローズされなかった (したがって完了していないと想定される) タスクの数を示します。通常、各反復ごとに、線はゼロに近づいていくべきです。そうでない場合、 計画された作業量が多すぎる反復があるか、作業の過少見積もりが頻繁に生じている可能性があります。

プロジェクト・パフォーマンス

このレポートは、さまざまな予算と実績コストのメトリックを示します。通常、このグラフは、プロジェクトが進行すると共に、実績の値あるいは 見積もりの値が、予算 (基準) からどのようにそれるかを示します。 「完了時の見積もり」が、それまでに実施された作業の実績コスト (ACWP) と残りのプロジェクト作業の予算コストを使用して算出されます。 「完了時の予算」のグラフは、その予算の基準 (BWCS) がプロジェクトの間に変化しない場合は水平になるはずです。 「完了時の差異」は、プロジェクトの各ポイントでの「予算」と「完了時の見積もりコスト」間に見積もられる差異です。 負の数値は、プロジェクトが予算を超えていることを示します。 CPI は、「実施した作業の予算コスト (BCWP)」を「実績コスト (ACWP)」で除算することで算出されます。 このグラフの線は、ほぼ水平になるべきで、プロジェクトが予算どおりに進んでいれば 1 に近い値になるはずです。 SPI は、BCWP を BCWS で除算した値で、「実施した作業の予算コスト」が、そのプロジェクトの基準からの定数予算のスケジュール・コスト (BCWS) に近づけば、この 値も 1 に近づくはずです。 「コストの差異」は、現在までの「実施した作業の予算コスト」と「実績コスト」の間の違いです。 負の数値は、プロジェクトが予算を超えていることを示します。

リリース準備状況 (障害)

通常、プロジェクトがリリースできるだけの十分な品質を備えていると判断する場合の重要な要因は、 オープンの障害数です。したがって、オープン状態の障害が現在いくつあるのかを、重大度別に把握することが重要です。「クリティカル」または「メジャー」な障害がある場合は、プロジェクトは準備ができていないと考えられますが、「マイナー」な障害が数多くあることがリリースを遅らせる正当な理由になるとは限りません。

要求の傾向

このグラフのデータは、グライド・パスと類似しています。ある時間間隔内に、到着、あるいはクローズされた機能拡張と障害の数を示します。 プロジェクトの早期には、「到着」グラフの線は「クローズ」グラフの線より上回っていても構いません。 プロジェクトの末期に、その状態であるとこれは問題がある可能性があります。

実行率

このレポートは、作業 (アクティビティー) がスケジュールされ、完了した率を示します。ある反復において、完了できる作業よりも多い作業をスケジュールするべきではないため、2 つの線はあまり離れていてはなりません。

プロジェクトごとのタスク

このレポートは、1 「プロジェクト」に関連付けられるすべてのタスクをリストします。タスクは、それが属す「要求」によってグループ化されます。

状態、タイプ、所有者ごとのタスク

これは、各反復についての「状態」ごと、「タイプ」ごと、「所有者」ごとのタスクの明細です。 前の反復については、ほとんどのタスクが、「完了」状態にあるべきです。未完了で持ち越されたタスクが多すぎる場合、 速度の見積もりが正しくない可能性があります。障害タイプのタスクが多数ある場合も、機能拡張の時間がそれらのタスクに取られるため、予期していた速度よりも低くなることがあります。同様に、タスクは、スキル・レベルや他の責務を考慮した上で、所有者全体に相対的にバランス良く負担されているべきです。

ワークロード

クロス集計表は、各反復の各担当者にどのくらいのアクティビティーが割り当てられているかを示します。 これらの数は十分に一貫性がなければなりません。一部のアクティビティーで必要とされる作業量で説明できないような実質的な増加や減少、あるいはプロジェクト外での責務が著しく多かったり少なかったりする担当者の有無を確認してください。


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