Warp Server for e-business テクニカルガイド

(1999年12月 第二版 / 更新履歴)


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新機能・拡張機能概要

  Warp Server for e-business ではベースOSがWarp Server V4から次のような機能拡張が行われています。

-Warp4 ベース

  Warp Server V4ではOS/2 Warp V3ベースでしたが、Warp Server for e-businessではWarp4ベースになっています。さらにWarp Server for e-businessでは以下のような拡張が含まれています。

-JFS

  JFS(ジャーナル・ファイル・システム)は32ビットファイルシステムで、WEBサーバーでのデータのホスティングやLotus Notesサーバーなどのアプリケーション・サーバーでの使用に適しています。JFSはHPFSよりも大きく高速なキャッシング能力を備えており、よりすぐれたパフォーマンスを提供します。Warp Server for e-businessではハードディスクはボリュームとして管理されます。1つのボリュームを複数のパーティションによって構成することも可能ですが、この構成はファイルシステムがJFSの場合でのみ可能です。JFSはまた、SMPマシンでよりすぐれたパフォーマンスとスケーラビリティを提供できるように最適化されています。

  JFSのキャッシュサイズは386HPFSと同様に、最大値の制限はありません。システムに搭載されている物理メモリーのサイズにのみ依存します。省略時値はメモリーの1/8に設定されていますが、この値は、手動インストールをした場合は、チューニングアシスタントによってオーバーライドされます。JFSキャッシュはシステムエリアに取られ、スワップ不可です。

  JFSの特徴は以下のとおりです。

ファイル・システムの比較
機能 FAT HPFS HPFS386 JFS
Bootable Yes Yes Yes No
最大ファイル・サイズ 2GB 2GB 2GB 2TB
最大パーティション・サイズ 2GB 64GB 64GB 2TB
オンライン拡張 No No No Yes
Disk Spanning No No No Yes
Sparse File No No No Yes
Unicodeファイル名 No No No Yes
最大キャッシュサイズ 14MB 2MB 320MB 200MB
最大オープンファイル数 65536 65536 65536 65536
最大Findファイル数 3072 3072 8192 32768
ACL NET.ACC NET.ACC FNODE LNODE
ACL数 8192 8192 無制限 無制限
最大コネクション数 16384 16384 16384 16384
最大共用数 1500 1500 1500 1500
ディレクトリーあたりの最大ファイル数 512 ルートディレクトリー DASDスペースによる DASDスペースによる 4Billion
Bad Blockロケーション No Yes Yes Yes via LVM
Disk Limit No No Yes No
Software FT No No Yes No

 

-Logical Volume Manager(LVM)

  LVMはハードディスクの物理レイアウトを管理し、ユーザーやアプリケーションに対して、抽象化したレイヤ構造を提供します。LVMの利点の1つは、物理レイアウトをアプリケーションに影響を加えることなく変更できるということです。例えば、ボリュームは複数の物理ディスクにまたがって複数のパーティションを含んで構成することができます。ボリュームサイズは未使用のスペースがあればそのサイズの範囲内で増やすことができます。 Warp Server for e-businessではFDISKはサポートされません。

 LVMでは以下の用語を使用します。
 
パーティション OSによって使用される連続したエリア。ハードディスクのマスターブート・レコードに定義される。ハードディスク中のプライマリーパーティションは最大4つに制限される。拡張パーティションは1つ以上の論理パーティションを含むことができる。
論理パーティション 拡張パーティション内に置かれる。通常データが置かれるが、OS/2などのOSをブートすることも可能。
論理ボリューム ハードディスクの論理ビューで、複数のパーティションを含み、連続したエリアのように見える。論理ボリュームは互換またはLVMボリュームとして定義できる。
アグリゲート ハードディスク上の論理構造でJFSパーティションの情報を管理するのに使われる。
ファイルセット ファイルやディレクトリーの集まりで、シングルユニットとして扱われる。ファイルセットはアグリゲート上に置かれる。

  LVMで提供されるインターフェースには以下のものがあります。

  また、以下のLVMの機能はJFSでのみ使用できます。 −WindowsNTサーバー管理 −MPTS

  MPTSでは以下のプロトコルがサポートされています。

−I2Oサポート
   インテリジェントI/O(I2O)アーキテクチャーはネットワーク環境のデバイス・ドライバーの新しい開発標準です。このアーキテクチャーでは、I2O対応のアダプターを使用することにより、通常はドライバーによってCPUで処理されるトランザクションをアダプター上で処理できるため、LANのI/Oに関するCPUの使用率を下げることができます。

  OS/2 Warp Server for e-businessではI2Oサポートをイーサネット、トークンリング、SCSIで提供します。MPTSにはI2O LANドライバー(I2OLOSM.OS2)が含まれており、I2O対応のデバイスが使用可能になっています。このドライバーはNDIS 2.01用に書かれており、NDIS V2.01 MACドライバーとして動作します。

  IBMは1997年からI2O対応のPCシステムを出荷しており、これらにはPC Server704やIBM Netfinity7000などがあります。  1999年1月にIBMはI2O対応の高速の通信PCIアダプターをアナウンスしました。インテル、Compaq、ヒューレット・パッカード、Novllなど多数の企業がI2O対応のオファリングを行っています。I2Oの詳細はI2O Spetial Interest Groupのホームページを参照してください。

