フォント情報

フォント情報ダイアログはすべてのビューから使用可能です。このメニューを使って様々な有用な情報の各ビットを設定することができます。CID フォントでは、フォント全体の集合体の情報にアクセスするための独立したコマンドがありますが、ダイアログの見た目は同じです。このダイアログは多数の別種のサブダイアログから構成されています。

名前

PostScript フォントには何種類かの異なる名前がついていますが、そのうちで重要なのは基本的に 2 つです: ファミリー名 (Times など) とフォント名 (ファミリー名に多数の修飾子をつけたもの。例えば Bold Italic Condensed などが後ろにつく) です。フルネームは人間が読む目的でつけられていて、その他の機械が読むための項目と異なります。これは空白を含むことができます (例えば“New Century Schoolbook-Bold Condensed”)。最後に、ウェイト名があります。これらの名前はすべて ASCII で書かなければなりません。この範囲に含まれない文字を含む名前をつけたい場合は、TTF 名のセクションを参照してください。

著作権(R) フィールドは何でも入力したいものを入力できる場所ですが、ここには著作権表示を記入するのがいいでしょう。

ほとんどのフォントでは バージョン フィールドは文字列です (それには最低限の制限があります) が、CID フォントでは浮動小数点数でなければなりません。

これらの名前の多くは TTF 名セクションの英語名に似ています。そのセクションで何も選択しなかった場合には、ここで指定した名前が TTF ファイルのデフォルトとして使用されます。

一般情報

このサブダイアログには、各種設定のかなり雑多な集まりが含まれます。

高さ (Ascent) と深さ (Descent) は、(現在の定義では) PostScript の概念よりも Macintosh の概念と言うべきです。とはいえ、それらの合計が EM 正方形のサイズとなるという点では PostScript の概念と似ています。PostScript フォントでは、この合計値を 1000 にするという強固な慣習があります。一方、TrueType フォントのほとんどでは 2048 になります (これも慣習ですが、TrueType の仕様書によると、合計が 2 の冪であるとラスタライズが高速に行えると主張しています)。TrueType と Type1 (PostScript) フォントはどちらも 16 ビット整数で表現されるので、高さと深さは 32767 より小さくなければなりません。TrueType では制限がさらにきつく、それらの合計が 16384 より小さくなければなりません。

EM のサイズを変更したときには、すべてのアウトライン (およびカーニング情報) を古い値から新しい値に変更したのと同じ比率で拡大・縮小します。

イタリックの傾き(I) は、フォントの傾きを表します。FontForge はいくつかの文字 (例えば“I”) のステムを見ることにより、適切な値の推測を試みることができます。

下線の位置(P)太さ(H) は、このフォントを使うプログラムが下線つきテキストをこのフォントで印字しようとするときに、線をどこに引くかに関するヒントを提供します。

注意: Adobe は現在では XUID や UniqueID はどちらも不要だと言っています

XUID フィールドは、空白で区切られた数値の集まりを括弧でくくったものです。フォントの拡張ユニーク ID はこれを用いて指定することができます。 XUID プリファレンス項目が既に設定されているならば、FontForge はすべての新しいフォントに対して (指定した値の後に各フォントに一意な数値を付け加えて) その値を設定します。Adobe は、フォントが変更されるたびに XUID を毎回変更することを推奨しているので、PostScript フォントを生成するたびごとにフォントの XUID (存在する場合) は 1ずつ加えられます (この増加は CID フォントでは行いません。CID フォントでは XUID の扱いがこの単純なトリックでは対処しきれないほど非常に複雑だからです)。(XUID フィールドは、PostScript フォントでのみ意味があります)。

UniqueID フィールドは XUID と同じ目的をもつ、より以前からの慣習です。このフィールドに値が入っていない場合は、FontForge は許される範囲からランダムな値を選びます。フォントにユニーク ID を設定したくない場合は、この値を -1 にしてください。もしあなたが Adobe に連絡して正式なユニーク ID を割り当てられたならば、このフィールドを使うことができます。それ以外の場合は空白にしておいてください。(XUID フィールドは、PostScript フォントでのみ意味があります)。

作成中のフォントに縦書きメトリックが存在する場合 (一般には、これは CJK フォントをつくっているということですが) [*] 縦書きメトリックが存在(V) チェックボックスがチェックされます。これをチェックすると 縦書きの基準点(O) フィールドが使用可能になり、それによって TrueType または OpenType フォントを出力するときに、縦書きメトリックテーブルが追加されることになります。縦書きの基準点は、デザイン座標系の原点から、縦書きメトリックで用いられる原点への垂直方向のオフセットです。

もし [*] 2次スプライン(Q) がチェックされていると、FontForge は 3 次 Bézier スプラインでなく、2 次 Bézier スプラインをこのフォントに使用します。言い替えれば、FontForge が PostScript (または OpenType) の曲線フォーマットではなく、TrueType 元来のフォーマットで編集を行うということです。FontForge がフォントを出力するとき、内部フォーマットがどちらであっても、そのフォントフォーマットが必要とする方式に変換を行いますので、これが間違って設定されていても問題は起こりません。しかし、これを正しく設定しておくことにより、アウトラインがどのように見えるかについてより明白に把握することができます。個人的経験では、2 次スプラインのほうが自由度が低く (かつ、FontForge の多くのコマンドが動作しない) ため、編集がいっそう困難ですが、TrueType フォントがどう表示されるかを実際に見ることの利点はそれに勝ります。

FontForge を 複数レイヤ編集 機能を有効にしてコンパイルした場合、その機能を使用するためのチェックボックスも表示されます。

その場合、各スプラインが指定した幅をもつ円形のペンで描かれたストロークフォントを作成することもできます。

残念ながらエンコーディングは、フォントのふるまいを理解するのに常に十分なわけではありません。例えば、中国語の表記法に合わせて作られた Unicode フォントは、日本語の表記法に合わせて作られた Unicode フォントとは大きく異なる見かけをもつでしょう (中国語と日本語で大きく異なるグリフが同一の Unicode 文字に割り当てられています)。これを扱うために (および他のいくつかの目的のために) FontForge は「解釈」という概念をもっています。

フォント内に新しいグリフを作成すると、FontForge は現在の名前リスト に基づいて名前を割り当てます。