iostat コマンド

目的

中央演算処理装置 (CPU) の統計情報と、システム全体、アダプター、tty デバイス、ディスク、および CD-ROM に関する入出力統計情報を報告します。

構文

iostat [ -s ] [ -a ] [ -d | -t ] [ -T ][ -m ][ PhysicalVolume ... ] [ Interval [ Count ] ]

説明

iostat コマンドは、物理ディスクがアクティブになっている時間をそれらの平均転送速度に関連付けて観察することにより、システム入出力装置のロードをモニターします。 iostat コマンドは、システム構成を変更して物理ディスクおよびアダプター相互間の入出力ロードのバランスを改善するためのレポートを作成します。

iostat コマンドによって最初に生成されるレポートには、システムがブートされてからの時間に関する統計情報が出力されます。後続のレポートでは、それぞれ直前のレポートからの時間が扱われます。 iostat コマンドが実行されるたびに、すべての統計情報が報告されます。レポートでは、tty と CPU ヘッダー行に続く tty と CPU の統計情報行から構成されます。マルチプロセッサー・システムの場合、CPU 統計情報はすべてのプロセッサーの平均値として、システム単位で計算されます。

-s フラグが指定された場合は、システム・ヘッダー行が表示された後に、システム全体の統計情報の行が表示されます。システム・ヘッダー行には、システムのホスト名が出力されます。

-a フラグが指定された場合は、アダプター・ヘッダー行が表示された後に、アダプターの統計情報の行が表示されます。その後、ディスク・ヘッダー行と、そのアダプターに接続されているすべてのディスクまたは CD-ROM の統計情報が表示されます。システムに接続されているすべてのディスク・アダプターについて、そのようなレポートが生成されます。

ディスクのヘッダー行の次には、構成される各ディスクの統計情報行が表示されます。PhysicalVolume パラメーターを指定すると、指定した名前だけが表示されます。

PhysicalVolume パラメーターには、1 つ以上の英字または英数字の物理ボリュームを指定できます。 PhysicalVolume パラメーターを指定した場合は、tty レポートと CPU レポートが表示され、ディスク・レポートには指定したドライブに関する統計情報が出力されます。指定した論理ドライブ名が見つからないと、指定した名前がレポートにリストされ、「Drive Not Found」というメッセージが表示されます。論理ドライブ名を指定しない場合は、構成されたすべてのディスクおよび CD-ROM に関する統計情報がレポートに出力されます。ドライブがシステム上に構成されていない場合は、ディスク・レポートは生成されません。PhysicalVolume パラメーターの最初の文字には数字を使用できません。

Interval パラメーターは、各レポートの間隔を秒で指定します。最初のレポートには、システムが始動 (ブート) された以後の時間に関する統計情報が出力されます。後続のレポートには、それぞれ直前のレポート以降のインターバルに集計された統計情報が入ります。 Count パラメーターは、Interval パラメーターと組み合わせて指定できます。 Count パラメーターを指定した場合、Count の値は Interval 秒おきに生成されるレポートの数を決定します。 Interval パラメーターを Count パラメーターと組み合わせないで指定する場合、iostat コマンドは、レポートを継続的に生成します。

iostat コマンドは、物理ボリュームがパフォーマンスのボトルネックになっていないか、あるいは状況を改善する余地がないかを判断する場合に便利です。 % で表される物理ボリュームの使用率フィールドは、ファイル操作が各ドライブに均等に行われている度合いを示します。ある物理ボリュームの使用率が高い場合、このリソースの競合があることを示します。 iostat のレポートでは、CPU 使用状況の統計情報も報告されるため、CPU が入出力待ち状態になっている時間のパーセンテージも同時に判断できます。入出力待ち時間が長く、ディスク使用率が各ボリュームに均等に分散していない場合は、データを各ドライブに分散することを検討してください。

注: 一部のシステム・リソースは、iostat コマンド用のディスク入出力のヒストリーを保守するために消費されます。 System Management Interface Tool (SMIT) を使用すると、ヒストリー・アカウンティングを停止できます。

