OSLC サービスを使用して Rational DOORS を拡張

Open Services for Lifecycle Collaboration (OSLC) は、ライフサイクル・ツール同士の連携方法を標準化しているコミュニティーです。 IBM® Rational® DOORS® は、Requirements Management ドメインのプロバイダーとして、および Rational ポートフォリオにおける他のドメインのコンシューマーとして、OSLC データ共有仕様をサポートします。

ドメイン間での OSLC データの共有は、リソース、フォーマット、および REST アーキテクチャー・サービスの共通セットに基づきます。

データ共有では、以下のトランザクションがサポートされます。
  • HTTP プロトコルに基づくリンク
  • URI によるリソースの識別
  • 業界標準のメディア・タイプを使用した情報検索

Rational DOORS のクイック・ガイド

下の表に、Rational DOORS で使用される OSLC のドメインとサービス、およびそのドメインからのリソースを使用して実行できる操作を示します。 Change Management V1 は Rational DOORS バージョン 9.3 で導入されました。 その他のドメインおよびサービスのサポートは Rational DOORS バージョン 9.4 で追加されました。

下の表に、Rational DOORS バージョン 9.4 以降で使用される OSLC のドメインとサービス、およびそのドメインからのリソースを使用して実行できる操作を示します。

表 1. Rational DOORS での OSLC のドメインおよび操作
Rational DOORS 9.4 以降 選択 作成 プレビュー (コンパクト・レンダリング)
Change Management V1 サポート サポート サポート
Change Management V2 サポート サポート サポート
Quality Management V1 サポート サポート サポート
Quality Management V2 サポート サポート サポート
Requirements Management V1* サポート サポート サポート
Requirements Management V2* サポート サポート サポート
Architecture Management V2 サポート サポート サポート
*Rational DOORS は、独自の OSLC インターフェースを使用するように構成しないでください。 サポートされるのは、リポジトリー間通信のみです。

下の表に、各種作業分野間で成果物をリンクする際に使用される OSLC 関係を示します。

表 2. Change Management V1 による作業分野間のリンク
Change Management V1 にわたるリンク
アウト・リンク イン・リンク
実装元

http://jazz.net/xmlns/prod/jazz/calm/1.0/implementedBy

実装対象

http://jazz.net/xmlns/prod/jazz/calm/1.0/implementsRequirement

表 3. Change Management V2 による作業分野間のリンク
Change Management V2 にわたるリンク
アウト・リンク イン・リンク
影響を与える側

http://open-services.net/ns/rm#affectedBy

影響を受ける側

http://open-services.net/ns/cm#affectsRequirement

実装元

http://open-services.net/ns/rm#implementedBy

実装対象

http://open-services.net/ns/cm#implementsRequirement

追跡元

http://open-services.net/ns/rm#trackedBy

追跡対象

http://open-services.net/ns/cm#tracksRequirement

表 4. Quality Management V1 による作業分野間のリンク
Quality Management V1 にわたるリンク
アウト・リンク イン・リンク
検証元

http://jazz.net/xmlns/prod/jazz/calm/1.0/validatedBy

検証対象

http://jazz.net/xmlns/prod/jazz/calm/1.0/validatesRequirement

表 5. Quality Management V2 による作業分野間のリンク
Quality Management V2 にわたるリンク
アウト・リンク イン・リンク
検証元

http://open-services.net/ns/rm#validatedBy

検証対象

http://open-services.net/ns/qm#validatesRequirement

検証元

http://open-services.net/ns/rm#validatedBy

検証対象

http://open-services.net/ns/qm#validatesRequirementCollection

表 6. Requirements Management V1 による作業分野間のリンク
Requirements Management V1 にわたるリンク
アウト・リンク イン・リンク
詳述元

http://jazz.net/xmlns/prod/jazz/calm/1.0/elaboratedBy

詳述対象

http://jazz.net/xmlns/prod/jazz/calm/1.0/elaboratesRequirement

表 7. Requirements Management V2 による作業分野間のリンク
Requirements Management V2 にわたるリンク
アウト・リンク イン・リンク
詳述元

http://open-services.net/ns/rm#elaboratedBy

詳述対象

http://open-services.net/ns/rm#elaborates

指定元

http://open-services.net/ns/rm#specifiedBy

指定対象

http://open-services.net/ns/rm#specifies

表 8. Architecture Management V2 による作業分野間のリンク
Architecture Management V2 にわたるリンク
アウト・リンク イン・リンク
該当なし 詳細化

http://jazz.net/ns/dm/linktypes#refine

該当なし 満足

http://jazz.net/ns/dm/linktypes#satisfy

該当なし トレース

http://jazz.net/ns/dm/linktypes#trace

ユーザーが Rational DOORS 内のモジュールを開くと、他のライフサイクル製品との外部 OSLC リンクが「ディスカバー」され、以後モジュールがより速く開くように、結果がデータベース全体のキャッシュに保管されます。 このリンク・ディスカバリー・プロセスは、統合された製品のパフォーマンスによっては、モジュールを開く際のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。 キャッシュでは、タイムアウト値がデフォルトで 5 分に設定されています。 この時間の経過後、キャッシュにあるリンクの状況が最新のものになるように、リンクを「再ディスカバー」する必要があります。 このタイムアウト値は、DXL perm setCachedExternalLinkLifeTime を使用して変更できます。 詳しくは、「DXL Reference Manual」 の『OSLC Link Discovery』を参照してください。 この資料は PDF として入手でき、ヘルプ・メニューからも参照できます。