−TCP/IPサービス

   Warp Server for e-BusinessにはTCP/IP v4.21が含まれています。 拡張された機能には以下のようなものがあります。

  • 32bit化:V4.1から32ビットAPI用にTCP/IPは32ビット化されています。これによってスループットが向上しています。
  • 新しいファイルAPI:webサーバーのようなファイルの送受信を行うアプリケーションは新しいsend_file(),accept_and_receive() APIを使用することによりパフォーマンスが向上します。
  • daemonの拡張:FTPDはマルチスレッド化によりパフォーマンスが向上しています。また、切断したコネクションのリスタートもサポートするようになりました。TFTPDもまたマルチスレッド化され最大8KBまでのブロックサイズをサポートします。また、セキュリティーメカニズムによって、管理者はTFTPDクライアントからのアクセスを制限することができます。
  • -バックアップ/リカバリー・サービス

      PSnS v6.01が含まれます。 このコンポーネントではアプリケーション、データ、アクセス制御のバックアップをディスケット、テープ、ローカルおよびリモートのハードディスク、光磁気ディスク、およびADSMサーバーにとることができます。

    −リモート・アクセス・サポート

      OS/2 Warp Server V4ではOS/2またはWindowsなどの遠隔地のクライアントシステムから公衆回線を経由してリモートアクセスサーバーにダイアルインする機能をLAN Distanceと呼ばれるフィーチャーによって提供していましたが、今回からポイント・ツー・ポイント・プロトコル(PPP)サーバーの機能を追加し、PPPクライアントが接続できるようになっています。PPPクライアントにはIBM8235ダイアラーや、Windows95/98 およびNTのリモートアクセスなどが含まれます。

    PPPサポートはこれまでSoftware Choiceで提供されていましたが、Warp Server for e-businessにはPPPサーバーとクライアントが含まれています。

    リモートアクセスサービスはクライアントにダイナミックにIPアドレスを割り当てることが可能です。

    −システム管理サービス

      Warp Server for e-busunessにはNetfinity5.2が含まれています。また、あらたにTivoli Management Agent(TMA)が含まれています。TMAはよく知られたクロスプラットフォームのシステム管理フレームワークで、サーバーはTivoli Management Environmentの中では管理オブジェクトとなります。

    −LDAPクライアント・サポート

      OS/2 Warp Server for e-businessにはLDAPクライアントサポートが含まれており、LDAPサーバーにアクセスしてLDAPサーバーから情報を受け取ることが可能です。



    削除または置き換えられた機能

    Warp Serverの以前のバージョン4で提供されていた以下の機能は、Warp Server for e-buissinessでは別のコンポーネントで置きかえられます。

    また、以下のコンポーネントは以前のバージョンではOS/2 WarpやWarp Serverとともにインストールされていましたが、Warp Server for e-businessには含まれていません。システムにインストール済みの場合、インストール時に削除されます。

    サーバーパッケージング

    Warp Server for e-businessには以下のCDROMから構成されています。

    -Server Pakインストール

    -Server Pak -Client Connect Pak-1, 2 CDROM2枚の内訳は以下の表をご覧ください。
     
    OS/2 Warp4 Windows95 WindowsNT 4.0 DOS/Win3.1
    システム管理 Tivoli Agent CD1 N/A N/A N/A
    Feature Install OS/2 Feature Install CD1 N/A N/A N/A
    Networkサービス MPTS CD1 OSに含まれています。 OSに含まれています。 OSに含まれています。
    IPサービス TCP/IP 4.2.1 CD1 Dynamic IPクライアント CD2 Dynamic IPクライアント CD2 DOS LANサービス 
    CD2
    ファイル/印刷サービス OS/2用 CD1 OSに含まれています。 OSに含まれています。 DOS LANサービス 
    CD2
    ログオン・サービス OS/2用 CD1 Network Client for Windows95 CD2 Primary Logon Client CD2 DOS LANサービス 
    CD2
    リモート・アクセス LAN Distance CD2 OSに含まれています。 OSに含まれています。 N/A
    ブラウザー Netscape4.04 CD1 OSに含まれています。 OSに含まれています。 N/A
    Java Java Dev Toolkit 
    CD1
    Java Dev Toolkit 
    CD2
    OSに含まれています。 N/A

    -Netfinity 5.2

    -Lotus Domino Go Webserver 4.6.2.6/IBM WebSphere Application Server 1.1
     



    ハードディスク要件
     
    OS/2 Warp基本オペレーティング・システム(デフォルトインストール)  96.7MB
    OS/2 Warp基本オペレーティング・システム(フルインストール) 156.0MB
       ・ファイル/印刷共用サービス 15.0MB
       ・TCP/IPサービス 30.0MB
       ・リモートアクセスサービス 5.9MB
       ・Netscape Communicator 11.0MB
       ・TMA 1.5MB
       ・PSnS 7.2MB
       ・LDAP Toolkit 4.2MB
       ・拡張印刷サービス 54.0MB
       ・MPTS 16.0MB
       ・FFST 0.1MB
       ・オンラインマニュアル 10.0MB


    参考情報

  • 386 HPFS Upgrade for OS/2 Warp Server for e-business README(CDROMに含まれています)。 READMEの最新情報はWebサーバー上で更新されていますのでそちらもご確認ください。
  • OS/2 Warp Server for e-business README(CDROMに含まれています)。READMEの最新情報はWebサーバー上で更新されていますのでそちらもご確認ください。
  • Inside OS/2 Warp Server for e-business(SG24-5393)
  • Migrating to OS/2 Warp Server for e-business(SG24-5135)

  •  ご注意

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