レポート

iostat コマンドは、4 種類のレポートを生成します。すなわち、tty と CPU の使用状況レポート、ディスクの使用状況レポート、システム・スループット・レポート、およびアダプター・スループット・レポートの 4 種類です。

tty と CPU の使用レポート

iostat コマンドによって最初に生成されるレポートは、tty と CPU の使用レポートです。マルチプロセッサー・システムの場合、CPU の値はすべてのプロセッサーのグローバルな平均値です。また、入出力待ち状態はプロセッサーごとに定義されるのではなく、システム単位で定義されます。このレポートのフォーマットは次のとおりです。

説明
tin すべての tty についてシステムが読み取った合計文字数を表示します。
tout すべての tty にシステムが書き込んだ合計文字数を表示します。
% user ユーザー・レベル (アプリケーション) で実行中の CPU 使用の割合を表示します。
% sys システム・レベル (カーネル) で実行中の CPU 使用の割合を表示します。
% idle 1 つの CPU または複数の CPU がアイドル状態で、システムに未処理のディスク入出力要求がなかった時間の割合を表示します。
% iowait 1 つの CPU または複数の CPU がアイドル状態で、システムに未処理のディスク入出力要求があった時間の割合を表示します。

この情報はカーネルによって定周期で更新されます (通常は 1 秒に 60 回)。 tty レポートには、システム上のすべての端末から受け取る 1 秒当たりの合計文字数と、システム上のすべての端末に出力する 1 秒当たりの合計文字数が示されます。

CPU ディスク入出力待ち時間の計算方法

ディスク入出力待ち (wio) 時間は、sar (%wio) コマンド、vmstat (wa) コマンド、および iostat (% iowait) コマンドで報告されます。

最後の 10 ミリ秒を 4 つのカテゴリー (usr、sys、wio、または idle) のいずれに入れるかが判別されます。

ディスクの使用レポート

iostat コマンドによって 2 番目に生成されるレポートは、ディスクの使用レポートです。ディスク・レポートは、物理ディスクごとに統計情報を提供します。このレポートのフォーマットは、次のとおりです。

% tm_act 物理ディスクがアクティブであった時間のパーセンテージ (ドライブの帯域幅使用率) を示します。
Kbps 1 秒当たりにドライブに転送 (読み取りまたは書き込み) されたデータ量を K バイト単位で示します。
tps 物理ディスクに対して 1 秒当たりに行われた転送回数を示します。転送とは、物理ディスクに対する入出力要求のことです。複数の論理要求をまとめて、ディスクに対する 1 つの入出力要求にすることができます。転送のサイズは不確定です。
Kb_read 読み取られた合計 K バイト数
Kb_wrtn 書き込まれた合計 K バイト数

CD-ROM デバイスに関する統計情報も報告されます。

多数のディスクで構成される大規模システムの場合は、iostat コマンドが実行されていないときに物理ディスク入出力統計情報を収集しないように、システムを構成することができます。この方法でシステムを構成した場合、最初のディスク・レポートには、ディスク統計情報の代わりに、「Disk History Since Boot Not Available」というメッセージが表示されます。 iostat コマンドによって生成される以降のインターバル・レポートには、レポートを作成するインターバルの間に集計されたディスク統計情報が入ります。ブート以降の tty と CPU の統計情報は、影響を受けません。システム管理コマンドを使用してディスク統計情報収集を再び使用可能にすると、最初の iostat コマンド・レポートには、ディスク入出力統計情報が使用可能になったときから始まるインターバル内のアクティビティーが表示されます。

システム・スループット・レポート

このレポートは、-s フラグを指定が指定されている場合に生成されます。このレポートには、システム全体の統計情報が示されます。このレポートの形式は、以下のとおりです。

Kbps システム全体で 1 秒当たりに転送 (読み取りまたは書き込み) されたデータ量を K バイト単位で示します。
tps システム全体に対して 1 秒当たりに実行された転送回数を示します。
Kb_read システム全体で読み取られた合計 K バイト数。
Kb_wrtn システム全体で書き込まれた合計 K バイト数。