次に 示す Requirements Management ドメインからのユーザー・インターフェース (UI) の要素および 操作は、Rational DOORS で サポートされていて、Rational DOORS から 使用できます。

OSLC RM V1 UI の要素および操作

OSLC RM V1 インターフェースは Rational DOORS 9.3 以降で使用できます。

RM V1 の場合は、次の UI 要素が実装されます。
  • 要件リソースのセクション用の代行ユーザー・インターフェース。
  • 要件リソースの作成用の代行ユーザー・インターフェース。
  • 要件コレクション・リソース (ビュー) の選択用の代行ユーザー・インターフェース。
  • 要件リソースのコンパクト・レンダリング (リッチホバー)。
  • 要件コレクション・リソース (ビュー) のコンパクト・レンダリング (リッチホバー)。
  • 要件リソースをプログラマチックに作成するためのファクトリー・リソース。
RM V1 の場合は、次の操作が実装されます。
  • サービス・ディスカバリー。
  • 要件作成の POST。 POST により、モジュール内の最初のオブジェクトとして要件が作成されます。
  • 要件コレクションの GET。
  • 要件コレクションの PUT。
  • 要件の GET。
  • 要件の PUT。

POST は、サービス・ディスカバリー・ツリーのデータベース・レベルでは使用できません。

要件コレクション URI は、モジュール、またはビューが適用されたモジュールを参照します。

Rational DOORS 内部リンクは (イン・リンクかアウト・リンクかに関係なく) V1 GET 結果には反映されません。

Rational DOORS 外部リンクは V1 GET 結果には反映されません。

詳しくは、「Requirements Management and Definition 1.0 Specification」を 参照してください。

OSLC RM V2 UI の要素および操作

OSLC RM V2 インターフェースは Rational DOORS 9.4 以降で使用できます。

RM V2 の場合は、次の UI 要素が実装されます。
  • 要件リソースのセクション用の代行ユーザー・インターフェース。
  • 要件リソースの作成用の代行ユーザー・インターフェース。
  • 要件コレクション・リソース (ビュー) の選択用の代行ユーザー・インターフェース。
  • 要件リソースのコンパクト・レンダリング (リッチホバー)。
  • 要件コレクション・リソース (ビュー) のコンパクト・レンダリング (リッチホバー)。
  • 要件リソースをプログラマチックに作成するためのファクトリー・リソース。
RM V2 の場合は、次の操作が実装されます。
  • サービス・ディスカバリー。
  • リソース形状指定。
  • 要件作成の POST。 POST により、モジュール内の最初のオブジェクトとして要件が作成されます。
  • 要件コレクションの GET。
  • 要件コレクションの PUT。
  • 要件の GET。
  • 要件の PUT。
  • また、QUERY もモジュール・レベルでサポートされています。

POST は、サービス・ディスカバリー・ツリーのデータベース・レベルでは使用できません。

要件コレクション URI は、モジュール、またはビューが適用されたモジュールを参照します。

Rational DOORS 内部アウト・リンクは V2 GET 結果に反映されます。 このリンクは、名前空間 URI と「references」を組み合わせたリンク・モジュール・リソース URI を使用して表されます。 例えば、次のようになります。
http://localhost:8080/dwa/rm/urn:rational::1-46dd5d7806b96973-M-0001cc43/linkTypes/references
Rational DOORS 外部リンクは V2 GET 結果に反映されます。 このリンクは次のように表されます。
  • イン・リンク - http://purl.org/dc/terms/isReferencedBy
  • アウト・リンク - http://purl.org/dc/terms/references
詳しくは、『OSLC RM V2 Specification』を参照してください。

ルート・サービス

Rational DOORS Web Access サーバーが {SERVER} (例: http://doors.example.com/) に インストールされている場合、ルート・サービス文書は次の場所にあります。
  • 1.4.0.2 より前のバージョンの Rational DOORS Web Access: {SERVER}/rm/discovery/rootservices
  • 1.4.0.2 以降のバージョンの Rational DOORS Web Access: {SERVER}/public/rootservices
ルート・サービス文書は OSLC の仕様に含まれていませんが、 ルート・サービス文書には、OSLC サービス・ディスカバリー文書の入り口点が記載されていたり、OSLC サービスを使用するために 必要となる他のいくつかの構成 URL が記載されていたりします。

セキュリティー

セキュリティーは必須であり、OAuth 1.0a を使用して設定されます。 OAuth は、デスクトップや Web アプリケーションから簡単で標準的な方式を使用して安全な API 許可を与えるオープン・プロトコルです。

大半の OSLC URI (サービス・ディスカバリー、要件、要件コレクション) には、認証ユーザーのみがアクセス可能です。 ルート・サービス URI はこの規則の例外です。 詳しくは、「OAuth Core 1.0 Revision A」を 参照してください。

DXL サービスを使用した Rational DOORS の 拡張については、『Rational DOORS の OSLC DXL サービス』を参照してください。また、『DXL (the Rational DOORS Extension Language) の使用』も参照してください。


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