アダプター・スループット・レポート

このレポートは、-a フラグを指定が指定されている場合に生成されます。このレポートには、アダプターごとの統計情報が示されます。このレポートの形式は、以下のとおりです。

Kbps そのアダプターで 1 秒当たりに転送 (読み取りまたは書き込み) されたデータ量を K バイト単位で示します。
tps そのアダプターについて 1 秒当たりに実行された転送回数を示します。
Kb_read そのアダプターから読み取られた合計 K バイト数。
Kb_wrtn そのアダプターに書き込まれた合計 K バイト数。

ディスク入出力ヒストリー

ディスク入出力ヒストリーがオフになっている場合、iostat 出力の最初のディスク・レポートでは、ディスク統計情報の代わりに「Disk History Since Boot Not Available」というメッセージが表示されます。前と同じく、iostat コマンドによって生成される以降のインターバル・レポートには、レポートを作成するインターバルの間に集計されたディスク統計情報が含められます。

フラグ

-a アダプター・スループット・レポートを表示します。
-d -d フラグは -t フラグと同時には使用できません。このオプションはディスクの使用レポートのみ表示します。
-s システム・スループット・レポートを表示します。
-m -m フラグは、次に関するパス統計情報を表示します。
  • MPIO (マルチ・パス入出力) が使用可能なデバイスに対するパス。
  • ESS マシン内のパス。
スループットはデバイスごとに示されます。そのデバイスに対するすべてのパスのスループットが、そのデバイスのスループットの後に示されます。

ESS マシンの場合、vpath はディスクとして扱われ、hdisk はパスとして扱われます。内部的には、vpath は実際にディスクで、hdisk は vpath に対するパスです。 MPIO が使用可能なデバイスの場合、パス名は Path0Path1Path2 というように表されます。0、1、2 という番号は、lspath コマンドによって与えられたパス ID です。 1 つのデバイスに対するパスを任意のアダプターに接続することができるので、アダプター・レポートでは、各アダプターごとにパス統計情報を報告します。すべてのパスについて、ディスク名がプレフィックスになります。 MPIO が使用可能なすべてのデバイスの場合、アダプター・レポートでは、パス名が hdisk10_Path0hdisk0_Path1 のように表示されます。すべての ESS マシンの場合、アダプター・レポートでは、パス名が vpath0_hdisk3vpath10_hdisk25 のように表示されます。

-t -t フラグは -d フラグと同時には使用できません。このフラグを指定すると、tty と CPU の使用状況レポートのみが表示されます。
-T iostat の出力の各行の横にタイム・スタンプを出力します。タイム・スタンプは、HH:MM:SS 形式で表示されます。

注:

  1. すべての tty、CPU、ディスクについて、ブート・レポート以後の単一のヒストリーを表示するには、次のように入力します。

    iostat
  2. disk1 という論理名を持つディスクに対して、2 秒おきに継続的にディスク・レポートを表示するには、次のように入力します。

    iostat -d disk1 2
  3. disk1 という論理名を持つディスクに対して、6 個のディスク・レポートを 2 秒おきに表示するには、次のように入力します。

    iostat disk1 2 6
  4. すべてのディスクについて 2 秒おきに 6 個のレポートを表示するには、次のように入力します。

    iostat -d 2 6
  5. disk1disk2disk3 という 3 つのディスクについて 2 秒おきに 6 個のレポートを表示するには、次のように入力します。

    iostat disk1 disk2 disk3 2 6
  6. システム・スループット・レポートを出力するには、次のように入力します。

     
    iostat -s
  7. アダプター・スループット・レポートを出力するには、次のように入力します。

    iostat -a
  8. tty と CPU のレポートだけを含む (ディスク・レポートを含まない) システム・スループット・レポートとアダプター・スループット・レポートを出力するには、次のように入力します。

      
    iostat -sat
  9. hdisk0 と hdisk7 のディスク使用状況レポートを含むシステム・スループット・レポートとアダプター・スループット・レポートを出力するには、次のように入力します。

    iostat -sad hdisk0 hdisk7
  10. iostat の出力の各行の横にタイム・スタンプを表示するには、次のように入力します。
    iostat -T

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